Members Column メンバーズコラム

クール&クリエイティブ関西事業について

内海美保 (近畿経済産業局)  Vol.263

内海美保

私が所属する近畿経済産業局のクリエイティブ産業ユニットでは、2年前から「クール&クリエイティブ関西」プロジェクトを実施しています。平たく言えば、関西版クールジャパンです。クールジャパンというと、アニメやマンガなどのポップカルチャーを思いうかべる方も少なくないと思います。しかし、関西版クールジャパンは、少し趣が異なっています。関西には伝統と文化に裏打ちされた素晴らしい地場産業や伝統工芸品が多く存在しており、私たちの日常生活の中で使われています。これらの魅力を海外にもっと発信できないかというのがそもそもの発想でした。

 最初にどこの国をターゲットにするかと議論していたとき、フランス人は日本の伝統や文化をリスペクトしていて、日本人が日常に使っているものに文化のみならず、エコ、合理性なども感じ取るという話を聞きました。日本人よりも、その裏にある精神性や文化性を尊重します。日本の伝統的な日用品などは、フランスの人たちにその歴史や文化性とともに受け入れられるのではないかと思いました。
ちょうどフランスで20年以上暮らし、日本の良いものをフランスに紹介するビジネスを展開していたS氏から連絡がありました。彼はパリのル・サンタンヌ通りで日本の伝統工芸品などを売るショップを経営していました。単に小売りをするだけではなく、メゾン・エ・オブジェなど展示会に出展後のポップアップイベントなどを年間に十数回開催していました。そこで、パリジャンたちが何を欲しがるのか、日本物のどういうところに魅力を感じるのかをつかんでいったそうです。日本の良い物を常時見せる場が必要ということで、近々2号店を開店すると話してくれました。
そのようなことから世界の情報発信基地であり、文化の中心でもあるフランスで評判になれば、世界中から注目されるのではないかと考え、フランスをターゲットに展開することに決めました。
メルシーやコレットといった、世界的に有名なパリのセレクトショップに取り扱ってもらうことができれば、世界中のバイヤーから注目されます。でも、そのような店には、毎日のように売り込みがありますし、パリはコネ社会だということなので、「いちげんさん」で商品を持ち込んでも相手にしてくれる訳がありません。そこで、コネを作ること、フランスで永く仕事をしている人に間に入って貰うこと・・・そういう観点で活動してきました。
これから順に発表していく予定ですが、本日、第1弾として「DISCOVER KANSAIプロジェクト」を発表いたしました。これはパリのS氏が開店する新たなショールームで、約6か月にわたり関西のクールジャパン商品を常設展示しテストマーケティングをするというもので、その展示商品募集を開始しました。通関手続きはショールーム運営会社がすべてやってくれますし、月1回の定期コンテナ便に混載するので輸送コストも安く抑えることができ、海外取引に慣れていない中小企業にとって負担を少なくしています。かかる費用は月3万円の出展料に国内外の輸送費のみです。
海外展開をお考えの皆様、このチャンスを生かしてみませんか。

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