Members Column メンバーズコラム

『住み開き』をやってみた

田中冬一郎 (輪音プロジェクト)  Vol.163

田中冬一郎

皆様はじめまして。
堂野さんとお酒の席他で色々とご一緒する内に本年度よりKNSに正式参加させていただきました、NPO輪音プロジェクト、そして池田泉州銀行の田中冬一郎(たなかとういちろう)です。
さて、初めてメンバーズコラムに寄稿させていただくにあたり、自己紹介をまずは書くべきか?とも考えたのですが。アチコチとしている身の為、ちゃんと説明できる自信が今はありませんので、今回は昨年の11月から取り組み出した事の1つ『住み開き』活動について”実践者”としてお話させていただこうと思います。

まず言葉として『住み開き』をご存知でない方に説明させていただくと。2009年頃に友人でもある『日常編集家』のアサダワタルさんが提唱した『住居や個人事務所といったプライベートな空間を本来の用途や機能を保ちながら、一部を限定的に開放することによって
セミパブリック化させる活動や運動、そのような使われ方をする拠点のこと』と定義されています。僕自身も彼から、そして彼が2012年に出した本『住み開き 家から始めるコミュニティ』を読んで以前から知っていたのですが。卒直な話、家にあまり友人を呼ばない人生を過ごしてきた自分にとっては、自宅『外』にスペースを持つ事はともかく自宅『内』にまでを他者にオープンする事には心理的な抵抗があって、当初は無関心というか、後に自身が行う事になるとは実はまったく想像もしていなかったのですが。

しかし、偶然、『何かしら(自分にとって)新しい事をしよう』という気持ちだった時に、個人空間が充分に確保されたマンション物件を借りた事が”自分の中では”繋がって『ちょっと試してみるか!』と2012年10月からはじめだして、わいわいと『映画鑑賞会』や『料理教室』そして『トークイベント』など毎月数回、何かしらをして『開いて』いる内に、
あっという間に約半年間が過ぎ、2013年4月現在、のべ300人の方に”参加者””宿泊者”として来ていただく事が出来ました。

同時に、その約半年間の『住み開き』活動を振り返って『個人的な』感想は主に3つ。

■どこまで『開く』か?
慣れの問題だとも思いますが、自身のプライベートな空間(時間)をどこまで『保ちながら』どこまで『開く』か?。これに関しては多少のテクニックが必要かな?と試行錯誤しながら感じました。(僕の場合は宿泊も可能にしているので余計に)結局、うちに関しては前述の間取りの物理的利用に加え『最初にとにかく相手と話す』『会話の中でオンオフのサインを出す』に落ち着きましたが。

■信頼が必要?
『開く』という行為自体は割と誰でも出来るとしても『パブリックに開いて』様々な関係性のない人にも来てもらうには、何かしらの信頼が必要不可欠(僕の場合はマンションの1室ですしね)そんな事も感じました。こちらに関しては、プライベートな空間ではあるが『なるべくWEBサイト上に様子を写真や動画で公開』したり、他にTwitterなどのソーシャルメディアを積極的に活用して、なるべくオープンな運営を心がけています。

■『住む』から『使う』感覚に?
月2回以上『イベント』をしている内に、単純に『住む』だけの場所だった自宅が、当たり前の様に『自分が』だけでなく『誰か』が、あるいは『誰かと』そんな共同してパブリックに『使う』場所に意識として変わりました。自宅を捉え直す事で『住む』だけでない機能が増加したような、そして何かの可能性が広がった様な不思議な感覚が、今あります。

と、この様な3つの感想を踏まえて、では結局『住み開き』を実際にやってみて、僕にとって『どうだったのか?』と言われればシンプルですが『予想以上に楽しい』ですね。

歴史を振り返ると、過去の日本社会に当然の様にあったコミュニティ感覚を『取り戻している』だけかもしれませんが、日常的に、訪れる方々からシェアしてもらい『獲得している』感覚が気持ちよく、また自分で『開く』事を自由にコントロールできる(つまり、いつ『終わってもよい』)選択できる状況が、『かくあるべし』的な現代社会においては、いやだから余計に心理的なゆとりを持つ事が自然に出来て、とても健康的に感じているからです。

メディアを通じて、あるいは何かしらのきっかけで『住み開き』という言葉に興味を持ちはじめている方とか、もしくは梅田駅辺りで終電を逃したり、あるいは関西方面への旅のついでに泊まれる場所を探している方とか。もし良ければお気軽にご連絡くださいませ。

僕のはじめた、この『住み開き』空間である★『511』に一応あるコンセプトは、日常的な『避難所』。最小限の”おもてなし”しか意図的に行いませんが、一方で新たな”まなざし”はおそらくですが、提供できると思いますので。

★『511』サイト→http://waon511.jimdo.com/

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