Members Column メンバーズコラム

ひざを痛めて考えたこと

上野山 泰成 (公益財団法人大阪産業局)  Vol.688

足が痛い。私は、約30年前に幼なじみ達と結成したフットサルチームに入っていて、月に1回程度の練習にはできるだけ参加するようにしているのですが、昨年末のクリスマスイブに左ひざを「やって」しまいました。準備運動は入念に、決して無理はせず、まるで監督かのようにベンチを温め、ケガには十分に気を使ってはいたものの、やはり思っているほど体は動いてくれません。たまたまゴール前にいたところ、思いもよらずパスが来たのでとっさに足を伸ばすと変な方向に捻じれてしまいました。
これまでも時々、軽い捻挫や突き指をしたりすることはあり、翌日の仕事に支障がでないか心配しながらシップを貼ったり、しばらく痛みを抱えたまま過ごすことはありました。しかし、今回は明らかに今までとは違いました。左ひざは腫れ上がり、病院に行ったところ骨折はしていないということでしたが、注射2本分の(血の混じった)水を抜かれました。その後は、言われたように安静に、なるべく動かさないように気をつけながら3カ月が経ちましたが、左ひざを曲げるとズキンと痛みが、、、
痛がるばかりで病院に行く時間がないと言う私を、家族は半ばあきれ顔で見ています。病院が大嫌い、ということはないのですが、気づけば、なんとなくまあいいか、とりあえずはなんとかなっているよな、という綱渡り的な状態をズルズルと続けています。これは、楽観的というよりも、不安から目をそむけているだけという何とも情けない話です。

 時を同じくして、家のあちこちで修繕が必要な状況が同時多発的に発生しました。住まいにもガタがきているのだなぁと実感します。発端は水でした。突如、台所と洗面、浄水器までがいっせいに金切り声をあげ、何事かと家族みんなで家中をウロウロしたものの原因は不明、その日以降、浄水器から水がポタポタと漏れるようになりました。そうなると、今まで風呂場のシャワーの根元から水が壁を伝って流れていること、玄関の門扉や室内ドアの建付けの悪さ、洗面台の床に数年ほど前からある薄い水のシミや床の凹みなどがものすごく気になり出し、とうとうマンションのリフォーム会社に連絡をすることになりました。
まずは、営業担当の人、次に技術者の方が来ていろいろと調べてもらいました。自宅のマンションは築20年目といったところで、これまでも必要な時は修繕してきました。でも、それは突然の故障や不具合でお湯が出なくなったりするなど、たちどころに毎日の生活に支障が生じた時だけ。普段は当たり前に動いているので、ことさらに更新や新調などは検討しておらず、調査の日は、ここぞとばかり家の中のいろいろな場所の不具合について次々に質問をしてしまいました。
 業者の方によると、通常10年から15年くらいでいろいろ問題が生じるもので、いわゆる「老化」は避けられないということでした。その中で、フローリングの深いキズなど、もう今の時点で完全な修復は(物理的にも経済的にも)難しく、「そのキズは家の歴史、よその家にはない味として置いておくのが宜しいのでは」と、至極まっとうな提案をされたものもあります。子どもがこんなに大きくなるまでずっと住み続けてきたのだから、傷んでもくるよなぁと思いながら、人間と同じく住まいにも“寿命”があること、そして寿命を全うする、もしくは、より“健康”寿命を伸ばすためには、その対策が必須であることを改めて実感しました。

左ひざを痛める少し前、昨秋に義理の父が亡くなったことも、自分の老いや来たる死を意識するきっかけとなりました。父は高齢でしたが、常日頃から熱心に健康維持に取り組んでいましたが、昨年4月にがんが発覚してから8か月間程の闘病、最後は大往生でした。私にとって、父の死は、人がどのように生き、死んでいくのかを身近で見る初めての経験となりました。

父の死もあり、また住居の老朽化と自分の老年化が進むのを目の当たりにして、いま“当たり前”でいられることに感謝しなければと思うとともに、これからの行く末を考えるようになりました。そうするうちに、ふと10年以上前に旅行した沖縄県の宮古島の記憶が蘇りました。8月末ごろに訪れたのですが、東洋一といわれるとても美しい砂浜で、日差しは強かったのですがパラソルの下にいると涼しい風が吹き、一日中、それまでに経験したことがないくらい心地良く過ごしました。私にとって本当に幸せな思い出の一つです。その楽しかった経験から、宮古島に移住したいと思い立ちました。すぐに「リタイア後は宮古島に移住すること」を妻に提案してみたのですが、彼女は全く理解を示してくれません。何度説得を試みても状況は変わりません。
今はまだ願望に過ぎませんが、このプランを何とか実現させるために、計画を具体化させていこうと色々と思案する毎日です。妻に納得してもらえる妙案があれば、アドバイスいただければ大変ありがたく、みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

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