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市役所から経済産業省へ派遣されてみて

村井正太 (豊中市役所(経済産業省へ派遣中))  Vol.656

豊中市役所の村井です。4月から経済産業省へ派遣となり、東京で単身赴任生活を送っています。
今までは関西、それも大阪府の淀川以北でしか住んだことがなかったのですが、突然の転勤で関東での生活を送っています。まだ、転勤してから4か月程度ということで東京での生活は新鮮で、日々新たな刺激を受けています。特に、週末は今までなかなか行けなかった関東各地に出かけています。関西から関東・東日本へ旅行すると、どうしても時間を割けないような場所でも、東京を拠点に生活するとゆっくり訪れることも可能に。また、現在は東西線の門前仲町に住んでおり、東京駅までは歩いて30分程度という好立地を活かして、都心の夜景を楽しむこともできています。

今回は、市役所の職員として経済産業省へ派遣されたことで、派遣元と派遣先で感じた違いを紹介します。

私は、民間企業での勤務をへて、2008年に豊中市役所に入庁。商工労政、広報を担当した後、3月までの6年間は雇用・労働の仕事をしており、昨年度はフリーランス支援事業なども担当していました。
今年の4月1日付の人事異動で、経済産業省への派遣となり、2年間の単身赴任生活となりました。

経済産業省では、商務・サービスグループの中にあるキャッシュレス推進室と消費経済企画室を併任しています。
キャッシュレス推進室では、B2B領域におけるキャッシュレス(法人カード)の普及などが主な業務になってきつつあります。B2C分野のキャッシュレスはだいぶ普及してきました。地域や業種によっては差がありそうですし、会場内が本格的にキャッシュレスで開催される大阪・関西万博に向けては、もっとキャッシュレスを普及させていく余地はあるかもしれませんが、店舗や飲食店ではある程度キャッシュレスが普及してきました。一方で、B2Bの取引では、現金や手形での支払いが残っていたり、銀行振込を利用していても請求・支払い業務や消し込み業務が効率化されていなかったりしています。法人カードを利用して、データ連携による部分を含めて、業務の効率化を進めていけないかというのが現在のお仕事になってきています。
消費経済企画室の業務としては、リース業界(主にファイナンスリースと呼ばれるリースを中心に、特に対象となる業界・業種を問わない全般的なリース事業)に関する業務を担当しています。例えば、ファイナンスリースがマネーロンダリングやテロ資金獲得に利用されないための取り組みなどです。

豊中市役所から経済産業省へ出向して4か月が経過しました。出向期間は2年なので、まだ2割程度ですが、市役所と経済産業省で仕事をして感じた違いについて大きく3点あります。3点は、スピード感、アプローチの方法、市民対応です。

1つ目のスピード感については、経済産業省は早い・目まぐるしい感じです。
市役所では、解決しないといけない課題が見えてくると、次年度の予算へ計上したり組織目標に記載したりして、将来の解決をめざしていきます。今の職場では、1年先の計画を考えるというよりも、課題があるならすぐに解決に向けて動き出すことが求められます。また、照会や資料の確認についても、締め切りまでがおそろしく短いものが多いです。重要な資料に関する照会ほど期限が短いというのは両者に共通しますが、その期限が当日とか翌日中ということもあります。すべてにおいて、スピードが求められます。

アプローチの方法については、市役所では当事者の意見や状況を把握するところから始めていましたが、今の職場では全体の傾向をつかむところから始めることになります。市役所では、市民や事業者さんからお話を聞いたり、相談記録を1枚ずつ見ていき、そこから事業としてできることを考えていくというアプローチでした。当事者までの距離が近いというのが特徴だと感じます。今の職場では、団体さんからお話を聞いたり統計数値から見えてきたことをベースに考えていくようになります。

市民対応については、経済産業省に来てからはあまり市民(住民)の対応というのがありません。たまに、一般の方からもお電話がかかってきますが、とても少ないです。市役所では、常に市民の対応とその関連の業務をしていたため、事務作業などに割ける時間が限られていました。一方で、今の職場に来てからは、打ち合わせや会議が予定の時間通りに終わります。というか、一人ひとりの予定が多すぎて、予定通りに終わらさないと次の予定に支障が出てきます。市民対応をすると、どうしても予定がずれる・キャンセルすることが発生するのですが、そのあたりも環境が違います。

これらの違いは、働き方でも違いを生んでいると感じます。テレワーク(在宅勤務)を例に挙げると、市役所にいたときには在宅勤務を効率的に行うためには、日常発生する仕事の中で、職場で取り組んだ方が良い業務と、在宅の方が効率的な業務を分けて、普段から在宅勤務の方が効率的な業務は後回しにしてまとめて実施するというのが良いと感じていました。一方で、経済産業省では在宅勤務でも職場で行うのと同じように仕事を進めることが基本で、それが全体として効率が良いように感じています。

市役所と中央省庁のどちらが良いというわけではないのですが、求められている役割が違うことでさまざまな面で違いが発生していると実感しています。
今回は出向という形で違う文化に触れさせてもらっていますが、このような違いを知ることができるのはありがたいことです。

民間企業在籍時は、行政機関から産業振興の事業を受託する立場にいました。現在は発注する側である市役所の職員であるとともに、中央省庁の立場での仕事もさせていただいています。一人で多様な立場を経験させてもらっている経験を活かして、社会に還元していきたいと思っています。

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