Members Column メンバーズコラム

人生100年時代において、今までとこれからを考える。

樽谷昌彦 ((株)関西経営サポートセンター)  Vol.555

樽谷昌彦

みなさん、こんにちは。樽谷昌彦と申します。またまた順番が回ってきました。
今回が3回目です。最初は、2010年「私にとってのKNSとは?」(56才)、次は、2012年「独立開業後の5年半を振り返る」(59才)、そして今回(67才)です。今回は、「人生100年時代」において、今までを振り返り、残り30年ほどの人生をどのように生きていくかについて、少し考えてみようと思います。このテーマを選んだきっかけとしては、昨年にある会で講演を依頼され、そのテーマとして「人生100年時代と老後資金2000万円問題について」とさせていただいたことです。このテーマの中でも「人生100年時代」について勉強するため、リンダ・グラットン教授が書かれた『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』を読んだことや、その他関係文書等を調べた結果、色々と感じるところがあったことからこのテーマとさせていただきました。

1年半ほど前に世間を騒がせていた、「老後資金2000万円問題」については、「人生100年時代」という言葉がどんどん出てくるにしたがって、老後の生活資金が大変であるということがテーマとなり、金融庁が2019年6月に公表した「金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書」においては、「老後資金として、2000万円不足するので準備が必要である。」と言われているとマスコミ等で騒がれてしまい問題になってしまいました。
当然、生活費については大切なことですが、個人毎に収入と支出が様々なので、金額的な平均値というのは、一概には言えないと思います。全ての人が2000万円無いと暮らしていけないとはならないと思いますので、お金の話は次の機会にしたいと思います。
むしろ、まず初めに重要なことは、「人生100年時代」という長寿命の時代に向けて、リンダ・グラットン教授は『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』でどのようなことを伝えようとされたのかを確認させていただければと思います。
 世間では、「人生100年時代」ということで、老後資金の貯えが重要であるということばかりが伝えられていたと思いましたが、この本を読んでみて分かったことは、確かに資金のことも記載されていますが、むしろお金のことよりも、100年時代の人生戦略を立てることが重要であるということが記載されています。
 新しい人生の節目と転機が出現し、従来のように、「教育→仕事→引退」の3ステージではなく、勤めたあと、途中で学んだり、転職したりと「マルチステージ」の人生を歩むことが普通になると予想されます。更には、70代、80代まで働くことが当たり前になるのではないかということです。従来のように、60才定年で退職しその後は、年金で自由に生きてくださいと言っても、そこからまた30年以上暮らすことになるので、定年の年齢は徐々に高くなっていくと推測されます。
 この本を読んで、私も自分が今迄やってきたことが時代に合っていたと再認識ができました。「人生は1度しかない、会社員というところから外へ出て、コンサルタントとして自らの力で生きていくことにチャレンジしよう。」と思って31年勤務した信用金庫を自ら退職し独立しましたが、100年を健康に生きるためには、53歳で退職し、独立したことは「マルチステージ」の人生とみれば正しいチャレンジであったと自分で納得しました。しかしながら、実際には、ステージチェンジの一歩として上司に退職を伝えた後3日間程眠れない不安も経験したのも事実です。その時に先輩から、「大丈夫や。できるできる!」と言っていただけたので、落ち着きを取り戻したことを思い出します。よき先輩に出会えていたことがよかったです。
 また、この本に書かれていることとして、お金に換算できない「無形の資産」に光を当てることが大切とされています。家族や友人関係、知識、健康といった無形の資産は、それ自体が有意義な人生に不可欠であるだけでなく、有形の金銭的資産の形成を助けてくれるとされています。100年ライフを過ごすうえでは、有形・無形の両方の資産のバランスをとり、相乗効果をねらう必要があるとされています。私の場合は、中小企業診断士、FP、ITC等の有資格者の会に積極的に参加する他、コンサルタント養成講座、コーチング講座の受講等、様々な勉強にも定期的に取り組み知識を得るだけではなく、人とのつながりを大切にして広げてきていたことがその後の役に立っていたことを再認識しました。更に、学校の同窓会のお手伝いをさせて頂いたこと、前職ではテニス部、山岳部(実質はスキー部)、オリエンテーリング部や職員のゴルフ会への参加なども大きな資産になっています。また、職場外でのKNSでの皆さんとのつながりは、まさにこの「無形の資産」につながるものと感じています。
今改めて思えば、無形の資産として沢山のつながりを持ってきたことは、引退後の資金問題や健康維持という面においても、新たな仕事につながったり、様々な活動につながっているので大切なことだったと改めて感じています。
最後に、これからのこととして、寿命について考えてみたいと思います。最近よく言われるのは、「平均寿命」と「健康寿命」の違いです。平均寿命は、男性が79.55歳、女性が86.30歳となっています。一方で健康寿命は、男性が70.42歳、女性が73.62歳とのことで、この2つを比較してみると、男性は9.13年、女性は12.68年も差があることになります。健康寿命とは、「健康上の問題で、日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。自立して、健康で生きられる期間ということです。この差は、介護状態になっているということになります。私は、何とかこの介護状態にならずに、「寿命」と「健康寿命」を一致させたいと考えています。そのためには、今後何をしないといけないのかについて、様々なことについて考えていこうと思っています。
とりあえず、仕事は75?80歳くらいまでは続けることができればと思っています。健康管理として、スポーツは、スキーは年に1回、ゴルフは月に、2,3回を継続する予定です。それ以外は、もう一度落ち着いて少しずつ考えていければと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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