Members Column メンバーズコラム

両手に泡?視覚いらずのナビゲーション

西川将史 (合同会社mano)  Vol.646

KNSの皆さんこんにちは、manoの西川です。初のKNSコラムです。
片目の視野が欠けている私は、ここ数年、コツコツと視覚障碍者用の生活補助デバイスを追いかけています。ハンディナビみたいなもので、いつもと違う環境でも気軽に移動し、コミュニケーションを取れるようにするための、必要な情報を集める機械ですね。
例えば、
・ 周囲の情報をカメラやセンサーで捉える
・ 目の前に立つ人の顔を自動判別する
・ 音声や触覚情報に変換する
・ 目的地への最適な経路を計算して声や音で道順を教える
・ 振動で方向を示す
・ 周囲にある障害物を検知しながら案内する
・ 安全なルートに都度都度変更する
・ 障害物を回避するための警告を与える
などなど。
こうしたデバイスは、眼鏡に付けるカメラ型デバイスや、点字ウォッチ、スマート白杖などのIoTデバイス、VRゴーグル、靴の中に入れるバイブレーションナビなど、さまざまな形状があります。

いろんな方が開発してくれているので、両目の視野が欠けても結構安心して動けそうだなーと思えています。

とはいえ、問題はそのお値段なんですよ。どのメーカーも日本円で1台50万円以上のデバイス代がかかる高価なものです。あれこれ必要なものを複数台持ち歩くと何倍にもなってしまいます。こりゃあ、なかなかの出費です。もっと安価にできないものかなあ、と思いながらも、特化型なら量産して単価を下げる方向になるでしょうし、こりゃビジネスモデルから考えていかないと。

一方で、健常者を中心に基本デバイスを使ってもらい、量産化と低価格化ができたらな、とも思います。視覚障碍者の生活支援と健常者の利便性の両方を考慮したデバイスの開発ってことですね。視覚を使わなくてもいいデバイスとして、見た目の部分も突き詰めて

・ながら作業でも周囲と繋がれる
・ 情報共有やコミュニケーション面での業務効率化ができる
・ ハンズフリーで操作できる
・ プロダクトデザイン性が高い
・ 個性やスタイルを引き上げる素材やカラーのカスタマイズ
・ 時計やブレスレットのようアクセサリーファッション

などのメリットを提供できるように、上手くパッケージしていけたらなと。

「スマホでできるんじゃ?」と聞かれることもありますが、視覚障碍者向けの便利な機能はスマートフォン単体では提供できないことが多いです。アプリは基本的に画面を見ながら使用することを前提に作られていて、アクセシビリティ機能はあるものの、特化したセンサーは搭載されていない。そのため、使いにくいなぁと感じることもあります。

この点、サングラス型は手軽に装着できて、健常者にも違和感が少ないため便利です。時計型は画面が小さいため、多機能化は難しいかもしれませんが、片側に付けることで方向性が出ます。私のような片側が不自由な人にも利用しやすいです。ペンダントや腕輪などのアクセサリー型もいいですね。ペット型の支援ロボというのもありです。視覚障碍者の生活支援と健常者の利便性の両方を考慮したデバイスを選んでいきたいなと思います。

そんなわけで、「あんな機能が欲しいな、こんな機能も必要になるな」と、欲しい機能を追加したり、拡張デバイスを追加したりしてプロトタイプを作ってみたら、なんと処理に大きめのリュックサック1個分のバッテリーと大型PCが必要になってしまいました。
たくさんの機能には、たくさんの処理能力とバッテリーが必要になるということです。なんという失態。ずっしりと重いリュックは筋トレにちょうどいいかもしれませんが、亀の甲羅を背負いながら歩く毎日というのも嫌ですよね。シュンとしながらも、プロトタイプの小型化をどうにか実現しなければならないと思い、本業に取り組みながらコツコツと取り組み直しています。

AIの進化が速く、その点でも恩恵を受けられそうです。あちこち情報を漁っていたら、すっかりほったらかしていたアプリにChat GPT4を組み込んで進化させたオランダの会社がいたり、弱視の方用のデバイスをVRも組み合わせてカナダや日本のメーカーが開発していたり、いつの間にか60か国の言語に対応しているイスラエルの会社がいたりしました。計算眼科学という分野の研究者も元気になってきて、再生医療を待たずとも、こんなにも補助デバイスの分野が盛り上がっていることに勇気づけられています。

まだ目が見えているうちは、いつものファッションアイテム感覚で使えて、将来その日が着たら、視力低下状況でもより使いやすいモードに切り替えられるとか。防災用語でいう「フェーズフリー」ってやつですかね?そんな、自己表現とアクセシビリティのバランスを取っていきたいなと思うわけです。

五感の一部に変わるものをエコシステムで作るって、かなり面白い。ガンダムでいうハロを作って遊んでいるような感覚で熱が入ってきたところです。まだまだ世界は楽しめますね。

 

※この画像はAIに作ってもらったイメージビジュアルです。耳の下にもバッヂみたいなのがあって、あぁそうか、そこに後ろ向きにカメラを仕込めばいいのかと、ヒントになりました。でも、重たそうですよね。

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