実りの秋

増田直樹 (三重県健康福祉部)  Vol.277

これらの様々なイベントが一過性に終わることなく、地域振興や観光振興など様々な効果を継続して生み出すことが望まれており、県民挙げての取り組みが進んでいます。
さて、話は変わりますが、今年は本当に酷暑でしたが、まだまだ残暑が続いており、還暦を迎えようとしている私は少し夏ばて気味です。
2年前まで兼業農家だった私は、いつもこの時期は米の収穫（いわゆる稲刈りです）で、天気はどうか、自分や家族が休暇をとれるか、自分の体調はどうか（体調が悪いと熱中症になりやすい）など、気もそぞろになっていました。
農家をやめてみて、気がついたことがいくつかあります。
農作業をせず田んぼをながめていると、稲は4月頃から8月頃までの5ヶ月間ほどで収穫ができるなど成長もあっという間で、ほとんどと手間もかからないようにみえます。しかし、実際には、種まき、育苗、田植え、雑草管理や水管理、施肥や害虫駆除などに加え、水路や農道の共同整備作業など大変な手間がかかっています。これでも、稲作は野菜などの畑作と比べ手間がかからない方だといわれていますが、立場が変わるとこれほど感じ方が違うものかと驚きました。
　もう一つは、この時期の自然の豊かさに改めて気づきました。これまで、農繁期には県庁の仕事も重なりどこもでかけることができなかったのですが、今更という感じもしますが、妻などと観光地などに出かけられるようになり、4月の桜に始まり、ボタンやシャクナゲ、あじさいや初夏の高山植物など様々な自然に触れることができるようになったおかげで、自然の豊かさに気づかされ心が少し豊かになった気がします。
でももっと大切な気づきは、地域のつながりや大切さを再認識できたことです。私の住んでいる町は農家がほとんどで、農村コミュニティーともいえるところですが、このようなところで非農家としての立場（少し、外側目線）で自治会などの役員活動を続けてきたことで、地域のつながりや大切さを改めて認識できたことは、私の第2、第3の人生にしっかり役立つと思っています。
　こんなことから、還暦を迎えるこの頃になり少し遅きに失したともいえるのですが、たまには立場や見方を変えて自らの仕事を見てみることや、心に余裕を持って仕事に臨むことにしています。
　さて、私の本業？の進捗状況について少し触れておきたいと思います。
みえライフイノベーション総合特区の最重要事業である、県内30万人分の患者の医療情報（患者カルテや検査データ等の医療情報、MRIなど画像情報、治験情報や遺伝子情報など）を統合する「統合型医療情報データベース」ですが、26年度途中から三重大学を中心に県内病院が連携して構築作業が始まりました。27年度中にはとりあえず半分程度の規模でDB化ができる予定です。かなりしっかりしたDBとなると思いますので、今後、地域医療連携や災害対策、予防医学の推進などの他、良質な治験や医薬品等の製品開発などに利活用していただくことができるのではと期待しています。
　また、製品開発や産業創出の面では、これまで県として取り組んできた医薬品や化粧品、医療機器や福祉機器、高機能食品などの製品開発・販路開拓支援などに加え、少し観点を変え、高齢化社会がもたらす健康需要に産業面から対応する健康寿命延伸産業や次世代ヘルスケア産業という新たなターゲットにも取り組んでいます。具体体には、健康・生活支援や見守りサービスの創出、健康省エネ住宅、ヘルスツーリズム、薬草の産地形成などに、県内外の企業や大学、市町、病院や福祉施設など多様な顔ぶれで連携して取り組んでいます。これらビジネスモデルや製品・サービスが「三重発ヘルスケア産業」として全国に展開できるよう、失敗を恐れず取り組むよう担当スタッフにお願いしているところです。
　三重県では、3代前の知事の時代から「前向きに倒れる失敗なら許す」との組織風土があると私は信じているので、少しぐらいの失敗は許してもらえるのでは・・・と。
みえメディカルバレープロジェクト
　http://www.mvp.pref.mie.lg.jp/
みえライフイノベーション総合特区動画
　http://www.pref.mie.lg.jp/MOVIE/contents/5197/player_bb1.htm