Members Column メンバーズコラム
今年、10年目を迎えるKNS
与那嶺学 ((有)協働研究所) Vol.97
みなさん、あけましておめでとうございます! KNSの新年最初のコラムを
担当することになりました、協働研究所の与那嶺と申します。お忙しいなか、
少しの間お付き合いの程よろしくお願いいたします。
(1)サバ好きのエレジー
私は、大衆魚が好きです。イワシ、サバ、アジ、サンマなど。生で食べる
のも好きですが、焼いて食べることが好きです。大衆魚といえば“旬の時期
にたくさん獲れる魚”いうイメージがありますが、サバは近年ノルウェーか
らの輸入が激増しています。ノルウェーの脂の乗ったサバもたいへん美味し
いとは思いますが、少々高いですが国産のサバはまた格別です。そのサバも、
養殖が10年くらい前から始まっているそうです。
国内のサバの養殖の状況で少し驚いたのが、「餌はサバの稚魚が多い」と
いう話です。サバの養殖が試行されはじめた背景には、一時期の乱獲がその
要因になっているという指摘があります。乱獲といえば、北海道の高級魚の
キンキ。乱獲で供給が激減しているにもかかわらず、今度は稚魚を「豆キン
キ」として売出しているらしいです。
稚魚を消費するという行為は「将来の需要を先食い」としているといえる
でしょう。このことは漁業者だけでなく、流通や我々消費者の責任も大きい
のですが、いまは責任論はおいて置きます。
(2)キャッチアップ型のインフラからの脱却
話は変わりますが、年金問題もその先行きが国民的に心配されている大き
な課題となっています。年金だけでなく、国債発行(国の借金)なんかもそ
うです。ともに将来需要の先食いになっています。なんか心配ですね(だか
ら増税が必要といいたいわけではありません、念のため)。
日本は輸出産業で成功してきたといわれていますが、それもすでに大きな
曲り角にきているように思います。年金制度も国債発行も輸出産業もあるい
は雇用形態、取引慣行なども、日本が欧米をキャッチアップしていた頃の船
(インフラ)のように思えます。そこに余りに多くの国民を乗せているため
に、身動きできなくなっているのではないか、そんな気がします。これから
は「新しい船(インフラ)」をたくさんの人たちでつくりあげて行く必要性
を感じます。そしてその新しいインフラは、需要を先食いする「足場」とは
真逆の、“積み上げて行けば次の世代の資産となるもの”として成長・発展
してほしいと切に願います。加えていえば、そのインフラはオールジャパン
のタイプだけではなく、地域やコミュニティごとに特色なんかがあったりす
る、分散型のようなイメージを私はもっています。
(3)今年10年目を迎えるKNS
「日本はここから変わってゆくのではないか」~~『産学官民連携の地域
力』(関西ネットワークシステム編、学芸出版)の出版の際に、関満博先生
から推薦のことばでいただいた一文です。本の帯に載ることばとはいえ、な
んか自分や自分の会社を褒められる以上にうれしい気がしました。
いま日本の各地でKNSのような「フラットなコミュニティ」をつくる動
きがみられます。こうした動きは、わからない人からみると、高い交通費を
かけて飲み会に参加する、それ以上のことは見えてこないかもしれませんし、
「なんちゅうアホな連中や!」と思われているかもしれません。しかし、実
は参加しているその人の、しとごや人生にも大きく影響を与えている場面も
散見されているのです。もちろん地域や社会は、政治や政策で変わることも
多々あるとは思いますが、自身の参加や行動によって“自分に大きな気づき
がある場”として本人が認識する、そういう場が今後は決定的に重要になる
と私自身は考えます。
そしてそのような「場」の存在こそ、“積み上げて行けば次の世代の資産
となるもの”という、「新しい船(インフラ)」のひとつの形なんだと思います。
設立当時を遡れば「まさかこんな形になろうとは」~そんなKNSも次の6
月で10年目を迎えます。まだまだ、時代にあった形で変化をこれからも遂
げていくと確信しています。すでにこの1月からも多くのイベントが動き始
めています。
今年もKNSのさらなるパワーアップに向けて、みなさんのお力添えをい
ただけましたら、これほどうれしいことはありません。
今年もよろしくお願いいたします。