Members Column メンバーズコラム

ジャカルタで日本のことをつらつらと考えてしまいました。

倉本和泰 (阪急阪神不動産株式会社)  Vol.488

倉本和泰

世話人の一人、倉本です。
今日は最近仕事でよく行くインドネシアのジャカルタについて書いてみたいと思います。
インドネシアは世界で4番目の2億6千万人の人口を擁し、ASEAN全人口の4割を占め、経済規模はタイの2倍超の大国です。多民族国家で、宗教の自由は保障されていますが、イスラム教が87%(次いでキリスト教が10%)を占めており、世界最大のイスラム教徒の国です。1945年に日本から独立して初代大統領はスカルノ大統領(デビ夫人は第3夫人でしたね)、1968年スハルト大統領を経て、2004年にようやく国民による初の直接選挙でユドヨノ大統領が就任した共和制の国です。昨年が日尼(インドネシアは漢字では「尼」なんです)国交樹立60周年で、両国でいろんなイベントが開催されていました(知っている方は少ないと思いますが・・・)。

国の成長の過程で、一人当たり名目GDPが3,000ドルに到達すると自動車などの消費市場が急速に拡大すると言われています。インドネシアは2010年に一人当たり名目GDP3,000ドルを突破し、現在は3,870ドル程度(世界118位)で日本の1970年代に相当します(日本は現在39,300ドルで世界26位ですね。毎年確実に順を落としています・・・)。ジャカルタの街中はアルファードやベルファイヤーを始め最新の日本車だらけで驚かされます。
私がビジネスで行くジャカルタは、都市圏人口は3,200万人で東京都市圏に次いで世界第2位のメガシティです。インドネシアの平均年齢は29歳(日本は48歳ですね)で、街中でほんと老人を見ません。みんなほんと若くて50を過ぎた私と同世代を見かけることはあまりありません。
写真はどちらもジャカルタです。インドネシアは貧富の差は激しく、よくワイングラスをひっくり返したような所得分布と言われます。中間所得層が存在せず、ごく一部のスーパー富裕層と人口のほとんどを占める低所得者層で構成されています。経済は華僑系財閥、政治は民族系財閥が牛耳っており、おのずと我々のビジネスのカウンターパートナーは彼ら財閥になります。財閥の皆さんは第3世代が30代、40代になり中心的な役割を担うようになってきました。彼らは勿論なんですが、その周りのスタッフもほぼ全ての人が中学校からシンガポールを始めアメリカやヨーロッパの学校に行きます。そこで英語をはじめ、経済や都市計画などの最新の学問を学んでインドネシアに帰ってきます。
私のミッションはASEANでの不動産事業展開です。私は海外事業の担当になった際には、ASEANにおいてはタイムマシン経営が通用すると高を括っていましたが、彼らは世界を見据え、既にシンガポールで上場し、アメリカ、ロンドン、中国に投資し当社の先を行っています。
日本の携帯電話が日本のガラパゴスの象徴のように言われていますが、ガラパゴスは日本のあらゆる分野で確実に進んでいるように思います。我々のビジネスモデルは1億人超の人口を抱える国内の人口増加社会の中で成立するものです。人口減少社会に切り替わったことを肌身で感じることはまだできませんが、世界を見ずに実は既にゆでガエルになってきていると感じてしまいます。21世紀はアジアの時代と言われていますが、その中で日本が中心になれるのかアジアの極東で終わるのか、あまり時間が無いように思います。

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