Members Column メンバーズコラム

ファンマーケティング目線で見るセレッソ大阪

永井 俊二 (株式会社大永コンサルティング)  Vol.670

コロナ禍が明け、皆さんともリアルでお目にかかる機会が復活して嬉しく思っています。私は先日の誕生日で52歳になり、人生も折り返し地点を過ぎております。独り身で仕事と子育てと親の介護がのしかかる人生を支えてくれる楽しみは、Jリーグセレッソ大阪の応援です。ファンとしての熱狂には理屈は無用ですが、中小企業診断士の目線でサッカーチームのファンマーケティングについて書いてみたいと思います。

 
🌸ファンになったきっかけ

大学生の時Jリーグが開幕し、サッカーブームとなりました。この頃はまだ特定のチームを応援していませんした。きっかけは、高校時代から応援している乾貴士選手が2008年に横浜Fマリノスからセレッソに移籍し香川選手とのコンビが注目されていたことです。2010年に商工会議所に出向勤務したとき、招待券をいただき乾選手めあてにスタジアムで初めてサッカーを観戦して、その後年間パスを購入しグッズやユニフォームも購入するなど次第にチームを応援するようになりました。ホームゲームには長居に足を運ぶ、セレッソ大阪の応援が生活の一部となります、生涯を通じて楽しめる趣味として、チームのファンになっています。2020年のヨドコウ桜スタジアム建設のときは寄付をして、モニュメントの銘鈑に自分の名前が記され施設自体への愛着も増しています。

 

🌸セレッソ大阪のファンマーケティング

ファンとして応援しているなかで、診断士目線でもセレッソ大阪のマーケティングがここ数年で色々と進化していることは色々と感じています。今回調べてみるとファンマーケティングについての外部企業によるコンサルティングレポートが公開されていました、シナジーマーケティング社が公表している主な取り組みを以下引用抜粋します。

コロナ禍で、スポーツ界は無観客や観客動員数を制限した上での試合開催を余儀なくされてきました。「来場し、熱い試合を観戦して楽しい時間を過ごしてもらうことで、再来場やロイヤリティ向上に繋げる」ことを軸に集客・マーケティング活動を展開してきたチームは、考え方の大きな転換を迫られました。

来場のハードルが高まった中でも、既存ファンとの関係性を維持し、かつ新しいファンを獲得することが課題です。これまで以上にファンと向き合い、チームを応援する動機を提供する必要があります。そのためには、社内のメンバー全員がファンのために考え抜き、一貫した独自の価値を訴求し、施策に取り組むことが大切であると共通認識をもちました。

チームは「コロナ禍でファンと繋がり続けるためにはどうすればいいか」という課題を感じ、部署ごとにさまざまな施策に取り組んでいるにもかかわらず、部署間の情報共有は十分にできていない状態でした。

広報・プロモーション、ファンクラブ、グッズ、試合運営、ホームタウンなど、それぞれの部署とそれらを束ねるファンマーケティングユニットという部署によって全体を運営するなかで、顧客を再定義する取り組みを実施しました。

具体的には、ファンにアンケートを実施してペルソナを作成、もう1つは「ワークショップ型戦略策定プログラム」の実施です。

観戦数による分類だけでなく、アンケートにより、ファンを、「セレッソとともに生きてきたコア層」、「家族で楽しみたいライト層」、「恋人や友達と観戦する若年層」のペルソナに定義しました。

そのうえで、部署間をまたいだワークショップを実施。全社的にファンマーケティングに取り組んでいくという目的で、ファンと何らかの接点を持つすべての部署から、合計10名ほどのメンバーでWSを実施しました。

観戦未決定の顧客にたいして、どんな働きかけをすれば、試合に来場してもらえて、最終的に周りの人を誘う状態に至るのか議論しました。

縦軸にクラブへの接触意欲度、横軸に共感・感動の蓄積と定義し、検討から観戦を意思決定する、初観戦から再観戦を決める、自分なりに魅力を感じている状態から誰かを誘いたくなるという状態に定義し、現状の施策をマッピングする中で、施策の偏りを認識することができ、業務領域を超えて共通の目的に向かって部署間をまたいだ施策を行うファンマーケティングが実施されていきました。  ~引用抜粋おわり~

 

🌸私がおススメするセレッソ大阪の楽しみ方

私自身も、招待券による観戦からスタートして、ペルソナの階段をコア層まで上り詰めた、チームにとってはロイヤルカスタマーということになります。

立ち見で声を枯らす応援はできませんが、年間シートを購入して落ち着いて一人で観戦して、年に数試合家族や友人を招待するというスタイルにもマッチした、観戦チケットの設定やイベントの運営など、綿密なマーケティングが刺さったものです。

観戦だけでなく、チャント(応援歌)の臨場感、ファンサービス、スタジアムグルメ、セレッソ出身・所属の選手が出場する日本代表戦など、さまざまに広がります。

試合開催日のイベントもユニークです。地元出身の吉本芸人ダブルヒガシの東さんがMCを務めて、若手芸人のネタ披露や酒本アンバサダーとのトークショーがあり、芸人や選手のこぼれ話などを楽しめます。

とっておきのおススメは、試合日以外にスタジアムのラウンジを使って運営されているコワーキングスペースです。緑の芝とスタンドを見ながらの事務作業はテンションが上がります。

さらなるJリーグの楽しみはアウェイツアーです。プロ野球と違い参加チーム数が多く地方都市に点在することがJリーグの特徴であり、ふだんあまり行く機会のない地方に遠征して、観戦後の観光を楽しむことが出来ます。

大阪を代表するサッカーチームであるセレッソ大阪、皆さんも一度スタジアムに足を運んでいただきファンマーケティングを実感してみませんか。

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