Members Column メンバーズコラム

関西ネットワークシステムに参加して感じたこと

三品 香 (株式会社キャリアンヌ)  Vol.801

 皆さま、初めまして。三品香(みしな・かおり)と申します。企業広報や事業マーケティングの伴走支援という自営業の傍ら、50歳からの一念発起ということで、社会構想大学院大学という社会人向けの専門職大学院に入学し、社会人院生をやっています。専門はコミュニケーションデザインです。2026年6月現在、研究科2年生です。

 関西ネットワークシステムには、気の遠くなるような若かりし頃(20代ですね、笑)からお世話になっていた方が、長らくこちらの世話人をされていたことがあり、コロナ禍以降、色々と引きこもっていた私の交流人口を増やすために引っ張り出してくださり、流されるままに入会しました(笑)。

 キャリアのスタートはコピーライターだったのですが、23歳で個人事務所を構え、28歳で法人化。当時、長く厳しい経営者の学びの場にいた私は、閉塞感を打破したいと思いつつも、心身ともに疲れ果て、正直あまり気乗りしないままの入会でした。

 転機は、まさに去年の今頃、2025年6月に開催されたKNSの研究会「オープン・サイエンス研究会」に参加したことです。

 当時の私は、社会人大学院生として自身の研究テーマを明確にしていかなければならず、でも、研究なんてやったことがない。「研究って何?」「問いって何?」と頭がパンパンでした。

 そもそもヤングケアラーとして育った私は、経済的事情もあり、大学などで学ぶことより働くことを選んだ身です。社会人経験を活かし、飛び級のように入学させていただいた大学院で、同期の皆さんの意欲に圧倒される中、何からどう手をつけて良いかわからない。仕事、家庭、親の介護、そして勉強が一気に押し寄せ、空回りする日々でした。

 そんな状況下のある日、コミュニケーションデザイン演習という、いわゆる指導教員の先生のもとで研究を温めていく「ゼミ」で、同期が「科学コミュニケーション」という私の知らない世界の研究を発表していました。

 「科学コミュニケーション?」となったその日の夜に届いた、「オープン・サイエンス研究会」のお知らせ。ご案内文の下のほうに書かれていた文章に出会います。


*オープン・サイエンス研究会は、KNSの有志で続けてきた「サイエンスフェアin兵庫」への参加・出展が10年を越えるのを機に立ち上げました。サイエンスやテクノロジー、あるいはそれらから生み出されたものと、人や社会の活動との接点について、“科学をひらく”気持ちで、みなさんと一緒に、面白そうなところを探ったり、体験したりするところから始めて、発展させていければ、と考えています。

 あ、これが「科学コミュニケーション」の一つなのかもしれない。

 そう思い、興味本位で大和大学の千葉先生の研究室訪問に出かけました。そして新参者ながら厚かましくも懇親会へ参加。

 初めましての見知らぬ皆さんのもとで、社会人大学院に入ったこと、論文を書くことに難しさを感じていること、今の自分の戸惑いを酒の力を借りて吐露してみると……千葉先生がぽつり。

 「論文なんて書くのは簡単だよ。研究したことを書いていけばいいだけだから。だから研究しないと書けないよ」

 目から鱗、思考に電撃が走るとは、まさにこのこと。私はなんと頭でっかちだったのか。そうか、研究しないと何も書けない。私、まだ何も研究していない。そんなシンプルなことに気が付いていなかった自分がいました。

 その後も、懇親会に参加されていた諸先輩方の温かなご助言が続きます。

 「問いなんて、難しく考えず、なんでかな、これどうなってるのかな、って小学生の気持ちでいいんじゃないの。僕らみんなそうだよ」
 「で、何を研究していきたいの?」

 科学の人たちに超文系な話をしているにもかかわらず、「ふむふむ、KNSに〇〇さんがいるから聞いてみたら?」「〇〇大学の〇〇先生、詳しいんじゃないの?」等々、ワイワイがやがや、なんとも温かい時間でした。

 経営者の学びの場で、自分の至らないところばかりを指摘され続けた日々に疲弊して、正直なところ、人の集う場が怖くなっていたのですが、あの日の居酒屋の時間がなければ、今の私はいないと思います。

 その後、何か吹っ切れたのか、定例会に真面目?に出るようになり、定例会のプレゼンに参加してみたり、杉浦世話人にお誘いいただいて、サイエンスフェアin兵庫のプレゼント交換係としてお手伝いさせていただいたりしました。

 大学院のほうでは、専門職修士号のための研究とは別に、文部科学省が認定する称号「社会教育士」の取得を目指して認定講座も履修したり、シティ・プロモーションという講義で某市への提言づくりが始まったりしています。

 KNSでも少しずつ顔見知りの方が増えてきて、何より、オープン・サイエンス研究会の方々のお顔を見るとホッとするようになり、マイ関係人口の拡がりを楽しめるようになってきました。

 そして!今年のお正月休み返上で書いた生まれて初めての論文が大学院の紀要「社会構想研究」に掲載されました。研究ノートというジャンルではありますが、研究者の卵として初めの一歩が踏み出せた気がします。

 KNSに入っていなかったら、オープン・サイエンス研究会に参加していなかったら、そして、ご紹介者の方のお誘いを断っていたら、今の私はここまで研究に向き合えていなかったかもしれません。

 これから、コミュニケーションデザイン修士(専門職)の学位取得を目指した研究が、いよいよ本格化します。私の研究ジャンルも、社会科学領域、特に組織行動科学へと焦点化してきました。

 「K=必ず、N=飲んで、S=騒ぐ会」の真意を自らの身をもって感じた私は、これからも楽しみながらKNSに参加し、一人でぽつんとされている方がいらっしゃれば、今度は私から声をかけてみたいと思います。そしていつか自分の研究もプレゼンできるようになれたらいいな、と思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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