Members Column メンバーズコラム
関西とのつながりとニューメキシコのご紹介
星エリ (The University of New Mexico) Vol.389
KNSの皆さま。こんにちは。米国のニューメキシコ大学技術移転兼産学連携事務所(STC.UNM)にて国際連携マネージャーとして西宮に駐在しております星エリと申します。この度は、KNSのメンバーに加えていただきありがとうございます!もともと東京出身で、カナダのバンクーバーに一年語学留学し、その後、アメリカのニューメキシコ州にあるニューメキシコ大学院に留学し、Master of Public Administration(MPA)を取得し、その後今の仕事について約10年がたち、昨年日本駐在という形で帰国しました。東京に戻るか迷ったのですが、関西のパートナー大学(大阪府立大学と関西学院大学など)が多いことと関西の大学の学生さんと触れ合い、起業家気質でのりがよく楽しい生徒や先生ばかりに出会えて、関西に住むことにしました。どんどんネットワークも拡がり、ありがたいことに今ではKNSにも所属させていただけております。さて、ここでは、私が10年住んでいて今でもお仕事しているニューメキシコについてご紹介させていただければと思います。
アメリカ合衆国ニューメキシコ州、アルバカーキ市は、標高1600mに位置する自然豊かな砂漠山岳地帯で、年間を通して、日本から高地トレーニングのために水泳選手や陸上選手が訪れています。また、エネルギー省管轄の国立研究所(サンディア/ロスアラモス)が2つ、国防省管轄(カートランドエアフォース)の国立研究所が一つあり、合衆国からの研究開発費への投資額が50州の中で一番高く、基礎研究、高度技術の密集地です。また科学者の人口密度が一番高い州としても知られています。そのような科学技術研究に恵まれた環境に位置するニューメキシコ大学(UNM)で開発された新しい技術を商業化し、ベンチャー創出、また周辺地域イノベーションによる経済開発に貢献することを使命とする、STC.UNMは、1995年に非営利団体として創立されました。地方大学の産学連携の大きなミッションとして、私も4年前から経済開発マネージャーとして、大学発ベンチャー支援に注力し、新しい雇用を生み出す産業プラットフォームを創出することにより、地域の経済の活発化を目指す産学官連携プロジェクトInnovate ABQにはコンセプト作りから参加し、2017年8月に一部完成することができました。また、アルバカーキ市は、産業を誘致する伝統的な経済開発手法から、起業家を誘致して起業創出を目指し、ニューメキシコ州政府も州の資産を十分に活かすため、2020年までに「State of Innovation(イノベーションの州)」を目指しています。この官民一体プロジェクトをリードしている組織がSTC.UNMであり、その技術移転と創業支援のプログラムは全米ランキングで28位に位置します。ニューメキシコ州内の産業のうち、スタートアップが占める割合は、その経済の29%であり、18%の雇用、20%の人件費を占める。STCの創出するスタートアップは、ニューメキシコ州においての平均給料よりも高く、高度な科学技術の分野にて、高収入な仕事を創出していることになります。このような統計からもニューメキシコ州という地域では、大学や研究所によってバックアップされた高度な技術をライセンスすることによって創出されるスタートアップ企業が経済を活発化するエンジンになっています。このようにアメリカの地方都市で技術移転、産学連携に注力している事例が関西や地方創生の鍵となり少しでも役に立てればと思っております。