Members Column メンバーズコラム

テクノ★ト★アート

原久子 (大阪電気通信大学)  Vol.115

原久子

 大阪駅北側の再開発地区「うめきた/梅北」の建物群もその姿を現し、い
よいよオープンが近づいてきたことが実感できるようになってきた。このプ
ロジェクトの特徴には「技術」と「感性」の融合というキーコンセプトがあ
る。これは私が勤務する大阪電気通信大学総合情報学部とまさに同じ志を持
つもので、日頃から「うめきた」の今後の動向が気にかかっている。しかし、
このコンセプトは見えるようで見えない部分があると感じている方が少なく
ないのも事実だろう。

 「技術(テクノロジー)」と「感性(アート、デザイン等)」との間には、
関わっている人たちの間の文化や言語の相違があることを、現在の本務校に
在籍して7年以上経ても感じる場面が多々ある。大学も企業も異分野、異業
種とのコラボレーションが苦手だと言われるが、ここにプロデューサーの不
在という問題があることを感じ、KAKEHASHI<http://kakehashi.tv>というサイ
トの立ち上げに関わった。自分自身のしっくりこない部分や居心地の悪さを
解消したいと、最先端に関わる技術者や研究者、クリエイターたちのインタ
ビューをテキスト作成に門外漢の方を採用して平易なだれにでも理解可能な
コトバにしてwebサイトにあげている。例えば「設計」というコトバを「デ
ザイン」ということでわかりやすくなることもあれば、その逆もある。
 このサイトのインタビューで、更に気づいたことはデキる技術者やクリエ
イターたちは彼ら自身がまさに優秀なプロデューサーでもあることだった。
こんなことをしたい、そのためにはどうしたらいいのか、強く求めればそこ
には道が開けていく。インタビューが掲載されている人のなかには真夜中で
も「あ、スミマセン、起きてました?教えて欲しいことがあるんですけど」
なんて電話をしてくる人もいるが、鼻が利くというか、起こされたわけでは
なくそんな時には私も起きているのである。こんな人たちの話を聴くことは
楽しく、わくわくさせられる。そしてサイトが更新されること自体も楽しい
プロデュース作業だ。
 このサイトのおかげで、会話を交わすこともなかった同じ職場の教員とコ
ミュニケーションが生まれたり、さまざまな副産物もある。技術と感性を掛
け合わせていくことで、学内でもこれからさまざまなモノが産まれようとし
ている。動き出すことで見えなかった「うめきた」の像も、コンセプトがカ
タチとなって現れてくるのだろう。そんな日が近い予挑がぽつぽつと点から
面になっていこうとしており、見えなかったものも少しずつ見えてこようと
しているようだ。

注:〈テクノ★ト★アート〉は5月27日(日)に大阪電気通信大学寝屋川学
舎で開かれるオープンスクリーニングのタイトルでもあります。

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