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駄菓子の日(3月12日)と裁判傍聴

廣田浩一 (株式会社ジェイテクト)  Vol.541

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皆さま、あけましておめでとうございます。新年最初のコラムを書かせて頂きます。KNS世話人のひとりの廣田です。
2020年に裁判を傍聴する機会がありました。職場を定年退職されたひとが暇をもてあまし、裁判の傍聴を趣味とされたそうです。私も少し興味をもったので一緒に行くことにしました。いろんな人生があるな考えされられます。
 さて、初めて裁判を傍聴したときのことです。子どもをつれた若い女性がいました。なぜ若い女性が子どもと一緒におられるのだろう。教育のためかな? 興味がある裁判なのかな? いろいろ想像してしまいました。
裁判が始まると、裁判官は名前と職業を聞き、罪名を読み上げました。覚醒剤の常習犯ようです。罪の内容は次のようなものでした。更正支援施設に通っていたが、しかし、なんとなく昔の仲間に声をかけて覚醒剤をやってしまった。特に大きなストレスはなかった。すぐに止められると思っていたが、だんだん頻度が高くなり、自分を制御できなくなった。そのため、自ら出頭して、逮捕を求めたそうです。前回から1年未満での再犯です。覚醒剤を絶つことの難しさを感じます。

 次に情状証人の尋問がありました。法廷に立ったのは、なんと子どもと一緒におられた若い女性でした。養子縁組をした娘とのことです。
発言から、何度も迎えに行っていることが想像されます。複雑な事情が想像されますが、裁判の傍聴からだけでは詳しくはわかりません。
裁判官は若い女性に質問しました。「被告人はどのようなひとですか?」
女性は「すごく優しい。なんでも相談できる」と言われました。
さらに、裁判官は質問されます。
「被告人は覚醒剤を絶つことができると思いますか?」
女性は「私の母も覚醒剤をしていましたが、今は覚醒剤を絶って普通に生活しています。彼も薬を絶つことができると思います。一緒に住んで、薬に手をださないように監視します。」
裁判官は被告人に再犯しないために何を実施するのか質問しました。
被告人は「次は更正施設に通い続けて、二度と覚醒剤に手を出しません」と決意表明されていました。
 情状証人として法廷に立った若い女性。たぶん、苦労しながら、子育てをして、必死に生きているのだろうと想像されます。

 3月12日は「だがしの日」です。「だがしと笑顔の交換日」です。一般社団法人「DAGASHIで世界を笑顔にする会」が中心に活動されています。特に、障がい、貧困や虐待・被災で苦しむ子どもを応援し、子どもの笑顔から大人の笑顔につなげようとされています。 2020年は5月にCOVID-19対応の最前線で頑張っておられる看護師の皆さまに「だがし」で支援されています。「だがし」と子どもの笑顔の写真と子どもの応援メッセージを添えて手渡しされたそうです。トラックで実際に運ばれたそうです。直接、手渡すことがとてもよかったと言われてしました。KNSでは2018年7月22日にこの会の代表理事の秋山秀行氏を迎えて、コミスポ2525も開催しています。http://www.kns.gr.jp/report/1899.html
 私は3月12日の「だがしの日」に情状証人として法廷立たれた彼女の子どもの笑顔と「だがし」を交換できる日にしたいと思いました。名前も知らない裁判所で見ただけの女性の子どもの笑顔を見たいため、奈良で「だがしの日」を企画したい。それが、多くの子ども達の笑顔につながるとも考えています。
 スタジオジブリの宮崎駿氏は「千と千尋の神隠し」は「10歳の小さな友人たちのために作った映画」とのことです。実際に存在する少女です。今は成長して結婚しているそうです。ご存知の通り、「千と千尋の神隠し」は「鬼滅の刃」に抜かれるまで、史上最高の興行収入でした。ある特定のひとのための「だがしの日」を考えるのも、おもしろいかと思います。
 私は奈良の「だがしの日」実現のために、何人かに相談しています。なんとか実現したいのですが、どのように動けばよいのか? 見当がつかず、てこずっています。コラムを読んだひとで、興味を持っていただけるひとがおられましたら、ぜひ連絡をお願いします。

※「だがしの日」は和歌山の橘本神社宮司 前山和範氏が菓祖田道間守公の命日である3月12日を提案されました。田道間守公は常世国から非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)すなわち「橘」を持ち帰った神様です。正式に日本記念日協会に記念日登録されています。

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