Members Column メンバーズコラム

泉北ニュータウン活性化に向けた取り組み

中川健太 (堺市建築都市局ニュータウン地域再生室)  Vol.287

中川健太

皆さん、こんにちは。メンバーの中川と申します。
私は現在、堺市の建築都市局ニュータウン地域再生室という部署で仕事をしておりますが、今回はそこでの取り組みについて書かせていただきます。
大阪には特に大規模なニュータウンとして泉北・千里の2つのニュータウンがありますが、本室では堺市に位置する泉北ニュータウンとその周辺地域の活性化をテーマに様々な取り組みを行っています。
 昭和40年に開発が始まった泉北ニュータウンは面積約1500ha、人口約13万人(平成26年末現在)と、一つの基礎自治体ほどの規模を有する地域ですが、まちびらきから約50年が経過する中で人口の減少・少子高齢化の進展、公共施設の老朽化等が進んでおり、新たな取り組みが必要となっています。

 そうした中、産官学民の様々な組織が連携してハード・ソフトの両面で事業を行っていますが、特にここでは私が担当の一人として関わっている子育て世代・若年層の地域への居住誘導をめざした施策についてご紹介させていただきます。
 まず地域の魅力を多くの方に知っていただくための取り組みとして、都心近郊でありながら地域一円に広がる豊富な自然・農環境などの魅力を享受しながら暮らせる、泉北の豊かなライフスタイルを「泉北スタイル」と名づけ、その普及に努めています(ちなみに堺市は大阪府内でも農業産出額第1位の自治体ですが、特に泉北ニュータウンがある南区での生産が高くなっています。)。
具体的には、クリエイティブ集団のgrafと連携し泉北スタイルのロゴマークや泉北の魅力を凝縮したショートムービー「New Standard 泉北ニュータウン」を制作してYoutube等を通して発信しているほか、「泉北スタイル」FaceBookページでの情報発信、地元のまちづくりNPOやリノベーションを手がける建築家、大阪市立大学等による産学連携組織「泉北ニュータウン住宅リノベーション協議会」と協力して地域内で増えている戸建て空き家をリノベーションし、子育て世代・若年層を誘導するための取り組みを進めています。
〇ショートムービー「New Standard 泉北ニュータウン」
 ・長編 https://www.youtube.com/watch?v=XSBaXKdH1Dc
 ・短編 https://www.youtube.com/watch?v=IpjtU74pwxw
〇泉北スタイルFBページ
 ・https://www.facebook.com/senbokustyle.hukyujigyo/
特に空き家については、国のほうでも空き家対策の特別措置法が制定されるなど様々な動きがみられる中、泉北ニュータウンでは産官学民の様々な組織が連携してこれまでも団地や一戸建て住宅、近隣センターの空き店舗などをリノベーションして活用している事例があり、今後もリノベーション手法を用いたニュータウン再生モデルをめざし、各機関と連携し取り組みを進めていきたいと考えています。
また、地域住民の皆さん主体の地域づくりの取り組みとしてstudio-Lと連携して進めているのが「泉北ニュータウン魅力発信プロジェクト」です。こちらでは、地域住民の皆さんにフィールドワークやワークショップなどを通して地域魅力の素材を発見していただくとともに、そこに新たな価値を加えた企画を立ててもらい、実践を進めています。
具体的には、ニュータウン周辺に広がる農村部の自然の魅力を満喫するイベントの開催や、ニュータウンの戸建て住宅の庭でレモンを植えてもらい、「レモンを泉北の特産品にしよう!」という企画や、ニュータウン中に広がる緑道の活用を考える企画、地域づくりの実践を皆でサポートしながら生み出していくための企画など、様々な取り組みが生まれています。

今後はこうした取り組みがもととなり、泉北の地域づくりを担うプレイヤーが数多く生まれ、地域資源をいかした様々な取り組みが花開くことをめざしていきたいと考えています。
ニュータウンというと少子高齢化が進む中で様々な問題がクローズアップされることも多いですが、裏を返せば「既存ストックの活用」や「シニア・女性の社会的活躍」、「働く場の創出」、「福祉政策の充実」など、様々な政策テーマの可能性が広がる場所でもあります。これらのテーマに対してはまさにソフト・ハード事業の両面から総合政策として取り組むことが重要であり、我々行政も部署や組織横断でそれぞれの事業に取り組み、事例を地道に積み上げるとともに、それをパッケージとして見せることも意識しながら、「鳥の目・虫の目・魚の目」をもって実践を続けていくことが大切であると考えています。
KNSには日本全国の地域で様々なテーマで地域づくりに取り組んでおられる方がたくさん参加されていますので、今後とも皆さんとの交流の中から多くの経験や知見を学びながら、泉北での実践につなげていければと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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