Members Column メンバーズコラム

ヒッチハイクのすゝめ

中村祐介 (株式会社さかい新事業創造センター(S-Cube))  Vol.351

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みなさまこんにちは。株式会社さかい新事業創造センター(S-Cube)の中村です。初めてのコラム投稿ですので、簡単に自己紹介も含めて書かせていただきます。今年度からS-Cubeに来て、KNSに参加し、ご縁もありKNSメンバーに加えていただきました。ちょうど一年前は堺市役所の生活援護課で生活保護のケースワーカーをしていたところ、市から現在の仕事の命を受けて、現職に至ります。現在の仕事はS-Cubeというインキュベーション施設の管理・運営を行なっております。まだまだ20代の未熟者ではございますが、今回は私のコラムにお付き合いいただければと思います。

さて、突然ですが、私はタダが大好きです。今でも試食コーナーがあるスーパーに行くと、非常にテンションが上がります。しかし「只より高いものはない」という言葉もあり、みなさんご存知のとおり、タダでやってもらうと、余計にお金がかかることがあるといった言葉です。そんなことは百も承知な中、私はタダから始まったことで勉強になったことがありましたので少しお話させていただきたいと思います。
少し前の話になりますが、旅行に明け暮れていた時期がありまして、普通に旅行しても面白く無くなってきたため、ヒッチハイクを試すことになりました。ヒッチハイクとえば、よく芸能人がスケッチブックを片手に、行き先を差し伸べて、車に乗せてもらうところをよく見ますが、「これってスケッチブックとペンがあれば日本全国どこまでも行けるのではないか」と私は考えました。そして、タダが好きな私は100円ショップで購入したスケッチブックと家にあったマジック一つを持ち、脱本州を掲げ、ヒッチハイクの旅に出かけました。目指すは九州福岡県。出発日翌日の夜に本場のもつ鍋屋を予約して、それを目標にヒッチハイクを開始しました。そんな中、ヒッチハイクをして、気づいたことを以下にまとめたいと思います。

1、遠い目的地を書くよりも、近い目的地を書く方が乗せてくれる
最初は九州方面とスケッチブックに記載し、流れる車に向かって差し伸べるも、全く停まらず。1時間程そのような状況が続き、これはダメだと思い、新幹線で福岡に向かおうかと考えていたところ、1台の車が停まる。「兄ちゃん、大阪から九州まで車で乗せて行くようなアホおらんで」。追い討ちをかけるようなこの言葉に、一つのひらめきがありました。高速道路の近くのサービスエリア(以下SA)をスケッチブックに書き、まずはそこを目指すという方針で、車に投げかけました。すると10分もしないうちに、「名塩なら乗せてあげるよ」と優しい老夫婦から声がかかりました。その他にも近くのSAを書いたにもかかわらず、遠方まで行く人もおり、結果的に目的地に大いに近づくこともありました。

2、トイレ上がりの伸びをした後に缶コーヒーを飲んでる男性は確率が高い
高速道路の長時間運転で運転手が戦うのは睡魔。その睡魔に襲われそうになり、SAにくる人も少なくない。その人達の行動パターンが、まずトイレに行き、伸びをした後に缶コーヒー。この方程式でヒッチハイクを断ってくる人はまずいなかった。口を揃えて「ちょうど眠気覚ましに話し相手が欲しかったんや」と話し、車に乗せてくれます。

3、意外と裕福な人の方が乗せてくれる
軽自動車やエコカーなどのドライバーの方が声を掛けやすいが、断られることが多い。意外と外車や高級車を運転している方のほうが乗せてくれます。1000万円以上の車にも何度も乗せてもらいました。また、乗せてくれる人は非常に親切で、目的のSAに着くとご飯をご馳走してくれたり、手土産を買っていただいたりと至れり尽くせりでした(本当にありがとうございます)。

4、大型トラックの景色はすばらしい
夜間のヒッチハイク。車の台数も減り、静まり返る高速。長距離トラックの群れ。恐る恐るトラックの運転手に声をかけると彼らのネットワークで目的地に行くトラックを探してくれ、簡単に乗せてくれました(ヒッチハイクの醍醐味には欠ける)。大型トラックの運転席は見晴らしもよく、戦隊モノのロボットのコックピットにでも座っているようなものでした。

5、普段出会えない人に出会える
乗せてくれた方は多種多様。学校の先生や会社の社長、老夫婦、家族サービス中のお父さんなど、本当に多種多様な人々が乗せてくれました。そして共通する点が、みんな優しいというところです。ヒッチハイクは危険なイメージもありますが、私が出会った方々は非常に暖かな人ばかりでした。

以上が私のヒッチハイクをした感想です。初めはタダに食らいついておこなったヒッチハイクでしたが、始めてみるとお金では買えない、多くの出会いや経験がありました。そして移動についてお金で解決するのではなく、100円のスケッチブックとペン、そして人間力で、どこまで行けるかを試す非常にいい経験です。
10年後にはリニアモーターカーが名古屋~東京間で結ばれ、将来的には東京~大阪間にも結ばれ、1時間で行き来できることになるようです。時間は早いに越したことはないですが、時間をかけてヒッチハイクで旅してみるのはどうですか?新たな発見が生まれると思いますよ。(なお、危険な面もありますので、お一人で行う際は充分お気をつけ下さい)

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