Members Column メンバーズコラム

KNS20周年で思い出すこと

与那嶺学 (有限会社協働研究所)  Vol.647

20年続くというのは、自分の生活の中であまりありません。仕事も転々としていましたし、趣味で続くものもあまりありませんでした。昨年、自分で作った会社が丸20年を迎えました。それがひとつと、あとは酒。趣味とは言えませんが、これは20年以上続いています。
20年前、私は39才、堂野さんは41歳の年、その時にKNSは誕生しました。その少し前に堂野さんがシンクタンクからメビックに転職したり、私がその1年ほど前に会社をつくったりして、周りの環境が大きく変わり始めたのを覚えています。くいだおれのイベント(2002.11.2第2回 INS in おおさか開催 於:くいだおれ)があったり、発起人会(2002.12.20発起人23人によるKNS設立準備会)発足があったり、準備する段階が色々ありました。私も若かったし、当時参加していたみんなも若かったし、何か大きく物事が変わりそうな雰囲気はありました。それと、私と同い年の人も数名いて、それが心強い存在になっていました。岩手の小笠原さんや神戸の平山さん、三重の清水さんらがそうです。多くの人はまだ「何者でもなかった」頃、今は立派になっている人もたくさんいるけれど。私は、立派になったみなさんも好きですが、何者でもなかった頃のみなさんもとても好きです。

KNSが出来た当初は、楽しくてしょっちゅうメビック(旧水道局)に通っていました。当時、自宅が長柄西にあり、会社は天満橋。それはほぼ一直線で真ん中あたりにメビックがある、そんなロケーションです。ですので、長柄西では新婚生活、天満橋ではつくりたての会社、扇町ではKNS、新しいことに囲まれた生活でした。

当時の私の問題意識に触れたいと思います。当時KNSの発足で議論していた時に出ていたキーワードの一つに「フラット」があります。よく関西は、あけっぴろげとか自由闊達とか言われますが、当時全くそんなふうには思えず、たとえて言えば下請けに対し非常に厳しい態度で臨む雰囲気があり、自由やフラットというよりも閉鎖的な印象が強かったのを覚えています。ついでながらいうと、こういうマイナス面は、20年経って、まだいくらかはこういう雰囲気が残ってはいますが、だいぶ改善されてきました。私のような小さい会社を経営している人間や、行政組織にいる若い人たちなど、先にあげたマイナス面で苦しんだりしていた人も少なくなかったと思います。

今のKNSのホームページのトップページに「KNSとは」「KNSの役割」が記載されていますが、当時の世話人会議などでいろいろ議論をした記憶があります。この部分をホームぺージから以下に転載します。
「KNSとは」・・・関西を中心に活動する産学官民メンバーが、互いにフラットな関係性を築き、自主的かつ積極的に交流・協働していく人的ネットワークに支えられた異分野コミュニティです。メンバー相互が、背中に背負った看板を脱ぎ捨て、個人的立場で参加しています。
「KNSの役割」・・・KNSは、産学官民メンバー相互のコミュニケーションを深め、信頼関係を築く異分野コミュニティをめざしています。その結果、KNSを通じて知り合った人同士が、ビジネス、共同研究、プロジェクト等の様々なシーンで活動することを期待しています。
これを見ると「KNSとは」では、真っ先に「互いにフラットな関係性」があげられており、実際にKNSの定例会の交流会に参加したことのある人はわかるかと思いますが、フラットというのは平等性とも違う、何か自然に出てくるような、例えていうとバーのカウンターで同じ目線の高さで話し合うようなそういう雰囲気があります。
もうひとつの「KNSの役割」では、「KNSを通じて知り合った人同士が」とあります。これはKNSを通じてよく知った人同士がビジネス、共同研究、プロジェクトなどを立ち上げるようなイメージです。個人的にはこのあたりがKNSの最もいいところだと思います。ずいぶん昔になりますが、KNS in沖縄(2008.6.21 於:琉球大学)で確か琉球大学の先生だったと思いますが、その発言が忘れられません。「なぜ、われわれの産学連携はうまくいかないのか?」と自責するような発言がありました。それに対し、KNS側から出たのは「われわれは(真剣な)遊びだから」というもの。琉球大学の先生は納得したように見えました。この話のように、どこまでを「目的」に含めるかは非常に大事な論点になります。KNSでは、会の目的を異分野コミュニティの深化にほぼ注力していますが、世の中でありがちなのは、よくこなれた人間関係の形成をすっ飛ばし、共同プロジェクトやビジネスでの成功を念頭に置いているためうまくいかない、そんな気がします。得るもの(共同研究やビジネスなど)がなくてもいいじゃないですか。ただ眼の前にいる誰かと知り合えたことがうれしい、参加している多くの人がそんなふうに思えるなら、それこそ得るもの以上の価値があると思います。

ところで、このコラムは6月14日が掲載予定日です。20年前のこの日に第1回定例会を開催しました。いわばKNSの発足記念日、つまり20周年の当日になります。
最後になりましたが、KNS20周年おめでとうございます。20周年が30周年、40周年へと続きますように。

写真左:水道局メビック跡にできる扇町ミュージアムキューブ(2023年10月オープン予定) 
写真右:メビック運営協力団体事務所での集まりのひとコマ

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