中国人の生きる原動力は子供への無限の愛と責任
金 桂紅 (金国際クリエイト株式会社)
Vol.808
私がKNSに通い始めて、もう16年目になりました。最初は週に2-3回参加した時もあり、その時は平均すると週一の参加だったかもしれません、笑。KNSでは学びのことが多く、且つ色々な分野で活躍している人に出会う機会も多く、私には大変新鮮で魅力でした。KNSの参加者の中で私は唯一の外国人でしたが、参加率が一番高かったのも私かも知れません。今になって考えると周りの人は私のことを頭が狂っている中国人だと思ったかもしれません。(汗)
最近はベースを東京に移したのもあり、なかなか参加出来ず去年はとうとう年間参加回数0回になりました。幸いKNSの皆さんに覚えて頂き、近年は大体年に一回のペースでコラムの依頼があり、コラムを書いています。今回はKNSの世話人の増田さんより中国に関してコラムを書くように言われてましたので、快く受け入れました。今回のコラムでは、今の中国の様子をリアルに書きましたので、中国に対して偏見が多い日本人に本当の中国・中国人を知って頂けると幸いです。
中国で唯一使えるのはWeChatと言うアプリです。WeChatはFacebookのように近況を投稿できたり、LINEのように色々なやりとりができたり、PayPayのようにおサイフ機能もあります。中国では99.99%の確率でこのWeChatのお財布機能が使用可能です。中国では現金、クレジットカードはめったに使いません。このアプリでどこに行っても支払いが可能です。
また、WeChatは公共インフラにもなっています。例えば、電気、ガス、水道、携帯の料金が払えます。それ以外に、年金、健康保険料も払えます。コロナの時には、役所がこのアプリで個々の市民のワクチン接種回数の管理をしました。
更に、WeChatアプリのユニークな点は、このアプリをベースに色々な機能が使えることです。例えば、このアプリの中に個人タクシーを呼ぶ『滴滴』と言う機能があります。この『滴滴』 は一般人が時間がある時に『滴滴』機能より仕事をもらい、自家用車がタクシーに変身することです。『滴滴』タクシーを使うと、どの経路を走るか、料金がいくらになるかが事前に分かります。且つ、車内に監視カメラがあるので、安全面でも普通のタクシーより安心出来ます。『滴滴』は便利、且つ安いので自家用車は要らないと言う人もいます。
WeChatアプリのもう一つのユニークな機能は、便利屋さん機能です。例えば、物をどこかに持って行くとか、どこから物を持ってくるとか、野菜を買ってくるとか、レストランからご飯をテイクアウトして来るとか、何でも頼めます。私が住む小さい町では、一回100円で頼めます。上海では、距離にもよりますが、500円位で頼んだことがあります。
WeChatアプリは、海外でも多くの人が使っています。本当に使用人数、機能ともに巨大なスケールの物だと思います。
現在中国の物価状況を見ると、何でも安く、かなりのデフレ状況です。私の実家は人口4万人の小さな町にありますが、夏になると野菜が基本的に1Kgで80円です。例えば、茄子、ピーマン、きゅうり、トマト、スイカ、プラム、小さい桃等。私は一日200円で野菜と果物が自由に食べられます。牛肉は1Kgで1600円位、豚肉は1Kgで500円位です。肉はちょっと高いです。卵は、1Kgで250円です。因みに携帯使用料は、100分無料通話と50Gバイトのインターネット使用のセットで月に1000円です。
中国人は超勤勉な民族です。その特徴の一つとして、野菜作りが大好きです。マンションとマンションの間、或いは道沿いに畑を作り、野菜を作っている人たちがいます。結果的に、人口が減っているのに、多くの一般人が野菜を作っているので、農民たちはなおさら野菜を売りにくく、値段がかなり安くなりがちです。
