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大震災から二年… 縁尋機妙 多逢聖因

中村勝彦 (あおぞら銀行)  Vol.155

中村勝彦

あおぞら銀行の中村と申します。初執筆となります。
東日本大震災発生から二年となりました。
報道は、連日被災地の様子を流しています。
仙台から大阪に転勤して約一年、東北のことは、
片時も忘れたことがありません。
堂野さんからこの原稿を依頼された時、何気なくお引き
受けしましたが、掲載日を聞いて、改めて、この依頼も
何かのつながり、縁があって、今の時期に私なのだろうと
原稿に向かうことにしました。

二年前、仙台支店を預かっていた私は、多忙を極めていました。
2月に支店を移転・開設、山形の地銀との提携、そして3月に入り、
今につながる岩手大学との提携、そしてその三日後に迫った
財界、取引先を集めたパーティー準備と、今思い出しても
何かに憑かれたように仕事していました。

震災二日前には過労が原因となり、救急車で病院に運ばれ
ました。大事には至りませんでしたが、すぐ仕事に復帰し、
震災当日も、止めればよいのに、無理をして、午前中東京に向かい、
本店がある九段下でその瞬間を迎えることになりました。

山形空港経由で、仙台に戻れたのは四日後。
それからの生活は、激動の毎日となりました。
皆さんから、温かい支援を受ける一方、東北6県の取引先への訪問、
福島、宮城、岩手沿岸部への支援物資運送、ボランティアと走り回りました。
刻々と変わる状況とその状況の違いによる人々の感情の変化に
戸惑いながらも、ただひたすら走る毎日でした。
部下の故郷、南三陸町志津川に行った時のこと・・・。
でこぼこの道を三時間、次第に無口になる部下。
車は走り続け、街に入った途端、とてつもない衝撃を受けました。
部下の実家のみならず、街全体が津波によってすべて流されていました。
瓦礫しか残されていませんでした。部下と二人、長い間、その場でずっと立ち尽くしました。
言葉を失う…という気持ちを初めて知りました。

いまだに苦闘が続く福島…。
地元地銀の方とは今も交流をしていますが、あの三月、『地元の銀行は
逃げられないんです。胆力しかありません。これから戦いです。
中村さん、これからもずっと応援してくださいよ。』と涙を流しながら、話してくれました。
こちらも、ただ、涙、涙。今でも、この言葉が忘れられません。

私は、縁尋機妙 多逢聖因(えんじんきみょう たほうしょういん)という言葉が
好きです。『良い縁がさらに良い縁を尋ねて発展してゆく様は誠に妙なるものがある。
良い人に交わっていると良い結果に恵まれる。人間はできるだけ良いものに出会う
ことを考えなければならない』というような意味ですが、50歳となり、この言葉を実感することが多くなってきました。

バブル崩壊後、不動産、ゼネコン業界を長く担当してきました。
互いの会社がどうなるか分からない苦しい時にギリギリの交渉をした担当者、
難しい不動産PJを仕上げた仲間、それぞれが、 親しい仲間を次々に紹介してくれ、それが新しい仕事につながっていきました。国有化になった翌日、真っ先に励ましてくれたのも彼らでした。今、この仲間は70名以上となり、私が主催する勉強会に参加してくれていますが、
この広がりは、まさしく『縁尋機妙』を感じざるを得ません。

また、東北での生活は、私の人生に大きな影響を与えてくれました。
東北出身の仲人に、『東北人は、日本人の原点である。真面目で無口、勤勉な面を持ち、初めはとっつきにくいが、親しくなると無二の仲間、友人となる。』と教えられましたが、まさにその通りで、懐に入ると本当に温かく、心と心でつながっていきました。
東北の方々にも、また、縁尋の機妙さ、醍醐味を教えていただきました。

昨年の11月末、その東北で縁を結んだ岩手大学の小野寺さんから、INSの佐藤利雄さんを紹介され、初めてKNSを知ることとなりました。
KNSに入り、まだ四ヶ月。されど二回の定例会があったこの四ヶ月は、中身が濃く、不思議なことに、今までの人脈が、次々と輪になってつながっていくという、それこそ『縁尋』の妙を味わっています。

大震災から二年…。自分の人生感を変える出来事でした。
遅々として進まない復興活動を眼にしながら、今の東北に自分は何が出来るのか、どうしたら良いのか、毎日のように自問自答しています。
縁あって、大阪に来てから、岩手県花巻、久慈の企業アドバイザー、福島県の観光大使を相次いで、兼職することとなりました。
震災後二年経った今でも、確固たる答えはありませんが、『小さいことでも、自分の出来うることを継続してやっていく。』 しかないかなと思っています。
KNSの方々と出会えたのも、『縁尋機妙』の一つです。
健康に気をつけながら、永年自分の中で燻っていた『商店街、地域の活性化への思い』、そして『東北への思い』を具体的に形にして行くことがライフワークとなりそうです。
これから皆さま方と共に『縁尋機妙』の醍醐味を味わっていければと考えております。
宜しくお願いいたします。

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