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ジュガード インドビジネス奮闘記 その1

古芝義福 (枚岡合金工具株式会社)  Vol.674

いきなり聞きなれないタイトルで失礼いたしました。
ジュガードとはインドヒンディー語で「革新的な問題解決の方法」「独創と機転から生まれる即席の解決法」とネットで検索したら出てきます。
訪印するまでは当然ながらこの言葉は知りませんでした。しかし、訪印回数を重ねるごとに永く広く国民に根付いてることを実感するのです。このコラムでは、その体験を書くことにいたします。

その前に自己紹介!

創業74年の冷間鍛造部品用金型メーカーであり、第二創業としてIT事業部、教育事業部がある26名の町工場の三代目経営責任者です。

何故インド?
2020年2月に初訪印してからこのコラムを書いてる段階で6回の訪印を数えました。このコラムがアップする2023年12月13には7回目。来年1月には8回目の訪印を控えております。
多くの方々から「なぜインドなんですか?」と訊かれます。
「だれも行かないから」「知り合いなし、コネなし、ゼロベースだから」と答えます。
一度引いたレールの上を走る安心さより、未開の土地を切り拓く不安要素一杯の環境でどこまでできるのか?これを面白がる性格がこの国を選んだ理由です。
60才(当時)からスタートアップを目指せるワクワク感しかありませんでした。

インドってどんな国?
経済調査的な情報はネットで調べていただくことにして、自身が感じた印象は大都市においても、日本の江戸時代での暮らしぶり、服装、習慣などが現存し、一方ではIT企業が集積するサイバーシテイーで闊歩する富裕層達が最先端ITツールをこなしている令和時代がある超カオスな国です。面白いのは江戸時代の暮らしぶりをしている方がスマホで電話している姿は着実に暮らしぶりを向上してきた日本人にとって理解しがたい光景でもあります。
恐るべしITツールですね。工業発展、インフラ整備をもぶっちぎるスピードで浸透しつづけているモンスターエンジンです。

インドで何するの?
金型に関わる営業です。製造、設計、解析、鍛造オペレーションの提供、並びに現場5S活動の指導などモデイ首相が掲げた「MAKE IN INDIA」方針に合致するネイテイヴ企業の成長支援です。

誰と行ったの?
単独行動です。英語も喋れません。ネイティヴ大阪弁しか喋れません。
しかし、ポケトークがあればなんとかなると思い、ビッグカメラで2台購入。
うち1台は相手に渡し、翻訳時間の間の短縮化の為です。

いきなりの高いハードルが!
とにかく思いついたのが訪印2週間前。ニューデリーで自動車部品展が開催するとJETRO海外展示会情報サイトで見つけたのがきっかけでブッキングコムでホテルと飛行機を急遽予約し、これでバッチリと思いきや知り合いから「ビザ要るよ!」と忠告され慌てて堺筋本町にあるインド領事館へ申請に行くと、「もう遅い、間に合えへんよ!」と冷たく言われ、私「どないすんねん、もう飛行機も宿も取ったんや!頼むわ!」と熱く懇願すると奥から出てきたインド領事館員が「デリークウコウ デ アライバルビザ ハッコウデキルヨ ニホンジンダケネ!」と笑顔でウインク。※実は韓国も対象国
ネットでこの領事館の対応に関して厳しめのコメントが多くあったのだが、私だけなのか?、その後改心したのか?
ともかくインドとの初遭遇は好印象でした。

ポケトークがフリーズ!
ニューデリー市内の大規模展示会場で開催するAUTOEXPO展に顧客対象となる鍛造部品メーカーが多数出展しており、そこに逆営業をかけるのが初回訪印の目的でした。逆営業のヒアリングで得る情報こそが次回の営業につながると信じ、勢いよく飛び込んだのですが、予想もしなかったヒングリッシュ(ヒンズー訛りの英語)でポケトークがフリーズ!中学英語のうろ覚えでは会話も成立せず「I’ll be back tomorrow」を告げ、すぐさまJETROニューデリー事務所にアポ取り訪問をし、通訳を紹介していただいたのです。

翌日、再び昨日訪れたブースに行き「Visited today」と言えば、「Did you change the translator? 翻訳機を買い替えたのか?」と返され「A walking translator with two meals. 2食付きの歩く翻訳機だ!」とまた返すことで距離感が近くなり商売の話そっちのけ、プライベートトークばかりした結果、後日工場に招いてくれることになったのです。
通訳(NECデリー事務所所属)によると、いきなりビジネストークから入るのはNGで自己PR要素を含んだプライベートトークが重要と言ってくれたのが良かったようです。
2020年2月の初訪印後、途中コロナ禍ありましたが、全く気にせずムンバイ、デリー、プネにて4度の展示会出展と主要5都市での営業活動で合計60日間滞在したことになります。

その期間ジュガード精神を感じた出来事を書いてみます。(ようやくタイトルにたどりついた)

まずジュガードには6つの基本原則があります。
ジュガード6原則
原則1:逆境を利用する。
原則2:少ないものでより多くを実現する
原則3:柔軟に考え、迅速に行動する
原則4:シンプルにする
原則5:末端層を取り込む
原則6:自分の直観に従う

体験その1
難加工形状図面を視て。出来そうにないのに「出来る!」と断言する
その根拠はどこから?と日本人なら考えますがインドでは日常的に「OK!
大丈夫!」なのです。根付いた文化なのです。その言葉を信用すると
エライ目にあいます。しかし、やる気はあるので次々と質問攻めにあいます。
結構議論好きの国民性なのかもしれません。それと自己肯定感強すぎです。

体験その2
上記の企業で質問攻めにあい、次のアポ企業との商談時間が大幅に遅れてしまった詫びの電話での先方の言葉。「問題ない!私にもそういう場合がある。待ってる」ヒンドゥーの教えですべての人は周りに迷惑を掛けて生き続けている。だから他人の迷惑に寛容でなければならない!とシーク教の寺院で後日教えていただきました。だからインドでは時間にルーズなのかな?と思う次第です。

体験その3
流しのオートリキシャで展示会場へ移動中、なんと次々と乗ってくるではないですか!定員4名が7名(最初は2名)の乗り合いリキシャに!「結果として安くなるから問題ない!」と言われ納得。

ジュガードの精神は貨物配送、交通機関、工場、レストラン、個人商店においても感じることができます。現代の日本人にとってハラハラするでしょうけど、否定せずに1960年代の大阪や東京にマインドチェンジすることで順応できるはずです。父や祖父の時代がまさしく日本はジュガードだったからです。

実体験で知ったこの6原則。まさしく会社の現状にあってると実感しており、わが社が生き残るための精神のあり方を教わってるような気がします。

成果と呼べるほどの実績は今はありません。海外営業の難しさを実感していますが目標があるので楽しさは日々増すばかりです。
このコラムにはビジネス奮闘記その1としましたが、数年後その2を書く機会が回ってきましたら、奮闘記からインド夢幻紀行にならぬようベストを尽くしてまいるつもりです。

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