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解説「10分で解るDX(デジタルトランスフォーメーション)」

北嶋 修 (北嶋事務所 九州・沖縄支部世話人)  Vol.554

沖縄も観光客が少なくなってリゾートホテルも安く泊まれるようになってしまいました...

沖縄の北嶋です。前回書いたのが、去年のゴールデンウィークの頃でしたから、まもなく1年になります。
北嶋が書くと、だいたい沖縄のこと(しかも数字)を話して、その後台湾の話題になる、というのがパターンですが(笑)、今回はちょっと違ったことをお話ししたいと思います

ちなみに、2020年の沖縄県への入域観光客数は373万6,600人で、前年1,016万人の37%に留まりました。これは1997年の386万人に近い数字です。つまり、沖縄の観光は23年前の水準に戻ってしまった。ということになります。
沖縄県庁も「これからの振興はゼロベースどころか、マイナスベースからの取組になると心得よ」と厳しい覚悟で臨んでいます。

こんな状態なので、私も台湾に行けなくなって、もう一年になってしまいました。ですので、台湾の仕事はちょっとお休み、元々のIT関係の仕事をしています。そこで、いつも考えていることを一つお話しします。

■DXとは何か?
さて、このようにコロナ流行など困難な時代、これからの変化の激しい時代を乗り越える経営戦略として、DX(デジタルトランスフォーメーション)ということがよく言われます。「デラックス」じゃないですよ。(笑)

企業におけるDXとは、「デジタル技術の活用を前提として、経営そのものをさらに優れたものへと変革させる」ことにあります。すなわち、DXは経営活動の本質として見るべきです。

よく「デジタル化」や「IT化」というと、「職場でどれだけPCやタブレットを配備すれば良いのか」「どのようなシステムを導入すれば良いのか」「情報担当者は必要なのか」などIT機器やシステムの配備に関心が向きがちですが、これは結果であって、動機としてはあまり意味がないです。

例えば、自動車を運転する気がない人に「自家用車を持っているか」「どんな車種が好みか」「車庫はあるのか」などを聞いても意味がないことと同じです。
それよりも「自動車を使って生活の利便や業務の効率を向上させる意思があるかどうか」が先です。さらに言えば「その気があるなら先に免許を取れ、車はその後で目的に合った物を買え」ということになります。

企業経営において、そのような取組をする気があるか?がDXの動機として重要です。
まぁ、「ウチはバイク程度で大丈夫」というならそれでもOKですし、「今までどおり馬車で良いよ」というのも選択の一つです(それでは何も変わっていませんが…)。

■DXの動機
DXの動機は次の5つが挙げられます。貴社がこれに当てはまれば、DXに取組む理由があります。
1.利益経営…いかに多くの利益を獲得するか
2.合理経営…いかに経営を合理化させるか
3.満足経営…いかに顧客満足を得るか
4.競争経営…いかに競合に対する優位性を持つか
5.継続経営…いかに経営を継続させるか

そして、「そのためにデジタル化を前提に組織・業務の変革や投資をいかに行うか」ですが、これは次の5つが挙げられます。かなり大掛かりな仕事になりそうですが、できる所から一歩一歩、バランス良く進めれば良いと思います。
1.経営…いかに経営を変革させるか(組織体制等を含む)
2.業務…いかに業務を変革させるか(デジタル化を前提として)
3.人材…いかに人材能力を上げるか(デジタル化を前提として)
4.資金…いかにデジタル化に投資するか
5.資源…いかにその他の経営資源を有効活用するか(デジタル化を前提として)

このように整理すると、DXには「IT化」以前の経営戦略の要素が重要であると解ります。

■実はとても遅れている日本のデジタル競争力
スイスのIMD(国際経営開発研究所)が毎年発表している「世界デジタル競争力ランキング(WORLD DIGITAL COMPETITIVENESS RANKING)」というレポートがあります。
このレポートが示す2020年の日本のデジタル競争力は、63カ国中27位、しかも年々順位を落としています。

日本に近い国で、順位の高い順に並べると、シンガポール2位、香港5位、韓国8位、台湾11位、中国16位、マレーシア26位となります。うわー!!軒並み日本を超えている!

このままでは日本の産業は国際競争力を失い、「遅れている」どころか先進国から転落してしまう恐れもあるので、国も産業や行政のデジタル化を喫緊の課題として対策を進めているのです。
また、この事実は台湾などにいると、肌感覚で分かるところがあります。

沖縄もコロナで観光産業が危うくなってしまった昨今、今後は産業や社会のデジタル化に一層注力して行くでしょう。(そうして欲しい)
「儲かるね」「便利だね」「スゴいよね」、これが、日本が目指す理想的なデジタル社会の未来像だと思います。

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