Members Column メンバーズコラム

観光立国日本 インバウンドはこれからが勝負!

星乃勝 (NPO法人スマート観光推進機構)  Vol.356

星乃勝

『KNS定例会in関西大学梅田キャンパス』で行われたトークセッション「観光立国日本 インバウンドはこれからが勝負!」の内容をご紹介させていただきます。
ファシリテーターは阪神電鉄にお勤めでKNS世話人の倉本和泰さん、本当にうまくトークを導いてくださり、地域づくりの観点から、また経済効果の観点から奥の深い内容になったと思います。
■スピーカー:
     甲賀 晶子氏  奈良県まちづくり推進局地域デザイン推進課
     星乃 勝氏    NPO法人スマート観光推進機構
     中西 弘之氏  地方創生・観光プロモーションコンソーシアム
     釼菱 英明氏  合同会社まいづる広域観光公社
     三澤 茂毅氏  株式会社フリープラス 地方創生本部
冒頭、星乃の方からインバウンドが急増している背景をお話ししました。

2012年まで800万人ほどで推移していましたが、2016年は2404万人と、5年で4倍に増えました。今後も増加すると予想されています。2016年の世界の観光客は12億3500万人と、毎年約4%増加しています。アジアは8%の増加です。アジアの観光客が多いのは、アジア諸国のGDPが増加し、これにより海外旅行に行く人が増えている。そして比較的近い日本に押し寄せてきているという構図になります。
私がスルッとKANSAIに勤めた2009年に「3dayチケット」の海外販売が急激に伸び始め、インバウンド時代を先取りして感じることができました。しかし当時、「インバウンドに力を入れる必要がある」と言っても、ほとんどまともに聞いてもらえないような時代背景でした。
三澤さんは、「日本のファンを世界中に創る」という夢を持って就職されたそうです。これまで東南アジアを中心に営業してこられ、昨年、地方創生本部という部署を立ち上げ地方誘客に取り組んでいるそうです。しかし、どこの取り組みも同じような内容になっており、パイを奪い合うことのないよう、地域にあった取り組みを進めなければならないと語られました。
中西さんは、奈良でカフェをされているのですが、無料で宿を提供する「カウチサーフィン」を始め、60ヶ国から200人が宿泊されているそうです。最初はヒッピーのような方が来るのではと不安もあったそうですが、医者や弁護士などステータスの高い方が多かったようです。会話の1日目は「どこへ行くの」、2日目は「どこへ行ったの」といった観光の話題が中心ですが、3日目になると、「あなたの国は」と政治や経済など奥の深い話になると話されていました。面白かったのがヒッチハイクの話です。ヒッチハイクが最も盛んなのはポーランド。日本では車が止まってくれるまで苦労するが、止まってくれると宿・飯付きが多いそうです。「どこに泊まるの?」→「野宿します」→「野宿するくらいなら家においで」→「食事は?」→「食べてないです」→「家でお食べ」となる。このような展開は日本の他はないと話されていました。
釼菱さんは、日本旅行を退職して舞鶴観光協会に勤務されています。インバウンド事業に取り組んで3年、やっと台湾を中心にアジアから外国人が来るようになった。行政はクルーズ船が何隻来たなど実績を期待するが、せっかく来られたお客さんに舞鶴の観光を楽しんでもらおうと取り組んだそうです。「海の京都DMO」に参加し、組織も統合されましたが、観光地域づくりマネジャーとして広域観光に取り組みたいとのお話しでした。
甲賀さんは、奈良には魅力がある歴史的な町家・町並みが多く存在しているが、空き家が増え、老朽化も問題になっていた。そこで町屋を使った芸術祭「はならぁと」を企画し6年目を迎えておられます。芸術祭を開催することにより来訪者が増え、地元の人が自分たちのまちの良さを再発見されているとのお話でした。
後段はクロストークになり、インバウウドの話になると経済効果ばかりもてはやされるが、「日本のファンを作る」などソフト面が大切。しかし交流人口を増やし、地域を活性化するためには経済効果も重要で、それぞれのベクトルが合わさることが重要との意見の一致を見ました。
それにしても、多様な立場で多様な意見が出て有意義なトークセッションをすることができました。

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