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『日本の本当の良さを伝えたい…』 長寿企業に学ぶもの!

星乃 勝 (NPO法人 スマート観光推進機構)  Vol.655

 最近の日本、ホントに元気がないですね。

 KNSに来て刺激を受けて、交流の楽しみを知ったら良いのにと思ってしまいます。

私はインバウンド観光が、これからさらに重要になると思い活動していますが、これまでの物見遊山の観光だけではなく、これまであまり重きを置かれてこなかったコンテンツを掘り下げることにより、“観光の多様性”を広げることが重要だと思っています。

このように言うと、物見遊山の観光から変化するように聞こえるかもしれませんが、物見遊山の観光は決して減りません。まだまだ初訪日の観光客が多いからです。でも訪日経験5回、10回のリピーターは、これまで知らなかった日本をもっと知りたいと思っているのです。

あまり重きを置かれてこなかったコンテンツの一つに『長寿企業に学ぶ』観光もあります。

2020年3月の日経BPによると、創業年数100年以上の企業は、世界の企業8万66社のうち日本が3万3076社で41.3%、創業200年以上では日本1340社で65%を占め世界一です。

https://consult.nikkeibp.co.jp/shunenjigyo-labo/survey_data/I1-03/

日本の100年企業で最も多いのは製造業26%、小売業24%、卸業22%で、売り上げ規模は10億円以下が最も多いといいます。これは、日本にファミリー企業が多く、売り上げ規模も低いことにつながっています。日本は中小企業が多くて生産性が低いと言われていますが、長寿企業の視点で見ると、日本はダントツで長寿企業の国なのです。

 4月にベトナムの大学生と教授の皆さんを「長寿企業ツアー」にお連れするお手伝いをしました。

 エール学園の長谷川総長がベトナムの大学で講演された時、一番反応が多かったのが日本の長寿企業の話だったといいます。「太平洋戦争の後、何故あれだけ経済発展できたのか」と思われていたところに、長寿企業が世界一多いと知り、ますます関心が高まったといいます。そして「長寿企業ツアー」にお誘いすると多くの学生から手が挙がり、今回の企画となりました。

 

 初日は四天王寺と金剛組の訪問でした。世界最古の企業が「金剛組」であるという話は皆さんもご存知だと思いますが、聖徳太子が日本に仏教を広めるため、四天王寺に寺院を作ろうとしたのですが、当時の日本には寺院建設の技術がなく、朝鮮の百済から宮大工を招聘して、四天王寺が建てられたのがキッカケです。その宮大工の一人が「金剛組」の祖であり、四天王寺の補修や再建に携わり、現当主は41代目、1400年以上続いているといいます。

 聖徳太子の寺院建設は法隆寺が世界最古の木造建設として有名ですが、その法隆寺の前に四天王寺は建てられています。落雷や争いなどで7回焼失しているといい、金剛組が全ての再建に関わっておられます。『日本最古の寺“四天王寺”、その寺院を建てたのが世界最古の企業“金剛組”』です。ベトナムの学生さんも四天王寺の話や金剛組の話に感動されていました。

 

 2日目は近江商人の里の「伊藤忠兵衛記念館」を訪問しました。「近江商人」は戦国時代末期から江戸時代、近江から全国へ進出した商人です。そして現在も続いている大企業も多数あります。「伊藤忠」は初代忠兵衛さんが創業し、幕末から明治にかけて事業に成功されるのですが、説明を聞いて感じたのは「三方よし」の精神でした。この精神が近江商人の考え方の基本にあり、「売り手だけが良いのではなく」「買い手にも良い」そして「世間にとっても良い」と言うことが家ごとに守られています。大阪でも安井道頓が道頓堀を開削した話や、多くの橋も商人が作っていますし、京都では小学校を民間の力で作ったという話も有名です。

「世間にとって良いもの」を作ろうとする精神は、仏教や中国の思想などを祖として、日本で独自の進化を遂げたものです。ベトナムの大学生も「従業員(当時の丁稚)を大切にされた」忠兵衛さんの考え方に感動し、「三方よし」も完璧に理解されました。

 

 3日目は京セラの「稲盛ライブラリー」でした。ここは稲盛さんの名言がわかりやすく展示されています。案内していただいたYさんの説明が絶妙でした。稲盛は、「必ず君たちのことを守る」と言っていました。それは「君たちの雇用を守る」こと、そして「雇用を守ればお金を払うことができる」と言っていたと言います。京セラを創業した当時、稲盛は企業を成功させることに神経を集中させていたのですが、その「仕事の重要性を従業員に理解してもらえていなかった」「従業員は給料をもらうため働いている」と言うことが理解できていなかったと反省されたそうです。

そして作ったことがない品物でも「必ずウチが作ります」といい、挑戦を重ねられ、成功されます。

稲盛さんの著書はベトナムでも出版されており、ベトナムの大学生も知っておられましたが、Yさんの「皆さんも高い目標を持ってください」、そうすれば必ず夢は実現しますとの言葉に熱い思いを抱かれました。

 

 この3日間は私にとっても貴重な体験でした。四天王寺と金剛組の話、近江商人の話、稲盛ライブラリーの話、これらは別々の話ですが、全てが繋がっていると感じることができました。世界から見ると日本は自然も素晴らしいし、美味しい食べ物も多い国です。また美術品や芸術もたくさん残っており、近代的な日本と伝統が混じり合っている不思議な国になります。

 私はそれに「まだ知られていない日本の何故?」に答えていくのが、これからの観光に重要だと気がついたので、これからも邁進したいと思います。

 

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