Members Column メンバーズコラム

教育版のINSができないか?

今井潤 (岩手大学研究支援・産学連携センター)  Vol.644

岩手は、INSという産学官民連携組織があります。
平成の始めの頃の工学部の中で、あまり地域の企業とは関わりの無い研究を 行っていましたが、INSの活動の中で、地域の企業と大学の研究者(教員)と 行政職員が出会い、多少専門を変えてでも、積極的に地域と関わる産学官民連携が活発化しました。
 同様な取り組みを、地域創生人材の育成(アントレプレナー、ソーシャルイノベーション)
という視点で出来ないかと思い、昨年度申請し、概算要求を獲得して、地域協創教育センターを立ち上げることになりました。

 岩手大学でも、特に東日本大震災津波以降、学生が様々な地域課題に関わる機会が増え、Let’sビギンプロジェクト、地域課題解決プログラム、ものづくりエンジニアリングファクトリー学内カンパニー、NEXTSTEP工房など、岩手大学の規模からすると、多くの(予算的にも)取り組みが行われてきました。
 最近の事例ですと、NHKおはbizでも取り上げられたので、ご覧になった人も居ると思いますが、岩手大学クラフトビール部の活動があります。農村の活性化を学ぶ学生を中心に、農家の所得向上のため、そして美味しいクラフトビールを飲むために立ち上げた団体です。全国クラフトビールは様々ありますが、ビール麦、ホップなどほぼ輸入に頼っていて、ご当地産のクラフトビールはほとんどありませんが、あたかも地ビールのように取り扱われています。それはおかしいじゃないか? という気づきもあり、生産が難しいホップは岩手県で多く生産されていることもあり、自分たちで畑を耕し、ビールに最適な麦を農業研究センターで紹介してもらい、収穫した麦の糖化装置を考え、地元のベアレンビールを口説いて、製品までこぎ着けました。
 そこまでではありませんが、岩手大学でも面白い学生は、増えていますが、大学の既存のカリキュラムでは十分な知識と実践の場を提供することが出来ていません。
 そこで様座なプログラウを取りまとめ、必要な知識を教養教育から学んで、将来的に、起業とまではいかなくても、ベンチャー起業に就職したり、NPOで働いたりという、キャリアパスを描ける人材、また、東京に就職するけれど、副業で、岩手に関わり続けられる人材を育成するために、新しい取り組みを始めました。
方向性としては、国を挙げて行っている、起業家育成というよりも、起業家に寄り添える、マインドセットを有している人材育成を行っていきたいと思っています。

 ただ、授業はどうにかなっても、地域課題に取り組む実践の場や、その場でのメンターなどは、大学の中では用意できません。そこで、INSの協力の下、INSやKNSのように、楽しく学生と交流しながら、あまり定住を意識しすぎることなく、育てられる様な取り組みを始めたいと思います。 

 更に、学内に、MEBICのように、いろいろな人たちが集まってくるような拠点(コワーキングスペース、イノベーションコモンズ)を整備できないかとも考えていて、今年の後半は、いろいろ見に行く予定です。
どこかお勧めがあったら、教えてください。

 まだ岩手のみなさんへの周知はほとんどおこなえていないので、これからの取り組みになりますが、INSで築いたネットワークを最大限活用して、元気な学生を育てていきたいと考えています。
INSの運営委員長でもあった小川智岩手大学長が昨年ビジョン2030を打ち出し、地域協創教育という目標を掲げ、レジリエントな人材(地域創生人材)育成を進めることになり、この取り組みがその代表的なものとなると思います。ただ、レジリエントな? というのはわかりにくいという意見もあり、内部では、専門知識と実践力を併せ持つ 岩手発のヒーローの大谷翔平のような二刀流人材 と称しています。

 このような取り組みは、特に学内のハードルが結構高いのですが、ワクワクしながら働けるメンバーが 集まりつつありますので、楽しい仕事が出来そうです。
ぜひKNSからも、協力や、つっこみがもらえれば嬉しいです。

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