Members Column メンバーズコラム

6時間勤務に変えると何が変わるのか

神崎英徳 (株式会社PRリンク)  Vol.329

神崎英徳

皆さん、こんにちは。
KNS世話人の1人、PRリンクの神崎です。
私の年初からのテーマは、「自然体」と「行動の一致」です。
PRリンクは「子どもたちが安心して暮らせる社会の実現を目指す」という理念から生まれた会社で、気がつけば、創業から9年目を迎えました。

ミライ企業の経営者との出会いで気づいたこと
その理念の実現を目指して2013年に「JAE」「シーズクリエイト」と当社の協働でスタートした、若者の働く価値観の変革を目指す「ミライ企業プロジェクト」が昨年は大きく前進しました。優良な中小企業=ミライ企業を取材した「ミライ企業図鑑」が昨年は10大学約1500名の学生の教材として使われ、昨年末から「人を大切にする経営学会」の関西支部の運営の一端も担うことになりました。また大阪と沖縄に続いて、三重と広島でも地域事務局が誕生しました。

このプロジェクトを進めていく中で、理念や人を大切にする経営者との出会いが一層増えました。その経営者の多くがとても自然体だったことが印象的でした。社員を幸せに。顧客の期待に応えたいという気持ちから、相手のための行動が無意識に生まれ、その自然な行動が互いの気持ちを通わせ、共感が連鎖する。企業経営は短距離走ではなく、世代を越えてバトンを脈々と受け継いでいく長距離走です。自然体でなければ、どこかに無理が生じ、続かないということに改めて気づかされました。

6時間勤務への挑戦
PRリンクの創業当時は、みんな夜遅くまで働いていました。私もまだ小さかった子どもとの時間を作ることができず、子どもに寂しい思いをさせてばかりでした。創業から年月が経ち、それぞれに子どもが生まれたり、ママさんスタッフが加わったりして、いつしか当社のスタッフは全員が子育て中の女性になりました。

自然体を意識するようになり、子どもたちが安心して暮らせる社会の実現という理念と、自分たちの働き方を一致させるため、今年の1月から9時半始業、16時半終業の6時間勤務に変更しました。
決断した背景には、子育て中の社員が「ごめんなさい」と言って帰る会社でいいのだろうかいう長らくの疑問がありました。時短勤務を導入すると実質的に6時間勤務にすることはできます。PRリンクも時短勤務を取り入れていたので私以外の他のメンバーは元々6時間以下の勤務でした。ただ会社の営業時間が長いままでは、子育てをしながら働くことに、申し訳なさを拭えないのではないかと思いました。

またずっと机に座って仕事をしていて、本当に広報という仕事ができるのだろうかという疑問もありました。家事や育児や介護などを担うことで生活者視点が養われ、その商品やサービスの価値を伝える言葉に説得力が生まれます。流行っているスポットや、旬な人に会う時間を作ることで時代の流れを実感し、広い視野を持って情報を伝えることができます。生活者としての経験をすることで、社会に必要とされる商品やサービスを提供する企業(NPO)を伝える広報力が磨かれるのではないかと思い、思い切って6時間勤務への変更を決断しました。

6時間勤務を導入してわかったこと
6時間勤務を導入して8ヵ月経ちますが、導入後にトラブルは起こっていません。定期契約の顧客は緊急の連絡は私あてにかかりますが、17時以降に緊急の連絡が入ることはほとんどありません。計画的にスケジュールを立てれば、業務に支障をきたすことはないことがわかりました。仕事の相談はむしろ増えました。これは6時間勤務だからというわけではありませんが、少なくとも仕事のネックにはならないことがわかりました。
社長である私は時間の区切りがないので、夜遅くまで働くことも少なくありませんが、月に数日は17時頃に仕事を終えて、やりたいことができるようになりました。社員も私も、仕事にメリハリがつけられるようになり、気持ちに余裕が持てるようになったことが一番のメリットです。
勤務場所が限定されるメーカーや、店舗のあるサービス業など、導入が難しい企業も少なくないと思いますが、環境が大きく変化する時代、これまでの勤務時間の常識も疑い、自社にあった勤務制度に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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