Members Column メンバーズコラム

コミュニケーション能力

星乃勝 ((株)スルッとKANSAI)  Vol.10

星乃勝

皆さんは”コーポラティブハウス”という言葉をご存知でしょうか。共同で土地を買って、共同で設計し、
建築会社に発注し、自分の住まいを共同で建設するという方式です。

1982年9月、「共同住宅を建設する市民の会」という団体の募集チラシ、
“あなたも共同で住まいづくりをしませんか”“集まってつくろう 自分たちの手で”を見たのがキッカケでした。
自由設計の良質な住まいが3割安く購入できるとの話ですが、そんなに簡単に手に入るものではありませんでした。

毎週日曜日に5時間ほどの定例会があり、それも全員賛成まで続く労力のかかる作業でした。
定例会以外も多くの議論の場がありました。
最初の難題は、敷地に建てる住棟配置計画でした。
当初プランが否決され、30通りのプランを設計士さんに検討してもらい、
全員が納得するプランができるまで、半年もかかりました。

『全員賛成』の会議の進め方などこれまでに聞いたこともなかったので面食らいましたが、
この進め方を重ねるうちに、本当に大切なことを決める方法を学んだように思います。
誰だって納得できないものを決められた時はイヤな気持ちになるじゃないですか。
最初は反対していても、議論を重ねるうちに納得できることもあるじゃないですか。

このように人の気持ちは変化するものです。
大事なことを決める時、気持ちを整理する時間を十分に持つことが大切なのだと学びました。

このような『全員賛成』の議論を百通り重ねて、私の住まい『若松台コーポラス』は1984年に完成しました。
今年で26年間住んでいますが、何といっても、コミュニティが良く、居心地が良いです。
花見、夏祭りなど年間4回のイベントがあり、問題が発生したら、すぐに皆が集まって解決策を考えます。

KNSには、また違うコミュニティが存在します。
住宅の建設のような目標があるわけではないですが、だからこそ自由に意見交換できる場なのだと思っています。
KNSではフラットな意見交換の方法について学んだように思います。
肩書きに縛られることなく、夢を語る… 私が好きなのはKNSの熱気です。

先日、東京での打ち合わせの際に『関西の方はコミュニケーション能力が高い』と言われました。
関西のほうが、このように“人がつるむ機会”が多いからなのかもしれません。
これからも良きコミュニケーションを重ねる機会を増やしてまいりたいと思います。

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