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この頃思うこと – ドットを繋ぐには

平山知明 (神戸市教育委員会事務局)  Vol.85

平山知明

 このコラム連載の栄えある第1回目を飾りました不肖平山です。
先日の長川さん、神牧さんに引き続き、2度目の登場、約1年8ヶ月振りの再登板です。
 前回は、KNSに対する雑感みたいなものをだらだらと書かせていただいたので、
今回は、僕が今思っていることを同じく徒然なるままに書かせてもらおうと思います。
 丁度、この原稿を書きはじめている時(10月6日)に、スティーブ・ジョブス氏の
死去のニュースが入ってきました。今回の訃報を機会に、youtubeにアップされている
彼が2005年にスタンフォード大学で行った講演の映像を見てみました。
これは、甲南大学の定例会で加護野忠男先生が講演の中で紹介されていたスピーチなんですが、
約15分弱の短いけれど、実に含蓄深いスピーチだと思います。

 ジョブス氏は、3つのテーマを話すと言って、自らの生い立ちや病気のこと
(今回の死因である膵臓がん)等を織り交ぜながら、上手く話をまとめ、
しかも聞く者に勇気と感動を与える内容になっている。
 KNSでも、最近の定例会で恒例になっているプレゼン大会で、一人大体10
分弱の持ち時間で、自分の事業や取り組みを話してもらっていますが、「たっ
た10分間」って、とても短いと思うかもしれないけれど、本当は、意外と十
分に語れるんだなと思いを新たにした次第です。
 ジョブス氏のカリスマ性や外連味は、マスコミ等が取り上げているので、
ここでは話題にしませんが、彼のスタンフォードでのスピーチのテーマはど
れも含蓄のあるもので、中でも最初のテーマである「ドットを繋ぐ
(connecting the dots)」というお話には大いに共感するところがあります。
 一つ一つの出来事は、それを実践している時には無我夢中なので、その本
当の意味や関係性は分からなかったり、はっきりとしないものだったりする
ものだが、ずっと後になって、それが他の経験等に繋がっていたというのは、
皆誰しも少なからず経験があるんじゃないでしょうか。
 僕自身も、本業の仕事の中で、そうしたことが多々あったように思います。
具体的に書くことは控えさせていただきますが、これまで本業では同じ路線
の仕事をした経験が何故かなく(文化と福祉分野の以外の仕事には、何かし
ら関わってきたように思います。前回、このコラムを執筆した時は産業廃棄
物関連の仕事をしていましたが、現在は、全く関連のない教育行政の仕事を
していますものね。)は、多分、どの仕事も最初は全然門外漢でどうしよう
とかといった不安を持って取り組み始め、色々と試行錯誤しながら、何とか
ものになった気になったところで、人事異動があって、また、別の仕事に就
くといったことを繰り返してきました。これは、宮仕えの身では仕方が無い
ことだと割り切らないといけないんでしょうが、そうした経験の中で、意外
と前の仕事の時に学んだことや経験したことが、後にやることになった仕事
に直接的、間接的に役に立つということが多々あるもんですよね。それと、
全く関係ないと思っていたことや回り道だと思った経験が、意外と後から繋
がっていくこともありますね。僕自身は現在、企業支援や産業振興をする部
署にはいないのだけれど(中々希望通りにはいかないものです)、KNSの設立
からずっと何故だか関わってきました。
 世の中を経済や経営の視点だけから見るのは危険だけれど、多分、この視
点を全く抜きにして物事を判断してしまうことにも問題があると思っていま
す。そういう意味では、本業とは、違った世界と関わりを持ち、様々な刺激
を受けたり、数は少ないのでしょうが、影響をほんの少しだけ与えたりする
ような機会(その一つがKNSなのですね。)を持てていることに感謝する今
日この頃です。
また、経験だけではなくて、人との出会いも本質的には同じなんだろうなと、
この頃よく感じます。人は一人では決して生きていけない動物なんだろうな
とも。そうであるからこそ、様々な出会いを楽しみに、一期一会ということ
をこれからも大事にしていきたいと思います。

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