Members Column メンバーズコラム

海の彼方に馳せる想い~沖縄訪問に寄せて~

岡本勝幸 (有限会社イットワークス)  Vol.156

岡本勝幸

==============================
それは、いつも突然に現れる…
航空機で九州南部を通過し、海の色が深い藍色から
鮮やかなエメラルドブルーに染まる頃、
降下を始めた機体の窓に、忽然と広がるのは、
沖縄本島北部の、深緑濃い山原の山々の姿…
分け入る者を拒むが如くの切り立った急な山肌と、
濃緑豊かな森林が続いて行き…
やがて、北部から中部に下るにつれて、次第に山々の緑から
人々が住み営む街並みへと風景は変貌し、
早や紺碧の空と眩む様な照り返しの間隙を突きつつ、
南国風情豊かな滑走路へとランディングしてゆく…
こうして、また何度となく続いた沖縄訪問の旅が始まって行く…
==============================

去る2013年3月9日(土)に開催された「KNS in沖縄(第2回)」へ参加する為に
約1年半ぶりに沖縄を訪れました。
沖縄は、かつて25年程前に約3年間在住していた事もあり、私自身にとっては
これまでの人生の内でも想い出深く感慨一入な地域でもあります。

「沖縄」と聞いて、まず思い浮かべるのが、『青い海、輝く空、白く輝く砂浜』
と云う、海洋自然豊かな南の島のイメージが強いのでしょうね。
一方で、太平洋戦争当時には国内で最も壮絶凄惨な戦場となり、
戦後はアメリカによる統治により、再び朝鮮戦争やベトナム戦争など、
世界の様々な紛争に揺さ振り続けられてきた歴史も、厳粛たる事実です。
現在でも大きな政治的問題となっている、在日米軍基地問題がなかなか解決の
出口が見えないのも、歴史的な背景や観点、そして社会生活の側面にまで
密接した大変根が深い問題が故と云えます。

しかしながら、かつて400年もの間、東南アジア方面にまで確固たる地位を
築いて繁栄していた琉球王国が育んだ、
情緒豊かな伝統文化や産物、そして「うちなーんちゅ」を根底で支えている
『琉球スピリッツ』は、現代においても、我々の心象を虜にして止まない程
魅力的です。
豊かな海洋自然と共に、後世にまで是非伝えてほしい、沖縄の大切な財産
なのだと思います。

その様な歴史と現実の狭間で揺れ動く現在の沖縄において、
今回開催された「KNS in沖縄(第2回)」は、
『沖縄の地域連携と対外交流を考える』と云うテーマで
スタートしました。
場所は、国立大学法人琉球大学内 産学官連携推進機構棟にて、
地元沖縄側から産学官民連携に関わるメンバー計10名、
そして、KNSの有志メンバー計7名、総計17名による参加です。

今回のイベント開催を取り仕切ってくれた、沖縄のKNSメンバー
北嶋さんの開催挨拶に続いて、
国立大学法人琉球大学 産学官連携推進機構の宮里特命准教授による
沖縄での産学官連携による、さまざまなプロダクトアウトの事例が
紹介され、既にコンビニやドラッグストアなどで実際に販売されて
いるウコンを原材料とした様々な製品や商品を目の辺りにして、
高い関心を集めました。
その後、参加者の自己紹介アピールや、KNSイベント恒例の
KNSの活動紹介が行われ、
休憩を挟んで、全員参加の討論会を実施しました。

特に議論のテーマとなったのは、
・沖縄地域の産業活性化を如何にして図っていくか?
・多額の交付金や補助金を如何に有効活用していくのか?
・自立した地域を目指す為に為すべき事は何か?
・地域内だけでなく、他地域との連携や繋がりをどう活用するか?
などについて、活発な意見交換が繰り広げられました。
特に意見が多かったのは、
「多額の交付金や補助金ありきで、ただ予算を消化する為に事業や活動を
実施するのではなく、『自立』という目的を具体的且つ明確に定めて
集中と選択により効果的な資本投下を行って行く事が重要である」という点や、
「日本国内だけでなく、沖縄のロケーションを活かした、海外特にアジア地域への
進出をベースとした展開を、より戦略的に行って行く事が必要だ」などの点でした。

私個人的な持論でもあるのですが、
「今や地方地域においては、それぞれで抱える地域課題は、もはや閉じた地域内だけ
では解決は出来ない。他地方地域と積極的に連携・協業を行い、お互いのメリットや
デメリットを見極めた上でフォローし合う事が、解決の糸口となる」
という事を、より具体的積極的に実践すべきだと感じています。
また、「有望な市場やマーケットにこそ発展する土壌が存在する」という経済原則に
則れば、高成長がこれからも継続する東南アジア地域への進出や展開は、もう既に
必要必須かつ重要な活動テーマとなっております。

東南アジアの主要都市から、ほぼ5時間圏内で到着出来る、沖縄のロケーションや
かつて南西海域を闊歩した伝統的な文化や歴史を持つ島国スピリッツこそが、
実は、ここに挙げた「地方地域の課題解決」や「海外進出や展開」が実践出来る
可能性を大いに秘めているのだと思います。
基地問題や尖閣諸島などの領土問題でも政治の最前線で大きく揺れ動いて大変な
時期でもありますが、
一方でグローバルに活躍する事が求められる経済や産業分野の局面では、
大きく期待されている存在でもあるのです。
これからの沖縄が、決して「取り残された離島」ではなく、「世界に確固たる
先進的な島国」として、ワールドワイドに活躍できる時が必ず訪れる事を
確信しています。

討論会は大変短い時間内の討論でで、なかなかまとめきれず結論にも至れない内容
でしたが、参加者の皆さんの熱い想いや心の内に触れる事が出来て、大変有意義な
時間でした。
そんな雰囲気を、更に盛り上げてくれるのが、KNS恒例の『本番』懇親会で、
那覇市内の新都心おもろまちに場所を移して、いつも通りに盛大に賑々しく
開催されました。
討論会で議論した内容を更に深堀して議論を交わしたり、お互いの近況を報告
し合ったり、初めて会う人と親交を深めたり、と
あっという間に夜も更けて散会となり、
楽しくも有意義な、そして元気と勇気を沢山貰った沖縄の一日でした…

前回第1回目の開催から5年振り!という、オリンピックよりも長く期間が空いての
開催となりましたが、
まだまだ、もっと多くの方々に沖縄の歴史と現実を知って欲しいですし、
更に大勢の方々や地域からも、沖縄の方々とも連携や協力しながら、
グローバルを見据えた戦略的な活動を展開出来る基盤作りの礎となる事を
「KNS in沖縄」には期待したいと思います。

「観光立地」だけでなく「グローバル戦略先進地」としての沖縄を、
これからも、人並み以上の想い入れと情熱を注いで期待し、実現する様に、
及ばずながらも尽力したいと思います。
その事が、かつて移り住んでお世話になった沖縄の地への「ご恩返し」なのだと、
想っています…

?海の彼方の未来の潮流に想いを馳せて?
Beyond The Future Stream & Future Spirits in ”OKINAWA”!

PAGE TOP