Members Column メンバーズコラム

『大阪MYまち遊び』による観光振興

星乃勝 (スマート観光推進機構)  Vol.102

星乃勝

2月1日の大阪電気通信大学の彦坂さんのメンバーズコラム『雪だるま型社会構造』は
大切な考え方でした。
『観光』も、雪だるま型と言いますか、ピラミッド型でないといけないと思っています。
『観光』の話をすると、直ぐに「中国人の富裕層を取り込まなければならない」
との声が聞こえてまいります。確かに富裕層がもたらす経済効果は大きなものですが、
富裕層だけが訪れる観光地なんてありません。
 私も若い頃はリュックを背負ってユースホステルに泊まり歩くカニ族でした。
今で言うバックパッカーです。バックパッカーが底辺にいて、富裕層が頂点にいる構造が
本来の構造です。

 皆さんは、今の釜ヶ崎の実情をご存知でしょうか。
 労務者は高齢化して簡易宿泊所(ドヤ)から姿を消しつつあります。そのよう
ななかで、若手のオーナーが03年にゲストハウスとしてホームページに掲載し
たところ、翌年に1万泊、09年には6軒のホテルで6万泊、周辺ホテルに2万泊、
合計8万泊されたそうです。
 宿泊者の年齢は20歳代の後半から30歳代の前半が過半数を占めます。これ
らのバックパッカーに日本に来て良かった。関西に来て良かったと思ってもら
うことこそが大切です。

 今、観光の姿が大きく変わってきています。
 格安航空(LLC)の増加で航空料金が大幅に下がったことと、netの影響です。
”団体旅行”から”個人旅行(FIT)”に大幅にシフトしており、リピート率も高いのです。

 にもかかわらず、団体旅行を中心とした観光webサイトの形態を変えようと
はされません。
 個人旅行に適した観光webサイトが存在しないのです。

 現在の観光webサイトは、初めて日本を訪れる方を中心にして、定番コンテ
ンツで構成されており、観光客(お客さま)の視点で構成されておりません。
 さらに、自治体毎に観光に取り組んでいるため広域観光には不向きです。
求められているのは、個人旅行をする人にとって便利な観光webサイトです。

 個人旅行をする人は公共交通を利用します。乗り放題チケットによって電車・
バスは便利になましたが、乗換場所や時刻(ダイヤ)情報が分からない等の問題
が残っています。
 観光するエリアは広域(関西エリア)で、コンテンツも多様なものを求めています。
 さらに航空券や宿泊施設の予約まで行うことができるワンストップの観光web
サイトが求められているのです。

 私たちは、スマート観光推進機構(NPO法人申請中)を設立しました。
 乗換案内を生業とするパートナー企業にご支援いただくことができ、
また、大阪市の助成事業に採択されました。
この春、『大阪Myまち遊び』が始動します。

 観光には、民間企業で実施するべき分野と、行政が実施するべき分野が混在し
ています。これまで、行政が全てまかってきており、一定の効果がありましたの
で問題は生じませんでした。
 しかし時代は変わりました。
 これからは、ビジネスで担える分野は民間企業で、民間企業で賄えない分野は
行政がフォローする車の両輪の関係を構築することが重要です。

 行政は、これまで蓄積してきた観光コンテンツを提供し、民間企業は、これま
で行政で集められなかった民間のイベントの情報を集めて、コンテンツを交換し、
相互の価値を高めあうことが大切です。
 また、バリアフリー情報や防災情報、救急医療情報も求められています。
 これらの情報を集めることは民間企業では不可能です。

 民間企業で広域に取り扱った観光webサイトは、“情報の拡散”が役割です。
 便利で、面白いと思わせる仕組みを作ることが民間企業の役割であり、そこに
行政が集めた信頼性の高い情報がミックスされて、はじめて価値の高いものとなります。

 もう一点の重要なポイントは、地域の様々な団体との連携です。
 “まちなかバル”や”マルシェ”等多彩な取り組みがまちなかにはあります。
これらの情報は、運営しているキーマンのネットワークが構築されなければ集まりません。
 大切なのは“地元のキーマンの連携”です。“地元を愛する方の連携”です。
 『大阪Myまち遊び』は、”みんなで創る!”がキーワードです。

 『大阪Myまち遊び』は3月にプロトタイプとして誕生します。
 4月には京都、神戸、奈良に向けて拡大を開始します。
 3ヶ月という製作期間でしたので不十分な点もありますが、育ててまいりたいと思います。

 私は3月に63歳になります。
 生涯現役として、第三の人生を『観光』に賭けようと思います。

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