Members Column メンバーズコラム
INS、KNSは将来に何を残すのか
佐藤利雄 (JSTマッチングプランナー) Vol.500
コロナウイルスの感染が広まり、国内外での対応が日々案内され、いつ収束するのか不安な日々が続いております。筆者も2月22日開催のINS in 関西の参加も見送り、久々に皆さんに会えるのを楽しみしにしておりましたが、大変残念です。
さて、仕事柄出張が多く、その移動は列車、飛行機とさまざまですが、移動中の楽しみといえば、スマホを持っていないので景色をながめたり、読書(新聞、週刊誌、単行本など)ですね。昨年の末ころから、15年ほど前に購入した、日本経済新聞社発行の「20世紀 日本の経済人」を引き出して見始めています。この本との出会いは、花巻市起業化支援センター勤務のころに、起業・企業支援を初めたころでしたので、創業者について興味をひき購入した本でした。
ここ数年、花巻市起業支援センター、岩手大学、JSTと職場が変わり、起業・企業支援から少し離れてしまったかと感じ、もう一度コーディネーターとしての原点に戻る必要があるかと感じ再度読み始めました。
15年前には、なんとなくと読んでいたので、内容についてはほとんど記憶が無くなっており、改めて読み返すと、あっという間に引き込まれてしまいました。
内容は、明治、大正、昭和の激動時に企業家した人物の紹介です。渋沢栄一、後藤新平、安田善次郎、松下幸之助などそうそうたるメンバーを6 ,7ページで紹介しており、ここで、一番気になった内容として、人的ネットワークの成果がいろいろ描かれていることでした。苦難に陥ったときに誰に助けを求めたか、また、当時ではあり得ない支援をおこなったりと、現在では、なかなか見受けられない事例が記載されています。
また、各個人の考えを紹介していますが、後藤新平(岩手県奥州市出身)の言葉に、「カネを残すのは下、事業を残すのは中、人を残すのが上」という言葉に強く惹かれました。筆者もコーディネーターの仕事を25年近く関わらせていただいていますが、その中で、後継者育成に対して、「15歳理論」を立てて対応していますので、何か共通していると感じています。この考えを導いたのは、花巻信用金庫と岩手県花巻地方振興局が連携して、平成16年から活動している「花巻 夢 企業家塾」の活動を行ってからです。
平成8年に花巻市起業支援センターにお世話になって、初めての産学官連携は、花巻市にある黒川食品と岩手大学との連携でした。当時の黒川専務は、筆者の3,4後輩でしたが、この連携は平成11年頃から成果を生み出し、花巻市起業支援センターでも産学官連携のモデルにもなりました。この連携で生まれた考えは「デジアナ的商品」です。平成11年頃にこの活動を見ていた、伊藤工作所伊藤氏は、奥様の実家が酪農家で、畜舎の清掃装置を開発するため、岩手県工業技術センターと連携し、商品化まで進むことができました。このような活動を花巻信用金庫と岩手県花巻地方振興局が後押しする形で平成16年に企業家塾を立ち上げることになりました。発起人として黒川氏も参加いただき、約90名の参加で活動を始めることができました。しかし、残念ながら、黒川氏は10年ほど前に亡くなってしまいましたが、ご子息が企業家塾に参加し活動しています。このご子息は30代ですが、企業家塾参加の同年代4名で、新たな企業を立ち上げたりと精力的に活動しています。
この活動から「15歳理論」を考えました。黒川氏と筆者は同年代で、黒川氏も存命であれば60歳を迎えています。伊藤氏は筆者と15歳(現在48歳)ほど離れており、伊藤氏と黒川氏のご子息も15歳ほど離れております。この15歳離れていながら、考えなどが続けることができれば、その地域での活動は継続できると考えています。
さて、INS、KNSはどうでしょう。INSもKNSから見ると、高齢化は進んでいると思いますが、KNSも他から見たらどうでしょう。筆者も若い頃は何にでも興味を持ち(宴会とカラオケ?)参加していただくメンバーと楽しい時間を過ごしてきました。お陰様で、1万人を超える皆さんと名刺交換させていただき、まだまだお付き合いさせていただいている方も多くおります。INS、KNSの考えをどうやって継承していくのか。
継承して行くときのポイントは、INS、KNSとも楽しい場になっているかですね。意識的に15歳下の方にお声かけしてみませんか。
自分より10歳上下は仲間的な感覚ですよね、ところが20歳上下になると、なかなか話題が合わない状況になりませんか。だから、15歳かなと考えています。一人でも考えを継承していただく方が出てきてくれれば、そこの組織なども継続ですよね。
冒頭紹介しました「20世紀 日本の経済人」でも、創業者の考えが継続されており、日本経済を牽引する企業として活動しています。INS、KNSも活動的人材(宴会好き)を輩出する組織として継続していければいいですね。
最後に、大阪のたこ焼き食べたい!!
早く、コロナウイルス収束して欲しいです。