Members Column メンバーズコラム

ごちそう泳ぐ大阪湾

辻諭 (岸和田市)  Vol.445

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KNSメンバーの皆さん、こんにちは。メンバーズコラムを初めて担当することになりました、岸和田市の辻です。

さて、岸和田と聞けば、あの熱い“だんじり祭”がまず頭に浮かぶことと思います。各町自慢のだんじりが曳行されますが、その中には漁師町も含まれていて、色鮮やかな大漁旗が登場するシーンも見ることもできます。実は、岸和田市は大阪府内で最も水揚げ高が多い漁業が盛んな街でもあります。今回のコラムでは、岸和田の漁業と大阪湾の海の幸についてご紹介したいと思います。

〇イワシが東京・築地へ!?
大阪で生まれ、大阪育ちであっても、大阪湾を身近に感じておられる方は、意外と少ないと思います。大阪府南部の海沿いの地域=泉州地域で生まれ育った私ですら、恥ずかしながら十数年前までは、地元の漁業について知り気づく機会に巡り会うことなく、なんとなく大阪湾に対しては負のイメージを持ち続けていました。その考えの転換点になったのが、岸和田市の広報業務に携わっていた頃、お昼過ぎの岸和田漁港に赴き、水揚げされたマイワシについて取材したことでした。
「このイワシ、これから保冷車に積み込んで、明日の朝の競りに間に合うよう、東京の築地市場まで運ぶねん。」という関係者の言葉に、無知だった私は大きな驚きとともに衝撃を受けました。続けて「大阪湾は餌となるプランクトンが豊富で、脂がのり丸々と肥えたマイワシはとても美味しく、築地市場でも人気が高い。」ということも教えていただきました。
日本全国から選りすぐりの魚介類が集まる、東京・築地市場で高く評価されるほどの美味しいマイワシが獲れるこの地域に誇りを感じたとともに、目前の大阪湾には、まだ知らぬ海のご馳走がどれだけ泳いでいるのだろうかと、さらに探っりたい気持ちが強くなりました。

〇大阪府内の漁港と漁協
大阪の漁業について少し数字を見ていきます。まず、漁港の数についてですが、北は堺市の出島漁港から、南は大阪府最南端、岬町の小島漁港まで計13あり、ちょうど南海電鉄南海本線沿いに点在しています。
 また、漁業協同組合の数は24組合あり、先に挙げた漁港付近のほか、大阪市内でも大阪市漁業協組合、大阪住吉漁業協同組合があります。これら全組合で構成する大阪府漁業協同組合連合会が岸和田市にあります。

〇岸和田の漁業
岸和田市には、3つの漁業組合(岸和田市漁協、春木漁協、大阪府鰮巾着網漁協)があります。漁場は、水深20メートル程度の海が広がっている関西国際空港以北の大阪湾で、早朝から船曳き網、底曳き網、巾着網による漁が行われています。
水揚げされている魚介類は、春には、イカナゴ、シラス、メイタガレイ、アナゴ、夏には、泉タコ、マイワシ、スズキ、イボダイ、秋には、サワラ、ワタリガニ、マルアジ、マナガツオ、冬には、アカシタガレイ、マダイ、クロダイ、ハモなどなどですが、これら以外にもここに書ききれないほど、多種多様な魚介類が獲れるのが特徴です。
特に、3月から12月まで行われるシラス漁においては、これまで大阪府内に皆無であった競り場が、岸和田市内の港に平成26年3月に開設されたことで、地元で水揚げ・販売ができるようになり、鮮度抜群の「大阪産シラス」として人気が高まっています。

〇美味しさを感じてもらいたい
 シラスが水揚げされ競り場がある岸和田市地蔵浜町は、車なら阪神高速4号湾岸線、岸和田南ICを出るとすぐ、電車だと南海電鉄南海本線の岸和田駅から徒歩20分ほどの場所にあります。
ここに、自信をもってお勧めできる2軒のお食事処がありますのでご紹介します。ぜひ、足をお運びいただけると幸いです。
機会が作れるのでしたら、KNSメンバーで「大阪湾の地魚を食す会」を開催したいですね!

・泉州海鮮 きんちゃく家
 港で水揚げされた新鮮なシラスが、岸壁から歩いてなんと30秒で届くこのお店で一番に食べていただきたいのが、生シラス丼。鮮度が非常に落ちやすい生シラスですが、店長の丁寧な仕事により鮮度が保たれており、1匹1匹が口中でしっかり感じられ、噛むことにシラスの旨味が広がります。 残念ながら、この冬の提供は休漁のため12月末で終了しましたが、4月には再び漁が始まり楽しむことができるようになります。
生シラス丼のほか、1年を通して、釜揚げシラス丼や地魚の刺身、煮付け、天ぷらなどをリーズナブルな値段で味わうことができます。
<泉州海鮮 きんちゃく家>
所在地 岸和田市地蔵町7番1号
営業時間 午前5時 – 午後2時(木 – 土曜日は午後5時30分 – 10時に夜も営業)
定休日 水曜日
電話 072-436-3866
ウェブ http://www.iwashikincyaku.com/946420251

・漁師家 幸
 こちらの店主は漁師ということもあり、本当に美味しい時期の地魚でなければ提供しないとの信念をお持ちで、市場に出回ることの少ない希少な地魚を美味しく味わうことができます。
特に、岸和田沖で獲れる穴子は希少で、肉厚で美味しいことから非常に評価が高く、そのほとんどが京都市内や大阪市内の高級料亭に卸されるそうです。その穴子を、こちらのお店では、穴子丼や天丼、押し寿司、穴子鍋などでいただくことができます。私も先日、店主の勧めで穴子鍋を初めていただきましたが、脂がのっていて旨みがあり、いつまでも食べ続けていたい美味しさでした。
<漁師家 幸>
所在地 岸和田市地蔵町11番1号
営業時間 午前11時 – 午後2時、午後5時30分 – 10時
定休日 火曜日
電話 072-430-0758

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