Members Column メンバーズコラム

実録・KNS出版プロジェクト

岩崎健一郎 (学芸出版社編集部)  Vol.53

岩崎健一郎

 皆様、こんにちは。学芸出版社の岩崎です。
 2010年1月のまちづくり研究会から参加しております。
中小機構の長坂さんのご紹介でKNSを知り、ご縁があって
『現場発!産学官民連携の地域力』の編集を担当させていただくこととなりましたので、
ここでプロジェクトの一年を振り返ってみたいと思います。
 1月の研究会の懇親会で、堂野さんより、KNSで本を出すことに対する熱い思いを
お聞かせいただいたことが全ての始まりです。
その後何度も打ち合わせを重ね、従来のいわゆる「産学連携」「大学と地域」に関する本を調査し、
本書の特徴を明確にするための議論が数ヶ月続きました。

それは、INSに始まる日本の産学官民コミュニティの歴史と連携の注目すべき事例を大整理し、
何が全国の同じ立場の人々にとって有用なのかを考える作業だったわけですが、
その結果、「INSに始まる産学官民コミュニティの動きと連携の具体例を、
外部研究者の調査報告ではなく、現場の生の声で、全国の同じ立場の方々や
これから関わる方々に伝える初めての本」という方針が固まりました。
(本書の狙いについては堂野さんが「まえがき」「あとがき」、
またYouTubeインタビューで語っておられますので、ご覧ください)
 その後、事例選択のための数ヶ月を経て、
8月に京都駅前の当社にて執筆者+編集委員による全体会議を開催しました。
各執筆者のプレゼンとその後の議論によって、
「成功事例の裏にある、現場にしかわからない苦労や課題克服の過程」を
お書きいただきたいという編集委員会の思いを共有していただきました。
 現在ご活躍中の超ご多忙な方ばかりにお願いして大丈夫かという
一抹の不安は編集委員が共有していましたが、
予想以上に密度の濃い力作が揃い、企画当初の方針を実現することができたのではないかと思います。
 当社はもともと机上の理論よりも具体的な事例を多く載せた本づくりをしてきており、
また本書の「地域づくりとコラボレーション」というテーマが、
NPOや市民事業の世界と発想が近いことから、
従来の「産学連携」本とは一味も二味も違うものになっております。
 正直なところ、KNSに出会うまでは、「産学官連携」は純粋に産業振興の話であり、
当社が取り組む「都市・まち・地域を良くする本」との接点は少ないのではないか
と思っておりましたが、「コミュニティビジネス」や「市民事業」への注目の高まりに
現れているように、産業の世界とNPO的な世界の垣根がどんどん低くなってきており、
当社から本書を出版させていただくことも、時代の流れを反映しているのかもしれません。
 最後に一橋大学の関満博先生(地域産業論)からいただいた「推薦の言葉」
をご紹介します。

推薦の言葉(一橋大学大学院教授 関満博)

「産学官民連携」、それは21世紀の新たな社会経済モデルとされている。
特に日本においては、20世紀後半に意外な成功を収めた
「加工貿易型発展モデル」依存からの飛躍の突破口として期待され、
各地で多様な取り組みが重ねられている。
それは「失われた20年」を超え、新たな「成熟社会」のあり方を問うものであろう。
 その代表的なものの一つが「関西ネットワークシステム(KNS)」であり、
地域産業、科学技術振興、まちづくり、地域の活性化に向けて多様な人びとを結
集している。
その人びとの「思い」は深く、新たな「価値」の創造に向かっているようにみえる。
日本はここから変わっていくのではないか。その人びとの
「思い」と具体的な「取り組み」を報告する本書は、私たちに大きな「勇気」
を与えることになろう。

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