Members Column メンバーズコラム

岩手で暮らすということ~大阪から戻って~

山本和広 (岩手県商工労働観光部企業立地推進課)  Vol.285

山本和広

岩手県企業立地推進課の山本です。
今春に3年間過ごした大阪を離れ、岩手に戻ってはや7か月が過ぎました。大阪赴任中はあまり岩手へ帰省しなかったこともあり、大阪と岩手の生活の違いを改めて感じています。
 今回のメンバーズコラムは、岩手(ただし県都・盛岡の郊外)での暮らしについて、大阪との比較を交えながら“私基準”で雑駁にお伝えしようと思います。異論・反論はあろうかと思いますが、ひらに御容赦を…。

【自宅→最寄り駅】(変わらない)
 《大阪:徒歩5分 → 岩手:徒歩7分》
 あまり変わりませんが、周りを歩いている人数は極端に少なくなりました。最寄り駅周辺の住民が現役世代を退きつつあるためか、“通勤者”自体の減少が感じられます。

【出勤時間帯の電車の本数】(減った)
 《大阪:2-3分に1本 → 岩手:7-15分に1本》
 そこそこの本数はありますが、運転間隔がまちまちで、乗り遅れないよう余裕を持って家を出る必要があります。私は座席確保のため発車10分前には駅へ着くようにしています。

【出勤時間帯の電車の両数】(減った)
 《大阪:10両 → 岩手:2両or4両》
 出勤時間帯のピークに4両の電車が運休(or遅延)して2両の電車しか動いていない場合、大都市顔負けの超寿司詰め状態となります。(もともと一編成当たりの車両数が少なく、通常でも混雑します。毎朝寿司詰めの電車もあります。)

【終電発車時刻】(早くなった)
 《大阪:23時45分頃 → 岩手:23時頃》
 金曜日の終電は酔客で大混雑しており、シラフの人にとっては行き地獄。これは大阪も同じですね。ちなみに終電の1本前は22時半頃発…間隔長っ。

【駅→職場】(遠くなった)
 《大阪:梅田駅から地下を徒歩10分 → 岩手:盛岡駅から地上を徒歩30分(遠回り)》
 距離は遠くなりましたが、吸う空気が格段においしいです。何より、あの“特有のニオイ”がありません。

【自宅→最寄りのコンビニ】(かなり遠くなった)
《大阪:徒歩2分 → 岩手:徒歩15分》
最寄り駅とコンビニの方向が全く違うため、帰り掛けに行くという行為が成立しません。実質的には帰りの電車に乗る前に立ち寄る盛岡駅周辺のコンビニが“最寄り”です。

【自宅→最寄りのスーパー(24時間営業)】(相当遠くなった)
《大阪:徒歩10分圏内に4軒 → 岩手:車で10分、徒歩なら50分》
飲んだら最後、「ちょっとスーパーへ買い物」なんていうことは不可能です。
冬の路面凍結時は、買い物ではなく、行き帰りの運転がメインイベントとなります。

【勤務先→最寄りのゆうちょATM】(不便になった)
《大阪:1ビル地下2階(平日7時-23時) → 岩手:県庁1階(平日9時-17時30分)》
 ちょっと気を抜くと生活資金が下ろせないことがある、それが地方です。

【自宅周辺からの眺望】(とても良くなった)
 《大阪:ビルしか見えない → 岩手:岩手山がきれいに見える》
 大阪の公舎では、道路を挟んだ向かいの会社の人と目が合いそうになることがありましたが、今は庭の向かいの畑で野良仕事をしている近所のおばあさんと目が合いそうになります。

【自主的クールビズ(Yシャツ出勤)の期間】(短くなった)
 《大阪(H26):11月半ばまではいけたと思う →岩手(H27):10月13日をもって断念》
 寒すぎて負けました。背広の上着を職場のロッカーに置いて、ワイシャツの上にジャンバーを直に着る形での地味な抵抗(何に?)は継続中です。

【買い物(諸々)】(やっぱり地方はイ○ンなのか)
《大阪:梅田で大概の用が済む → 岩手:某大手ショッピングモール》
 職場から徒歩10分圏内に阪急阪神ルクアヨドバシ三番街…何の不便も感じませんでした。

【職場最寄りの書店】(変わらないけど、少し違う)
 《大阪:堂島の某大型書店 → 岩手:同じ系列の某大型書店or地元有名書店》
 大型書店と地元書店にはそれぞれの特色があるので使い分けを心がけています。

【テレビ(民放地上波)】(コンテンツが全然違い、チャンネル減以上の喪失感)
 《大阪:在阪5局+サンテレビ+KBS京都 → 岩手:4局》
 当然ながらテレビ東京系列の放送局はありません。青森(フジ系がない)・秋田(TBS系がない)に比べれば北東北では恵まれていると思います。関西のローカル番組がほとんど見られないのが痛いです。慣れ親しんだ「ホテルニューア○ジ」のCMも当然見られません。

【ラジオ(民放中波)】(変わらない)
 《大阪:radikoプレミアムに毎月お金を払う → 岩手:左に同じ》
 阪神が勝った翌朝には、ABC・道上洋三アナの六甲おろしが数秒遅れでクリアに聴けます。

 以上、だらだらと書き連ねてみましたが、私の住んでいる盛岡周辺のエリアは県内でも生活利便性が高いわけで、これが少し離れた地域になると条件が一変します。
 四国に匹敵する広大な面積の岩手では、人口が集中する内陸の北上盆地から沿岸までは車で2時間。その間に広大な中山間地域が横たわっています。スーパーもATMも電車もない、バスの本数もほとんどない、周囲は見渡す限り山…いわゆる「限界集落」も相当数あります。
 そういった環境ですが、沿岸までの道すがらには一定間隔で“産直”があります。本県農林水産部の調査によれば、県内の産直施設数(有人に限る)は平成25年度時点で287か所。集落単位の小さい店が多いですが、そのぶん地域の方々で運営されているという温かみがあります。また、最近は街なかの産直施設もちらほら目につくようになっています。旬の新鮮な野菜・果物や肉類・魚介を低廉な値段で、しかも身近な場所で容易に手に入れることができるのは、岩手暮らしならではと実感しています。素朴な惣菜・菓子・パンなどが充実しているのも魅力です。
大阪での生活に疲れたら、岩手で産直巡りなどいかがでしょうか?

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