Members Column メンバーズコラム

地理学と学生と社会人

濱名研 (KNS世話人(有限会社協働研究所))  Vol.16

皆さま、こんにちは。(有)協働研究所の濱名です。
初めてのコラムですので、個人的な思い出話などを書いてみたいと思います。

私の仕事は主に産業振興関係の調査です。
KNSでは、まちづくり研究会や中国ビジネス研究会などで活動しています。
なぜ今KNSでこんなことをしているのかと振り返ると、きっかけは学生時代に学んだ「地理学」のようです。
大学での「地理学」というのは高校の「地理」とはちょっと違います。
怒られるかもしれませんが、ある意味、小学校の社会科の「郷土学習」に近いかもしれません。

フィールドワーク、つまり現地に行って、観察して、様々な人の話を聞いて、
考えます(分野にもよりますし、もちろん地図や文献も調べるのですが)。

フィールドワークをすると社会人と出会います。
アルバイトを通じて出会う方も多かったのですが、地理学を通じて様々な社会人の方と出会うことになりました。
中でも印象的だったのが今治の大島で出会った営業マンです。その方は松山から出張に来ていました。

当時、本四架橋のしまなみ海道が建設中でした。教室の実習旅行(巡検といいます)の前泊で、
ひとり大島の民宿に泊まった私は、夕食で一緒になった営業マンに部屋に誘われました。
何か気になるところがあったのでしょう。

島の生活について調べていた私に、その方は興味深いお話をしてくださいました。
橋で結ばれる前は本州で余ったものが四国で捌かれていたこと(何十年も前のことです)、
橋が架かるとトラック運転手の労働条件が厳しくなることなど。

そして最後に話し下手な私を励ましてくださいました。「話のうまい営業マンはどんどんお客さんを開拓する。
でもある程度以上はお客さんを増やせない。そこにまじめな営業マンが来るとまた新しいお客さんが開拓できる。
どちらも必要なんだよ」と。

この出会いでますます出かけることが面白くなりました。
その後の私は研究対象に中国の都市を選び、半年ほど中国に出かけました。
また違った土地に住んでみたいと福井の都市計画コンサルタント会社(職種は土地区画整理)に就職しました。
やはり現地に住んでみて、また一緒に働いてみて気付くことは多いものです。
言葉、食文化、生活パターンなど、滋賀県の隣でこうも違うものかと思いました。
新聞と言えば「福井新聞」で、民放は2局。「ぴあ」は首都圏版・中部版・関西版が並んでいました。
別の地方からは日本の見え方が違います。

残念ながら介護の関係で、4年余りで大阪に戻ることになりました。
ところが、紹介された転職先は入社前日につぶれるというドラマチックな展開が待っていました。
仕事を探していたところ、大阪市大の長尾先生(先輩)に誘われて参加したKNS以前の勉強会の場で
「誰かアルバイトする人いませんか?」という堂野さんの呼びかけに手を挙げたことが、現在につながっています。

地理学を学んで、あちこち出かけては話を聞いてきたわけですが、KNSでも現地(研究会や定例会)に行くこと、
直に人の話を聞くことが大事という点は同じだと思います。

もうすぐ神戸大学での定例会です。
http://www.kns.gr.jp/schedule/574.html
ぜひ定例会に参加して、異分野の方々とお話をして(もちろん必ず飲んで騒いで)、何かのきっかけにしていただけたらと思います。
そして気になる学生さんがいたら、声をかけてあげてください。
その話がきっと記憶に残ると思います。

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