Members Column メンバーズコラム

東京マラソン2024に参加しました

遠藤 達弥 (国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター)  Vol.687

皆さんこんにちは KNS世話人をしております遠藤です。
今月のコラム担当になったこともあり、せっかくなので書かせていただきました。

この2月に吹田市にある、JR岸辺駅とつながっている国立研究開発法人国立循環器病センターというところに転職しました。今回で6つ目の職場(組織)になります。今回はそのことを書こうと書き始めましたが、3月3日(日)、そう、晴天のなか東京マラソンを走っているときに浅草へと向かう途中で、今回のコラムで東京マラソンのことを書くようにという天からの啓示のようなものがありましたので転職のことは今後おいおいにということで、まだ慣れている最中ということもありますし、東京マラソンの話をさせていただきます。

東京マラソンを走るのは今回で4回目、前回が2019年3年と新型コロナ禍の前年、終始かなり激しい雨が降っていて、記録自体はグロスタイム(スタート号砲時からゴールするまでの時間)で4時間を切る(いわゆる「サブフォー」)という上出来の走りでしたが、寒い中、沿道の声援も少なく、まさにひたすら自分との闘いだったように記憶しています。

今シーズンは昨年10月から12月まで3つのフルマラソンの大会に出場しましたが、外での運動は控えるようにといった夏の酷暑にかまけて練習もほとんどせず、なんとかゴールするということが続いたこともあり、すこし気の重い東京入りでした。前日午後にアスリートビブス(「ナンバーゼッケン」のこと)を受け取りに東京ビックサイトに行き、企業の出展ブースをまわり、写真を撮ってもらうことで多少テンションは上がりましたが。

当日の朝は快晴、前回と同じスタートの都庁まで歩くことのできる距離にあるホテルに宿泊して早めに出発。30分ぐらいかけて到着し、荷物を預けてゆっくりと指定されたスタートブロックに並び、スタートの9時10分を待ちます。ここで「さあ、走るぞ」という覚悟を決めたような気がします。
ちなみに昨年はトイレ問題が話題になったため、スタート地点付近やスタート直前に多くの簡易トイレが設置されてスムーズであったように見えましたが、コース上では長い列ができていて難しい課題でしょうね。

そうこうしているうちに、9時10分になってスタート。ただ、参加人数が多く、中間よりすこし後ろからでしたので最初はのんびりと徒歩でスタート地点まで向かい、結局、走り始めたのが15分ぐらい過ぎた頃でした。スタートの都庁から新宿駅を横切り、市ヶ谷あたりまではじめは下りが続きますが、人が多くてペースに乗れず、人をよけながら走ると無駄な体力を使うしとジレンマのなか、今日は記録を目指すのはやめようという心の囁きがおこります。

前日の夜、大会のパンフレットを見ていたら、フルマラソンの参加人数が37,500人でそのうち海外からの出場者が上位8か国だけで10,000人。台湾や香港からの参加者は他の大会でもよく見かけるのですが、今回は米国が一番多くて約4,000人、3番目がイギリスからのようでした。東京マラソンがワールドマラソンメジャーズ(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティマラソンの6大会)に入っていて、全ての大会完走を目指し、残りは東京マラソンだけという表示を背中に掲げている人をたくさん見かけました。ただ、それよりもタイやインドネシアが上位8か国に入っているということを意外に感じましたが、実際に走っていると納得です。他にもいろいろ、どこを走っているのか忘れてしまうほど国際色が豊かです。それは沿道からの声援も同じで、他の大会では地元の人たち以外には「加油」という台湾の人たちの声援を聞く程度ですが、今回は様々な国から来た、また、東京などに住んでいる人たちで、ここは日本かと思ってしまうとともに、背中を押される感じです。

結局、心の囁きが勝ることになり、10㎞の秋葉原ぐらい以降は観光さながら、浅草雷門や東京スカイツリーとアサヒビールのモニュメント、両国など景色と声援を楽しみながら走っていると、26㎞付近で悪夢が。左脚が攣ってしまい、ここからは走ったり、すこし歩いたりの繰り返し。ただ、観光気分はそのままに、その後の日本橋や銀座、特に増上寺のバックに東京タワーやアークヒルズタワーが見える風景はよかった。スマホでの撮影も考えたけれど、そんなのもったいないと目に焼きつけることにしました。

晴れた心地のよい天気とそこを走っている人たち、それを応援している人たちをながめて楽しんでいましたが、残り5㎞あたりからは終わってしまうのが寂しい、ゆっくり走っているのでまだ体力は十分にあり、このままずっと走っていることができたらという気持ちに。ただ、走っていると当然のように㎞表示のカウントダウンは続き、日比谷公園を過ぎると残り1㎞の表示があり、左折して丸の内仲通りへと入ります。

すぐに石畳のでこぼこの走りにくさをシューズ越しに感じることで過去の走った記憶がよみがえり、ついにここまで来たんだという気持ちになります。
この通りを走りぬけて左にある皇居に向かってゴール。それほど道幅のない通りの両側にぎっしりと並んだ人たちからの声援で気分がさらに上昇して走る速度をあげたくなるのを抑えて逆にすこしゆっくりと、最高に気持ちのよい時をできるだけ長く続くようにと走りますがゴールするときは来ます。タイムはおおよそ5時間と前回に比べて1時間以上余計にかかりましたが、しあわせな時間をその分多く過ごすことができました。そして、または走りたいと。

たぶん60回以上フルマラソンを走っていますが、ほとんどが大変で、このようなことはまれです。ただ、人生と同じ、大変なことが多いですが、その先にはご褒美もあります。

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