中国では今、農民の収入が一番低いです。昔から、農村経済改革が重要視されていますが、今も色々と試行錯誤している感じです。50年前は、60歳位のおじいちゃんが村長でしたが、30年前は40代で、10年前頃からは大学を卒業したばかりの20代が村長です。その中で分かったのは、一番良いのは大学を卒業したばかりの20代が村長になることです。若い人立ちの素直な発想、迅速な行動力、最新知識・ツールの応用力は、農村のおじいちゃん、おばあちゃんの一番強い味方だと思います。農村経済において、如何に多くの農作物を作るかが重要ですが、同時に如何にたくさん売るかも重要です。今の若い村長らは、セルフメディアを活かして、ライフ放送をしながら農民の農産物を売っています。非常に良く売れています。
中国では親が子供の教育に物凄く力を入れています。同時に学校も教育に大変力を入れています。結果的に、宿題などが多く、子供と親両方ともが物凄く負担を感じています。一部の親は欧米のゆとり教育を求めて、子供を連れて欧米に移住することがありますが、行ってみたら欧米では小学校と中学校では殆ど勉強を教えないので、子供の学力が心配で、また中国に戻ることも多いです。
中国の親は塾での勉強にも物凄く投資してます。塾の費用が大変高く、1科目で1ヵ月に2万円位します。一部の親は子供を五個位の塾に通わせるので、それで1ヶ月に10万円位になります。数学、英語、スピーチ、ピアノ、スポーツ、ダンス、水泳などの塾が人気です。この10万円と言う数字は、中国では上位クラスの収入になります。新卒の1ヵ月の収入が7万円位です。そして50代の人の収入が一ヶ月で10万円位です。だから、中国では子供を育てるための費用がかなり高く、それこそ父方のおじいちゃんとおばあちゃん、母方のおじいちゃんとおばあちゃんの収入も子供の教育に回すことが良くあります。つまり、一人の子供を育てるために、六個の財布からお金を出し合ってる状況です。
中国は能力主義であるため、給料に格差が大きいです。その為、大都市にはお金持ちが多ければ、農村には貧しい農民も多いです。多くのお金持ちは、子供を海外留学させるのが流行しています。留学先は欧米が圧倒的に多いです。
中国のおじいちゃんおばあちゃんたちは、自分の子供の子育てに関して、頭が狂っていると言っている人もいます。中国は日本に比べると就職難の問題と、中国人固有の頑張り屋の性格もあり、子供の教育は全員の一番の焦点になっています。
中国では子供が結婚する時に、結納として男性側から女性側にお金を持って行く慣習があります。貧しい家庭で300万円ぐらい、一般家庭で1000万円ぐらい、お金持ちは1億円ぐらいを持って行きます。そして、結婚する時に、男性の親がマンションとか、車を買ってあげることも良くあります。上海などの大都市ではマンションの値段が高く、頭金を出してあげるのが多いです。中国の親はとにかくお金が必要です。(汗)
中国のもう一つの特徴は、子供夫婦が共働きが出来るように、おじいちゃんおばあちゃんが孫の面倒を見ることです。孫が生まれる時から、おじいちゃんおばあちゃんが子供と同居しながら、孫の面倒を見てあげます。幼稚園に行く前は家でおじいちゃんおばあちゃんが見ているし、幼稚園に通う時からおじいちゃんおばあちゃんが送り迎えをやったりします。そして、おじいちゃんおばあちゃんは買い物、家の掃除、ご飯作り等家事全般を受け持ってやります。この状況は、幼稚園までか、小学校までか、それとも中学校までか、家庭により異なります。その為、子供は大変楽で、且つ殆どの女性が家庭の心配をせず、男性と平等に仕事に励んでいます。特に、女性が社長、部長などをやるケースも大変多いです。同時に、女性もかなりの高収入を得ている人が多いです。そういう意味では、中国には日本の10倍位の人口がありますが、労働力としては20倍位かもしれません、笑。そして、子供が海外で暮らしても、おじいちゃんおばあちゃんが海外に行って、孫の面倒を見るし、野菜作りもします。最強の親だと思います。子供への色々な援助は、中国では当たり前で、親の責任だと考えている人もいます。(汗)
現在、中国経済はかなりデフレの状況です。コロナ前から住宅の値段が下がり始めましたが、コロナ後には半分位まで下がりました。その為、今中国では住宅が大変安くなっています。同時に、新築も減る傾向です。
