Members Column メンバーズコラム

医療と健康について考える(その1)

兼松泰男 (大阪大学)  Vol.322

兼松泰男

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ただいま、7月8日午後7時40分、KNS世話人会議の最中です。メンバーズコラムを誰にするかという話になって、・・・。「依頼をすっぽかしたのは、・・・しかも、2回もすっぽかしたのは、・・・兼松さんだけっ!!!」ということで、8月3日付けを書く事になりました。明日、締め切りのつもりで書き始めます。
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まず、お断り。暗い書き出しでごめんなさい。必ず飲んで騒ぐ会が恨めしい1年と半年が過ぎようとしています。昨年の1月から禁酒。

体調は悪い。メンタルにもダウン。大学でも外でも、特に周囲との関係に、差し障りが出て、・・・。私事も、どしゃぶり、集中豪雨状態。なんでこんなことが一気に来るのか。まずは、禁酒で、凌がざるを得ないという状況に追い込まれ、ノンアルコールで騒げるようにはなったものの、やはり、飲むことからは遠ざかる。

付き合いが悪くなると、コミュニケーションが、ますますまずくなる。なにごとも、辛抱するのがつらく、やることなすこと拙速で、周りを振り回す。ミスリードし、回復しようと焦る。面子を気にして、話を複雑にする。考える気力が落ちる。周りから時間を奪う。体重は減る、眠くて夜は動けない。そこら中が、痛い。総合診療科、内科、整形外科、と渡って、・・・。まあ、心因性の疾患で、仕方ないか、と。

そうこうしながら、今年の2月。
尿の切れが悪い。残尿感がある。夜中2回ほどトイレに。ということで、泌尿器科のクリニックにいったら、さっと超音波検査して、結果をしめしながら、
医師A:「前立腺肥大でしょ。とりあえず、尿量検査して、気になるようだったら、薬飲んでください。PSA検査も念のためにしときましょう。」
ということに。

PSAは精液の潤滑役の蛋白質で、血中には出てこないもの。前立腺がんのマーカーとして、ポピュラーなものです。血中濃度を1ミリリッターあたりナノグラムの単位で示します。

2月20日
PSA 6.95 (正常値4以下); Free/Total 15% (正常値27%以上)
医師A:「前立腺が肥大しているので、この程度なら大丈夫でしょう。Free/Totalも10%以下からがんが多くなります。まあ、保険が利きませんが、3ヶ月後に再検査ということで様子をみましょう。」

まあ、たいしたことにはならんけど、気持ち悪いなあ。

4月9日
PSA 8.77
医師A:「上がってるね。そのまま横ばいか、下がっていると予想してたんだけど、精密検査しますか。後々のことも考えて、大きな病院で検査しましょう。前立腺がんは、進行遅いから、急がなくも大丈夫。」

おいおい。たいした「がん」じゃないにしても、素人には、一大事だと思うんですが・・。

結構落ち込んでいたところ、上司である吉川秀樹先生(元阪大病院長)に話して、「前立腺がんで、死んだら損や」と言われ、ひと安心。ただ、「死んだら」が、少しひっかかってしまいました。

4月18日
検査のため病院にて診察。
医師B:「生検にしますか、MRIにします?とりあえずMRIにしますか。痛くないほうがいいですよね」

結局、検査は一月待ちでした。あれこれと考えながら、待つ。と、考えは悪いほうへ悪いほうへ向かい落ち込みます

5月18日
MRI検査を受けました。
5月20日
MRIの診断結果は、5月25日ということになっていたのですが、それを待てず、18日に受診。最初の担当された医師ではなかったのですが、画像を見せて貰いました。

画像の右側中ほどに、黒く腫粒状のものが見えます。造影剤を使ったものでは、逆に白く、粒形がはっきり見えました。

5月25日
予約診断で、主担当医(医師B)から、「プロトコルですから、生検をしましょう。」と、あっさり告げられました。えっ、それだけ?

長い長い待つ日が続きました。順番がいつ回ってくるのか。入院待ちが50名ほどだが。検査入院は、1泊なので、突然空きが出きれば、先行させるとのこと。病院まで、出向いて聞きに行くと、検査入院の順番が、4番目、2番目と減っていきました。2番目なら、今週だろうか、今か今かと待つこと2週間。3週間目に入っても、呼び出しはかかりません。痺れを切らして、6月23日に電話をすると、28日に入院ということに。

6月28日
一泊入院で、生検。

7月20日
さあ、結果です。予約時間の30分ほど前から、待ち構えていました。予約時間から暫らく発って、待ち番号が呼ばれます。
医師B:「がんはありませんでした。」
私:「えっ」
医師B:「おめでとうございます。」
私:「はあ」
医師B:「すでに、紹介されたクリニックの方へ、伝えておきましたので、そちらで説明を受けてください。」

入り、座り、立ち、出るという動作をしただけで、終わり。
機械的に告げられても、嬉しいという実感はわきません。

PSAが高かったのは、なぜなのか?MRIの疑わしい腫粒像はなんだったのか?

嬉しいけれど、すっきりしない状態で、検査依頼元であるクリニックへ向かいます。
10時過ぎに飛び込んだら、満員状態。結局、出てきたのは14時過ぎでした。

開口一番。
医師A:「前立腺がんやと思ったのに、ザンネン。いやいや、ジョーダン、ジョーダン」
冗談でも、そんなことは、言われたくない。
報告書(紹介状返信)を手渡され、
医師A:「そこに書いてあるでしょ。」
そこには、PSA値が高いため、検査をし、MRIでは、前立腺癌を否定できない所見があり、経直腸的前立腺針生検を行ったが、病理結果では悪性所見を認めず、PSA高値について、PSAフォローを依頼する記載されていました。

説明らしい説明はなく、質問すると、叱りつけるような態度であしらわれ、最後に、一生検査を続けていくのだと吐き捨てるように言われた時は、もう、お世話になるのは、やめようとさえ思いました。

振り返ってみれば、昼食もとらず、多くの患者さんに接して疲れていて、絡まれているように思えたのかもしれません。

結局、がん騒ぎは、ひと段落。これを契機にいろいろ思うことがありましたが、長くなってしまいましたので、続きはまたの機会に。写真の代わりにポスターを添えます。見方によって、いろいろなことを訴えてくるポスターです。

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