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北海道人って…

君一哉 (江別市教育部学校教育支援室教育支援課)  Vol.323

君一哉

 北海道を広いと感じるか、狭いと感じるか…皆さんはどう感じますか?
 東日本大震災の時、軽トラックに荷物を積み、東北に駆け付けた方もいらっしゃると思います。東北に隣接しながら、北海道ではこれが出来ませんでした。地続きじゃない制約。
 「ブラキストン線」って聞いたことがありますか?棲んでいる生物の境界線を意味します。これが津軽海峡。生物の移動を阻む距離と潮流。洞爺丸台風は史上3番目の海難事故、と言っても若い人にはわからないか…(ちなみに、1位はあのタイタニック)
 今年3月には北海道新幹線が開通しました。津軽海峡を越え、函館まで新幹線で来れます。でも、北海道人は「本州へ列車で行く」人はまだまだ。もし行こうとすれば、札幌を朝の6時に出て、東京に着くのが2時過ぎ…実際は、飛行機しかないですよね。多くの人が「内地(本州)は海を越えていく他の島」だと感じています。

 私が島根県に行った時のこと。当然私は飛行機で行きましたが、東京の学生さんが9時間かけて車でやってきました。9時間も車を運転するバイタリティもすごいけど、他の県に車で行けちゃうことの新鮮さ、驚きみたいなものを感じましたね。
 距離と海の制約は、この秋にもクローズアップされそうです。北海道から本州への一番安価な輸送手段は貨物列車ですが、新幹線開業で設備投資がかさみ、料金値上げになりました。いよいよ農産物が多く採れる時期になります。どうやって効率良く、安価に運ぶか…生産者さんと話すと、この話題が多く聞かれます。
で、思うんですよ。北海道って、本州より「小さい島」だよね、って。むしろ北海道人の方が、島国根性が強いかも、って。

一方で、北海道人はおおらかだなあ、って感じる時も多いんです。大泉洋のイメージというか…「な?んもさ」で済ませちゃう感じ。これは、歴史の違いだと思っています。
愛知で社長さんと話した時のこと。車で色々な施設を見学しながら、たまたま境川という川を渡りました。ここが尾張と三河の境界と聞き、戦国時代の血みどろの歴史も聞いて。こうした歴史って、頭で知っていても、体に染みついていない世界。
北海道はもともとアイヌの人は住んでいたけど、江戸時代は松前藩(函館の辺り)しか無い訳で、倭人の大部分は明治以後、宮城・山形・新潟などから来た人ばかり(私も本家は新潟)。で、熊と戦いながらみんなで開拓する訳です。当然、協力が必要。お寺も、何が何でも○○宗じゃなきゃ、ってこだわりは、本州より少ない気がします。私の母方は芽室(十勝地方・帯広市の隣)出身で、祖父の葬儀は地区会館、花輪は原寸大の絵を壁に画鋲で留めるだけ。その分お金を残して、家族に渡そうという考え方だった。
殺し合ってない歴史。異なる背景の人が助け合わないと生き残れない世界。北海道人の気質は、こうして生まれたと思っています。

でも、歴史を持っていない、根っこが無いことの不安を感じる時もあるのです。北海道に来た事がある方は、難しい読み方の地名が多いと感じたこと、ありませんか?実は北海道の地名はアイヌ語がベースになっていることが多いのです。アイヌ語の音に漢字を充てて、地名にしているのです。私の街、江別もアイヌ語の「エベット」からきています(諸説あります)。意味は「但汁の様な川」。いくつもの川が合流する場所なので、川が濁ることが多いのです。この「言葉(音)が本来持っている意味」が倭人にはわからない。日本に居ながら、異邦人。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/new_culture.htm
最近、外来語って多いじゃないですか。日本語に変換するのが難しいと、そのままカタカナで使ったり。「インクルーシブ教育」なんて、何?って思いませんか(笑)。逆に漢字だとわかる安心感。中華料理で「雲呑」って書いてあれば、妙に安心したりする。
外来語のように、意味が伝わらない名前の街に住み、なんとなく自分がよそ者だと感じながら暮らす…好き嫌いが分かれそうですね。

私は大学卒業後、流通業に勤めました。北海道で新商品のマーケティングが行われることも多い。そこそこの母集団(人口)があり、大陸的性格で飛びついて購入するが、飽きるのも早い。離婚率も高い(これ、私見じゃありません。念のため)。
さて、こう考えると、北海道人と付き合うのは、楽しいのか、面倒なのか…
日本人同士の気楽さみたいなもの?海外旅行で飛行機がANAだった時の変な安心感?を感じつつ、外国人と接する新鮮さ?醤油だと思ったらニョクマムだったみたいな?を感じられる存在なのかも知れません。

 そんな希少生物の一人が私でございます。なかなかKNSに参加出来ていませんが、気持ちは皆様と共にあります。今後とも、宜しくお願い申し上げます。

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