中国経済は、コロナ後には一時期悪かったのですが、今はすっかり回復したような気がします。多くの会社で頻繁に求人を出しているし、給料もかなり高く出してる企業が多いです。例えば、技術系、或いは営業系の課長レベルの場合は、給料が1ヵ月に20万―40万位の企業が少なくありません。そして、その上位レベルの部長になれば1ヵ月に80万―100万円位の人も結構います。工場で働く労働者の場合は、1ヵ月に8万ー10万位が普通です。
中国では、今は女性が55歳、男性が60歳で退職しますが、つい2-3年前までは、女性が50歳、男性が55歳で退職する人が多かったです。その為、仕事をしないで年金で暮らす人が比較的に多いです。つまり、若くて健康なのに仕事をしないで、年金暮らしをしている人が多いです。このような人たちは、毎日生活を満喫しています。中国では90%以上の人が家を持っています。その為、退職後に会社に通うストレスもなく、衣食住にも困らず、毎日狂ったように生活を満喫しています。私の知り合いの某70歳未満の女性は、ご主人と2人で朝4時に起きて釣りに行き、その後8時頃に家からバスで40分位の山に行ってダンスサークルで太鼓を叩き、お昼頃に家に帰り、午後2時頃から家の近くの公園に行ってまた太鼓を叩き、夕飯を食べてからまた公園に行って太鼓を叩きます。結果的に、仕事はしないけど、毎日大変忙しい生活をしています。私がその人に太鼓を叩くメリットを聞いたら、運動にもなるし、精神的なストレスもたちまちなくなるそうです。笑。
中国は日本に比べて、かなり緩い社会です。夏になると農民たちが自分で育てた野菜を町に持ってきて、道沿いの床に置いて売っています。実は、道沿いに野菜スーパーもありますが、多くの人は野菜スーパーより、農民が直接持ってきた野菜が新鮮で安いので、それを買っています。
近年、中国は治安が大変良く、且つ交通が大変便利で、また買い物も大変便利です。監視カメラが多いのが理由だと言っている人がいますが、泥棒も、強盗もいないです。あるとすれば、オレオレ詐欺とか、ネット詐欺位です。
中国も新幹線が大変良く普及されています。1時間に400Kmの新幹線も多いので、中国のどこに行くにしても新幹線で気軽に行けます。また、中国国内の飛行機も結構多くて、大きい中国であっても簡単に北から南、東から西に行けます。中国の公共バスも大変多く、路線も良く設計されています。その為、公共バスを利用する人もかなり多いです。それ以外に、タクシーを利用してる人も多いです。上海などの大都市でも500円位で済むことが多いです。もっと近い距離であれば、それこそ200円、300円で行ける所も多いです。そして普通のタクシーより、ほとんどの人が『滴滴』を使っています。
近年、中国では40代、50代、60代、70代の女性が欧米にお嫁に行くことが多いです。その背景には、欧米の女性に比べて中国の女性の方が勤勉で、家事が出来て、お金の無駄遣いが少なく、そしてご主人の理髪や、健康管理等の面倒も良く見てあげるそうです。もう一つの理由は、欧米人に比べて中国人の老化が遅いそうです。その為、同じ年齢であっても中国人の方がはるかに若く見えるそうです。それ以外に、中国の女性の方が従順で、男性と喧嘩が少なく、仲良く暮らせる面もあるそうです。反対に、欧米の男性は、若いわがままな女性より、年相応の物分かりが良い人を好んでいるそうです。そして面白い事は、中国の女性と結婚した欧米の男性は、最初は中国に1回位遊びのつもりで来ますが、1回来ると中国の治安の良さ、交通の便利性、医療の速さと安さ、物価の安さ、食べ物のおいしさに魅了されて、すっかり中国に移住する人も多いそうです。欧米は野菜が高いので、中国の女性は欧米に嫁いだ後も、そちらで野菜作りをするそうです。中国人の前世は全員野菜農家だったのでしょうか?(笑)
中国人は大変頑張り屋で、熱心にお金を稼ぎ、熱心に貯蓄し、普段は大変質素な暮らしをする人がほとんどです。中国にはエレベーターがないマンションが多いので、便利屋をやっている人などは、一日に何十回(それ以上かもしれませんが)も6階建てのマンションを登ったり降りたりしながら、物を届けています。タクシー運転手は、1日に12時間位働いてる人も良くいます。
