Members Column メンバーズコラム

創業100周年を迎えるにあたって・・・

中川裕之 (中川鉄工株式会社)  Vol.328

中川裕之

みなさま KNS世話人のひとり/ものづくり・ひとづくり研究会の主査のひとり。
本業は中川鉄工株式会社という精密機械加工を行う町工場で代表をさせていただいております、中川裕之(ひろし)と申します。コラム発足後すぐに書かせていただきました前回に続き、2回目のコラム投稿になります。最後までお付き合いいただければ幸いです。
 まずは私の自己紹介をさせていただきます。大阪で生まれ育ち、大学卒業後就職で一時期静岡県浜松市で仕事につきましたが、その後大阪へ戻り今年年男48歳の根っからの大阪人です。私共の会社は、大正6年に私の曽祖父中川新次郎が、大阪城のほとり、当時の北区相生町で中川鉄工所として産声を上げました。

その後城東区の現在地に移り今に至っております。その後月日を重ね、丁度この9月からの新しい期を迎えるのが、創業から数えて100周年になります。本当に関わっていただきました皆様のおかげでございます。創業当時は町の鍛冶屋さんのような仕事をしていたと伝え聞いています。その後大阪城付近に位置していた陸軍砲兵工廠の軍需工場に指定され、軍需品の製造や、造幣局の設備の修理、中川式英米螺旋装置機(自社商品)の開発・販売などを行っていたようです。その後祖父、父、そして私と継承してまいりました。が、その間万事うまくいっていたわけではございません。戦争を経験し、大阪大空襲で一面焼け野原になり、社屋も機械もすべて焼けてしまいました。戦後一人復員した祖父が曽祖父と一緒にバラック小屋から一大奮起し再度工場を立ち上げました。戦後の電力事情が悪い中、皆さんが寝ている時間に機械を回していたと伝え聞いております。祖父母が亡くなり、遺品の整理をしていますと、戦前の家族の写真が出てきました。(添付資料) 何とも言えない心の奥底から熱いものが湧き出してきたのを覚えています。一番熱く込み上げてきた写真は、祖父の男兄弟3人と、創業者が出征前に撮った多分最後の家族写真だと思われる写真を見つけた時です。祖父以外の兄弟は戦死しております。こういった経験を踏み創業100年を前に、生前祖父の趣味の鉄道模型部屋を改装して弊社の歴史を体感していただくスペース、中川鉄工ミュージアムを3年間につくりました。箪笥の片隅でくすぶっていたご先祖様に陽の目を浴びていただきたいと思ったのがきかっけです。また、再度自社商品をと思い開発に入ったのも、この写真を見たからです。大阪デザインセンター様の産学連携デザイナー育成プロジェクトで、大阪工業大学の優秀な学生さんに出会い、現在売り出し中のtie-m glassができました。B to BからB to Cの市場へも一歩踏み出しました。歴史は繰り返す。これでかつての様に紛いなりにもメーカーになったので、ご先祖様に少しでも顔向けできるでしょうね?
ひとこと100年と言ってもピンときませんね?私としても弊社の長い歴史の中で、たまたま継承した会社が100年を迎えるというだけのことです。が、思えば代々継承してきたことが多々ございます。最近祖父母がしていた習慣に対してすごく敏感な年齢になったのでしょうか?今年の初めに会社の事務所に新しい、モダン調の神棚を設置しました。なぜだかわかりません。が、習慣を代々伝えていけなければならない使命感に苛まれて購入しました。代々お祀りしていたお札の交換に行けていませんでしたので、先日ひとりでお伊勢さんにお詣りに行ってきました。その時すごく感じたことがございます。茶髪でピアスの若者が、鳥居をくぐる際に一礼してくぐっているんです。おまけに道の真ん中も歩かずに・・・
伝統という言葉がございます。伝統を守っていればまず大丈夫なんです。伝統は過去の賢者の知恵の積み上げです。また礼儀作法を重んじる家は伝統も重んじるそうです。これは先日ある方の講演をお聞きしていて、心に響いた言葉です。お箸の持ち方一つで、そのご家庭が礼儀作法を重んじ、伝統を重んじてきているか?一目でわかるそうです。特にお嬢様をお持ちの方は、是非お箸の持ち方をご教授してあげてくださいませ。たかがお箸をきちんと持てるだけで、格式があるすばらしい家庭で育てられたと世間では見ていただけるそうです。古臭いと言われてしまうかも知れませんが、国際的に評価される日本人として、良い習慣は伝統として代々受け継いで行き、次の輝かしい若者の未来へ向けた活動を今後も進めて参りたいと思っております。
最近年のせいか理屈っぽくなってきた感がございます。先日KNSのメンバーの方々との会話の中で、うるさいおっさん、おばはんの会を設立しようか?なんて話も出てきました。今の時代が悪いわけじゃございません。世界的に見て日本という国が評価されるのは、代々伝統を守り、語り継いできたからだと私個人的には思っております。是非、皆様方と一緒にこの素晴らしい伝統を守り、継承し続けていく中で、我々の会社も継続して行ってくれればこれほど幸せなことはございません。みなさまも是非よろしくお願いします。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
 弊社URL http://www.nakagawa-iw.com
自社商品tie-m glass URL http://www.tie-mglass.jp

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