Members Column メンバーズコラム

自然科学と人文・社会科学

榊剛夫 (甲南大学)  Vol.151

榊剛夫

皆さん こんにちは。甲南大学の榊剛夫です。
近代から現代に至るまでの世の中の発展は目覚しいものである。特に20世紀にいたっては特に著しい発展を遂げた。この恩恵を受けている我々は、以前には想像もできなかった快適で便利な社会に生きている。いろいろと意見はあるが、後戻りは殆ど出来ないであろう。
しかし、一方精神的に住みにくい世の中になった、昔は良かったと感じている人も多く心の平安を求めて、宗教その他によりどころを求める人も多い
21世紀はこのギャップを埋め、相容れる社会を形作って行くことの始まりの世紀とすべきであろう。

どう考えていくかの1つの思いを述べる。
数学という学問がある
さて、「数(すう)」とは何か?「数」とは宇宙全体の実在の中に存在する複雑微妙極まりない因果の関係を謂う。それゆえにこの世界を支配する因果の法則であり、またこの因果の法則を探す方法である
だから数学とは、「数」を研究する学問である
そこで数学は、宇宙全体を理解するため、すべての分野における底辺に横たわる基本的な学問であることがわかる。

最初に述べた驚異的な発展は、自然科学の進歩の賜物である
自然科学において振り返ると、物理学、化学、生物学、天文気象学、あらゆる分野において因果の法則が発見され、発見されたこの法則は地球上の条件下でほぼ100%成立する。
そして、その法則を活用し、法則に基づいて人間が機械を作ったからである。
機械というものは決められた機能だけを遂行する装置である。目的の無い機械は存在しないし、機能を遂行できなくなったものは機械とは呼ばない。道具と異なるのは目的を達成するための部品から構成され、その集合体である全体の構造であるという点である。
そして、全ての部品は、機能の遂行に結びついたそれぞれの役割があり全体にとって意味のあるものであって、飾りである部品は存在しない。機械は法則に基づいて作られているから、決められたとおりに操作をすればいつでもどこでも同じ機能を発揮する。
こうして作られている機械が我々人間の生活を楽にしてくれているのである。
「機械的な」とか「歯車の如く」という表現は先に述べたような思想に基づいているから人間がこの考えに毒されると当然ながら窮屈になり疎外感が生まれ人間性が失われる。

しかし一方、人文科学においても同様に数は存在する。
これが、今後人間の復権を蘇えさせるキーポイントであるだろう。
人文科学において、今発見されているいろいろな法則の確度が100%でないところに問題点がある。
実際には確度の高い法則を見つけ出し、そして広め活用していくことにより各々の人間の心身の健全化が図れる
経済学は、金を通じて人間の行動の法則を研究する学問であり、
法学は、人間が自ら創りだし、自らの法則を創ってより良い人間関係を作っていこうとする学問である。
文学は、言葉を研究し、考えを正しく表わして意思の疎通を少なくし、良好な人間関係を築くことを研究していく学問である
他の学問も同様に因果の法則を見つけ出し、その法則を活用することによって人間社会を良くしようとしていくものである。

だから大事なのは人間関係である。
人間関係をよくする因果の法則を出来るだけ多く見つけ実際に活かしていくことが必要であると思う。

これからは人文科学系はがんばってね。がんばらなくてもいいけれど人文系の健闘にあることは確か、よろしく頼みます。

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