中国ではネット販売と物流が、新しい中国人の生活スタイルになっています。私の場合も野菜とか肉などは家の近くの市場、或いはスーパーで買っていますが、電子機器、家庭用品はほぼ100%ネットで購入しています。ネットの方が種類が多く、値段も安いです。そしてネットで購入した物が100円、200円の安物であっても、家の近くの宅急便スーパーまでに届けてくれます。アプリで届いたと言う連絡があれば宅急便スーパーに取りに行きます。上海などの大都市では、朝注文すると夕方に届くそうです。私の実家は東北地方なので、配達に良く4-5日位掛かります。そして中国のネット販売のもう一つの特徴は、買った物を1週間以内であれば理由なく返品できます。返品する際の送料も軽い物の場合は0円で、重い物は送料が掛かりますが、それでも400―500円位で返品できますので、本当に気軽にネットショッピングを楽しめます。
中国は世界の工場と言われましたが、今は世界のサプライヤーでもあり、世界のイノベーション集積地でもあると思います。その裏には、原材料の生産や、リサイクル生産も多く、結果的に危険、汚い、きついの3K工場も多いです。3K工場をしっかり運営出来ているのは、中国の強みでもあるし、我慢強く働く中国人の特徴でもあります。今、多くの国では3K工場で働く人がいなく、仕方なく工場を海外で運営しているのが多いです。
中国の経済発展に伴い、中国の文化芸術も大変進んでおります。中国ではテレビ番組が100―200個位あると思います。まず、CCTV(中央テレビ)に20個位の番組があるあり、それ以外に中国の各省、各市ことにテレビ局があります。このようなたくさんのテレビ局の番組を中国ではインターネットで見られます。インターネットテレビの契約には年間2000円位掛かります。
中国のテレビの中で、個人的にはニュースが大変好きです。ニュースの中には、世界情勢以外に、中国の重点的な科学技術(例えばAI)、農業、良い人良いこと、災害など本当に色々な内容があります。とにかくニュースの範囲が非常に広いです。ニュースを見るだけでも中国、或いは世界の出来事を正しく理解でき、人々が正しい判断が出来るように情報を提供しています。
中国のテレビドラマも大変よく出来ています。あまりにも面白く、私はドラマを見始めると毎日寝ないで見ないと気が済まないので、ドラマは全然見ていません。
そして中国の歌、ダンスも大変素晴らしいのが多いです。特に今の30代、或いは40代が作詞作曲した歌は良いのがたくさんあります。私は歌を歌うとストレス解消になるので、公園にマイク型の簡易なカラオケ―機を持って行って思いっきり歌います。日本では公園などで誰かが大きい声で歌うと、クレームが来ると思いますが、中国では誰も気にしません。この緩い感覚も中国人らしいですが…(笑)
そして中国ではセルフメディアが大変進んでいます。YouTubeに似ています。WeChatアプリ、或いは他のアプリでも可能ですが、皆さんが自作のショート動画をたくさんアップしたり、ライフ放送をしたりしています。非常に良いものをアップする人が多いです。多くの人はセルフメディアで自己アピールをし、集客し、物販などを行い、収入を得るのが目的です。この熱心さも中国人らしいでしょう。(笑)
そして中国では朝、或いは夜に大勢の人が自由に公園に集まって踊るのが多いです。以前は前に先生がいて、みんな同じ動作をしましたが、最近は先生無しでそれぞれが好き勝手に思いっきり踊るのが流行っています。話によると、ここで踊っている人たちは免疫力が高く、冬に全然風邪を引かないらしいです。
私はある日本人に、中国は就職難があると聞きましたが、みんな不安に思わないですかと聞かれました。就職難があるのは確かで、不安に思っているのも確かです。しかし、この不安が理由で、みんな子供の教育に全力で取り組み、仕事があればそれが『滴滴』であれ、便利屋であれ、90歳の老人の介護であれ、とにかく一生懸命にやってお金を稼ぎ、貯金し、子供とか孫に回すのが現状です。日本とか、欧米は子供が一人一人独立するのが一般的ですが、中国では色々な困難を家族が一致団結して解決していくのが特徴だと思います。良く中国が強くなったと言う人がいますが、その根幹にあるのが子供に対する親の深い愛情、莫大な愛情、無限な愛情だと思います。人材を育成し、人材をフルに活躍させ、且つ家族の為に3Kの仕事にも果敢に挑戦するのが中国発展の理由の一つだと思います。