Members Column メンバーズコラム

“ワーク・ライフ・バランス”とやりがい

増田たくみ (イケア・ジャパン株式会社)  Vol.6

増田たくみ

 みなさん、こんにちは。増田たくみです。私は現在、スウェーデンの家具
小売業「イケア」に勤めております。こちらの会社は北欧の企業だけあって、
最近話題になっております、「ワーク・ライフ・バランス」がきっちり取れ
る会社だと、会社内外ともに言われています。最近メディアへも時々取り上
げられているので、ご覧になった方もおられるかもしれません。

 実際その通りで、ボスが定時前には帰る準備をして、定時になるとさっさ
と帰って行く。また私が、ディスプレイを途中で終えていては、見栄えもよ
くないし、できるだけ完成させたいと思い、ちょっと残って働いていると、
ボスから、「仕事を一生懸命してくれるのは有り難いけど、危険な状態で放
置していなければ、明日やっても誰も困らないでしょう?」の一言。こちら
のタイムマネジメントも悪かったのですが、残業代請求するわけでもないの
で、ちょっとぐらい残って仕事させてくれてもいいのに、と思ったりしまし
た。

 働いてなんぼの中小企業で、ずっと仕事をしてきた私にとって、入社当初
はこれらのことに面食らい、「なんて、余裕のある会社なんだろう!」と思
っていました。しかし、入社して4年が経とうとしている今は、かつてのボ
スのように定時前には仕事を終わらせて帰る支度をし、休みや有給はしっか
りと消化しています。有給や休日をとる事が、あたりまえで、休む事も悪び
れず堂々と休める。残業もしないのが基本なので、自分も残業になるような
仕事はやらない、また相手にも残業させるような仕事は頼まない。このよう
な職場環境が「ワーク・ライフ・バランス」をとる事を可能にしているのだ
と思います。

 Wikipediaで「ワーク・ライフ・バランス」を引いてみると、「仕事と生
活の調和」と訳され、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働
き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育
て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現で
きることを指す。」とあります。

 他社がどうかはわかりませんが、イケアでは、どちらかというと、「ライ
フ」を充実させるために、「ワーク」をコントロールするという方法でした。
そのため、「ワーク」はコントロール可能なものでなければならない、すな
わち、画一的な仕事のみ「ワーク・ライフ・バランス」をとることが可能な
ので、特定の人しかできない仕事がたくさんある場合には、「ワーク・ライ
フ・バランス」はとりづらい。なぜなら仕事を引き継ぐことができない、あ
るいは引き継がれてもその仕事のクオリティが変わってきてしまうからです。
誰がやっても同じ結果が生み出される仕事、それは企業を経営する側にとっ
ては理想的なことかもしれません。そうなることで業務は効率化されるかも
しれません。しかしその一方で、コントロール可能な「ワーク」から従業員
はどのように「やりがいや充実感」を見いだすのでしょうか。

 そんな疑問を持ちながら、4月末でイケアを退職し、またインキュベーシ
ョン施設で企業さんのサポートをすることになりました。景気低迷が続き、
先が見えない中で、中小企業にとっては、少人数で多くの仕事をこなさなけ
ればならず、こんなこと何処吹く風?か、あるいは仕事量が減って、負のや
けくそ「ワーク・ライフ・バランス」のほうが多いかもしれません。今後益
々、グローバル化し、労働人口も減少する日本で、自分も含めた働き方に注
目していきたいと思います。

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