Members Column メンバーズコラム

学生が主役の実践的ビジネス教育への挑戦

鈴木洋太郎 (大阪市立大学)  Vol.117

鈴木洋太郎

?はじめに?
大阪市立大学・商学部の鈴木です。
 私の専門分野は、産業立地論(国際産業立地)で、「多国籍企業の立地展
開と国際分業」、「グローバル化の中での関西・大阪の産業集積」、「日本企
業の立地先としての東アジア」などを研究しています。(財)アジア太平洋
研究所のリサーチリーダーも担当しています。
 本日は、こうした専門分野の話ではなく、先日の定例会でも報告させてい
ただいた、「学生が主役の実践的ビジネス教育への挑戦」の話をさせていた
だきます。よろしくお願いします。

?市大商学部の実践的ビジネス教育プログラム?
 市大商学部の実践的ビジネス教育プログラムには、主に1回生向けのキャ
リアデザイン論、2回生以上向けのプロジェクトゼミがあります。6年前に、
文部科学省のGP(教育改革プロジェクト)に応募し、採択されたのが、こ
の教育プログラムを始めたきっかけです。これまでに、キャリアデザイン論
を11科目、プロジェクトゼミを30科目開講してきました。
 私は、事務局・教務委員として、この6年間、すべてのキャリアデザイン
論に参加し、担当教員のサポートを行っています。また、私自身もプロジェ
クトゼミを何度か担当しています。

?キャリアデザイン論の事例?
 キャリアデザイン論では、5~6名で1つのグループを作り、6つ程度の
グループがビジネスコンテスト形式で競うように、課題解決のための企画書
づくりを行います。課題としては、たとえば、「河内長野市の集客プラン」
や「あべのキューズモールのイベント企画」などです。
 授業の流れとしては、1回目の授業で企業や行政の方に検討すべき課題を
提示していただき、2回目~3回目の授業でグループワークを行い、4回目
の授業で企業や行政の方に対してプレゼンをして講評をもらう(優勝チーム
を表彰)といった形です。これを三度繰り返します。
 負けたグループが、次は勝てるように授業時間外でのミーティングが活発
になり、授業の後半になるほど、学生たちの気合が高まっていきます。

?プロジェクトゼミの事例?
 私が担当しています、「オープンキャンパスの企画・実施」を行うプロジ
ェクトゼミについて紹介します。
 夏休み中の2日間、高校生向けのオープンキャンパスを開催するのですが、
商学部のオープンキャンパスは、昨年度から、プロジェクトゼミの学生たち
が企画・実施しています。
 授業の目標は、受講生全員でオープンキャンパス・イベントを成功させる
ことですが、同時に、受講生のプレゼン能力などを向上すること(受講生が
成長できること)も目標です。イベント企画や広報の企業の方にも、アドバ
イザーとして授業に協力していただいています。
 写真は、昨年度のオープンキャンパスの風景です。高校生にビジネスプラ
ンづくりの楽しさを知ってもらうためのワークショップを行っているところ
です。
 現在も、今年度のゼミ生たちが新たな企画に取り組んでいます。

?授業からスピンアウトした学生たちの課外活動?
 キャリアデザイン論を受講した学生たちが、自分たちで独自のビジネスコ
ンテストを開催しようと、一昨年度に「市大ビジネスコンテスト」を開催し
ました。昨年度も、第2回を開催しています。
 また、キャリアデザイン論やプロジェクトゼミで、あべのキューズモール
のイベント企画に取り組んだ学生たちが、昨年度、実際に「アベノあめ村」
(大阪のあめちゃん文化の発信ショップ)というイベント企画を実施しまし
た。
 これらも、市大商学部の実践的ビジネス教育の成果だと思います。

?おわりに?
 自分の専門分野の授業に加えて、以上のような実践的ビジネス教育の授業
を行うのは、しんどい面もありますが、私自身が大変良い経験になったと感
じています。
 まだまだ、がんばりたいと思いますので、興味のある企業や行政の方は、
授業協力のほど、どうぞ、よろしくお願いします。

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