Members Column メンバーズコラム

海外に行ってみてわかった日本の強さ・良さ

堀昌徳 (中小機構近畿)  Vol.165

堀昌徳

みなさん、こんにちは。中小機構の堀と申します。KNSには長く参加していますが、最近は、定例会もご無沙汰気味で・・・というありさまです。コラムは今回が初めての執筆となります。よろしくお願いします。
仕事では、昨年度から、中小企業の海外展開を支援する事業の担当をしています。事業としては、無料の窓口相談や、海外在住のアドバイザーによる現地アドバイス、セミナー、海外展示会出展支援、そしてF/S(フィージビリティ・スタディ、事業可能性調査)の支援等を実施しています。ここ数年、中小企業さんの海外展開の機運も盛んになってきておられますね。まったく初期段階の方だったり、すでにもう海外進出の経験もお持ちで、さらに販路を広げられている方、などなど、ステージはさまざまです。

昨年から、幸いなことに、私も海外出張の機会が増え、現地に行かないと分からないこと、海外特有のあれこれ、いろいろ勉強させてもらっています。成長著しい東南アジア(タイ、ベトナム、インドネシアなど)、成熟しているヨーロッパやアメリカ、マーケットは非常に大きいものの、ビジネスがなかなか一筋縄ではいかない中国。日本であれこれと仮説を立てて、海外現地へ調査しに行き、検証するのですが、やはり現地に行ってみて初めて分かることも非常に多かったものです。
私は、実を言うと、東南アジアは、行く前はまだまだ発展途上国のイメージが強かったのですが、行ってみてびっくり。タイ(バンコク)やインドネシア(ジャカルタ)はもうすでに大阪や東京並みの大都会です。高層ビルも乱立し、道路も(一応)整備されています。交通渋滞は東南アジアではどこも激しいのですが。
バンコクは、日本食レストラン(日本のチェーン店)も充実していて、道路も電車(MRT)やショッピングセンターも綺麗に整備されていて、普通に暮らせるなあ、と感じました。機会があれば暮らしてみたい街です。タイの人たちは新しもの好きで、日本も日本製品も大好き。自動車も日本車が多く走っていました。タイでは、日系製造業も数多く進出されてます。裾野産業も充実しているので、洪水後も仕事が戻っていっていますね。
ジャカルタも、もう大都会。市内に緑が多いのが印象的でした。現地在住の日本人の方々は、居住歴が長い方が多く、また、日本での就職という道よりもジャカルタでの就職を選ぶ20代の若者にも数名会いました。「ジャカルタに来て良かったです」という若者の言葉にも思わず納得。急激に経済発展しているジャカルタでの仕事は刺激的でしょう。インドネシア語は言語的にはシンプルで憶えやすいそうです。カタカナ読みすればいいですしね。ジャカルタ市内であれば、インフラもだいたいは揃っていますし、日本人も暮らしやすいだろうなあと思いました。市内で走っている自動車はほとんどが日本車ですし、白物家電も日本製が多くありました。国として急速に発展している熱気を感じました。ただ、最近は労働者のデモブームもあり、現地でのマネジメントは頭を悩ませることも多くあります。
ベトナムも急激に発展しています。インフラ(道路、橋梁、電力等々)もどんどん整備されていっています。国としてもODAによる援助も盛んになされています。中小製造業の方々は、ベトナムに熱視線を注がれていますし、進出意欲も旺盛ですね。国民性としても、手先が器用で、勉強意欲が旺盛で、温和で、日本人とは相性が良さそうです。
私は、まだ数カ国しか海外を経験していませんが、総じて思ったのは、「日本と日本人はまだまだ捨てたもんじゃない。日本企業や個人として自分達の強みや良さに気がついていないのかもしれない」ということ。日本人や日本製品はかなり愛されていますよ、本当に。海外では、窃盗も多いし、ルールにもルーズ。海外へ行く度に、日本の良さを痛感して帰ってきます。普段の行動そのものが海外からは賞賛されているのです。きちんと時間を守ること・約束を守ること、丁寧さ、気遣い、高度な技術・サービス、安心・安全などなど、普段、当たり前と思っていることが「強み」「良さ」なのだと実感しています。街中にこれだけ自販機があって、盗難に遭わない国は日本ぐらいのもんでしょう。こういった良さを認識した上で、海外現地の実情(習慣や国民性等)を把握して、それをしたたかに攻略していければ、まだまだ日本の中小企業も販路が広がるのではないかと思っています。日本人のアイデアと技術・サービス力があれば、イノベーションは日本から起こるんだと信じています。「したたかさ」を持てば、世界でトップを取れると本気で思っています。個人レベルでも、海外現地を見てこられることを是非オススメします。

PAGE TOP