Members Column メンバーズコラム

商店街で獅子舞 かれこれ10年

堀登志子 (オフィスはなはな)  Vol.504

堀

久しぶりにコラムを書かせてもらいます。定例会にもあまり出ておらず、昨年は退場の危機をKNSの女神さまに救ってもらいました。

女神さまが誰かは、、ご想像に委ねます(笑)

関西大学で落語を通して笑いの世界にであいました。当時の落語研究会(落語大学)は、かつての花の応援団のようなクラブで、先輩に絶対服従。踏まれても(実際こけたらふまれた)、正座させられて理不尽なことで叱られても、先輩は正義でした。今から考えると、落語という伝統芸能を四年間でマスターして、舞台でお客さん笑わせることができるようになるためには、先輩に(どんなに落語が下手でも)絶対服従、考える前に体得する。は致し方のないことだったのかもしれません。事実、資質の差はありますが、北御堂の大ホールで満員のお客さんを笑わせる落語会を開催していました。

時代はかわり、今は、先輩に絶対服従はなくなり、お稽古をスマホで動画撮影するようになりました。昔は、先輩と対面で稽古するときは、録画どころかメモも許されませんでした。できるまで何度もやる、体得です。

どちらがよいとか悪いではありません。
伝え方も、言葉も、色々なことを柔軟に変えていける力が、落語にはあるということなのでしょう。時代を受け継ぐとは、そういうことなのかもしれません。
歌舞伎もその一例とおもいます。ワンピースや風の谷のナウシカ。アニメが歌舞伎座で上演されています。半世紀もたてば、仮名手本忠臣蔵のように、このなかのいくつかが姿を変容させ、古典として演じられるのでしょう。

人を楽しませる芸は、その時代を生きる人によって変容してこそ、磨き上げられ、言葉が研磨され、時代を超えて残っていく。その伝承によって、私たちはその昔の世界にあたかも接するような勘違いの楽しみを得ることができる。

大阪府池田市は落語のまちと名乗っています。背景は、「池田の猪買い」という池田を冠する上方落語の人気ネタがあること。
落語のまち池田で、行政の声かけのもとに、商人の自主参加で落語をネタにした一店一席運動が始り、おたなKAIWAIが結成され、12年になります。落語バルやおたなゼミナールなど、商店街活性の三種の神器をアレンジして、今もがんばってるグループです。
この活動の詳しいことは、またいつか定例会でお話ししたいと思ってます。

その流れのなかで、駅高架下の商店街から、なにか会員店全店が楽しめる企画は組めないかと相談をうけました。駅の一階と高架下の長い商店街。屋内もあれば路面店もあります。広場はあるのですが、そこでなにかをしても近くの店舗しか見ることができません。長年続けて来てるのが、年末ガラポンです。これなら買物の都度、今やってるイベントを実感できる。
そこにもうひとつ、もっと賑やかで楽しい企画。名物になるようななにかはないかと。

そこで始まったのがプロの神楽師 豊来家玉之助による獅子舞。端から端まで獅子舞連中が練り歩き、店を訪ねて頭をかむ(正確にはついてる厄を噛み切って祓う)。そして広場で獅子舞と太神楽。店に賑やかに寄るので、店の人がいやおうなしに何をやってるのかわかる。お正月の二日間。企画が決まりました。

さてここで頭を悩ましたのが、連中、連なる面々です。笛と太鼓。歩きながら奏でることができて、さらに賑やかに寿がないといけない。離れて久しい、かつての大学の落研、落語大学の後輩に声をかけお願いしました。最初の連中は私をいれて四人。
獅子舞など見たこともない人が多い中、笛太鼓で賑やかしながら練り歩きが始まります。店の人の反応はさまざま。そっぽむく店主さん、歓迎してくれる店主さん、なにあれ?と怪訝な目で見る店主さん、邪魔やから静かにしてという店主さん、、。小さな子どもたちはギャン泣き。広場で太神楽しても人が集まらない、、。

今年のお正月で始まって十年。
連中は総勢10名。お獅子さまは、玉之助さんと、玉之助さんの教えを請うた若手のお獅子が二柱で三柱。笛太鼓や賑やかしに、近隣の大阪大学落語研究会のメンバーが参加してくれます。広場の太神楽を、始まる前から待ってるお客さん。始めた当時ギャン泣きしてた子どもも大きく育ち、その弟妹たちも慣れたもんで、合いの手いれたり、お獅子の尻尾を掴みにきたり。

そしてなによりも変わったのが、店主たち。三年目あたりからご祝儀を包んでくれるお店が出始めました。今では、年末になると、「もうすぐ獅子舞やね」とか、「お稽古の音聞いたら年末やなぁと感じる」と声をかけられます。
お店の人が楽しんでくれてます。
イベントは、主催者が楽しむことが肝要。やり手が楽しくなければ、受け手が楽しいわけがありません。

楽しみにすら店主に支えられて、獅子舞が、池田の新しい風物詩、文化になろうとしてます。獅子舞連中はただひたすら、お店の人や目の前のお客さんに楽しんでもらおうと工夫しお稽古しています。小さな子たちのために、片手サイズのお獅子が加わりました。祝い菓子(うまいぼう)には、商店街の絵上手が描いた干支の絵がかかれるようになりました。

獅子舞という伝統文化に裏付けされたなかでの、相手を楽しませたいという試みが、住んでる人の楽しみに代わり、年初めの楽しみになっていきました。

文化ってこうして生まれていくんだなぁと、毎年確実に歳をとり練り歩きの疲れが残りやすくなっていく中、ひしひしと感じています。
やり手が変わっても引き継がれていく、そうなったときに次代に残る文化となるのでしょう。

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