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春爛漫? 日本の復興 私たちの復興

福田稔 (新宿区立高田馬場創業支援センター)  Vol.159

福田稔

桜花爛漫、さくら前線は日本列島を北へ東へ、被災地のみなさんへ心(ハート)の花びらを集めてばく進中ですね。ご縁でいろんなまちを訪ねますが、それぞれ工夫を凝らして復興支援に心を配っておられる姿をみると、春の温かさに包まれる思いです。

先週、北海道の中央南部 胆振(いぶり)地方の室蘭市、伊達市を訪ねました。例年であれば消えているはずの路傍の雪塊も今年はそこここに見られ、寒かった今冬の足跡を残していました。

室蘭市では、室蘭工大や市役所、テクノセンター、地元経済人の皆さんが有志で開催している勉強会にお邪魔してきました。夕刻、一日の仕事を終わられたあとにもかかわらず、熱心に参画しておられました。

かつて重工業で栄えた室蘭市も、グローバル競争の中で、日本の各都市と同様、厳しい環境にさらされています。その中にあって、地域を支える各企業は特長を出し善戦しておられますが、今の優位がいつ脅かされるか分からないという危機感の共有が、夕刻の勉強会を真剣なものにしているのだと感じました。

賃金の高い先進国にあっては、産業にイノベーションを起こしていくほか、生きる道はありません。今回、講師をされた法政大学大学院 岡本義行教授は「イノベーションの担い手は技術者だけでなく、サプライチェーンの要所を支える専門家である」、「専門家は地元で育成するか、さもなければ他所の地域から招聘しなければならない」と教示されます。

クラスターと呼んでもいいと思うのですが、産業連携のコミュニティも、デジタルとアナログの情報・連携技術を駆使して、知識産業化による高付加価値を実現することで、初めて生存を許されます。イノベーションの担い手となるべき専門家、キーパーソンのことを、期待を込めて「若者・よそ者・ばか者」と呼ぶのかなと感じてきた次第です。

場を提供する室蘭工大でも、「イノベーション・ドクター」を教育のテーマとして、知識と意識の共有の場づくりを目指しておられますが、室蘭市の土地柄がまさにグローバルとローカルが共存する、豊かなポテンシャルを持つまちであるだけに、地域の歴史や生い立ちを学び合い、絆をつくっていくことを通してこれからの発展の基礎が築かれていくと確信しています。

その室蘭市と境を接する伊達市もまた、イノベーション豊かな地域づくりにチャレンジしています。洞爺湖のほとり有珠山の噴火で、天災の恐ろしさと支援のありがたみを、身をもって知っている伊達市では、菊谷秀吉市長の号令のもと、東日本大震災で激甚な被害を受けた、姉妹都市の宮城県亘理町の支援にいち早く乗り出し、震災の4ヵ月後にはイチゴ生産者の移住者4戸7人、現在6戸11人を被災地から受け入れて、ビニールハウスなど生産の場を提供しています。

また、このプロジェクトは同時に、プロのイチゴ生産者の手によって、伊達市に適した品種の選定や栽培方法の確立に貢献してもらい、地元の意欲のある農業後継者や新規就農希望者を支援するという相互に恩恵のある産業施策となっています。

漫然と従前のやり方を踏襲するのではなく、地域の想い、従来型の産業にあっては悲鳴にも似た声をすくい取り、グローバルスピードで解決する担い手として、望むと望まざるとにかかわらず、選ばれし者が相当の覚悟を持って取り組んでいく。伊達市の菊谷市長、そして室蘭市、室蘭工大のみなさまが、地域のために真に汗をかいておられる姿に、産業振興や地域貢献を標榜する者が持つべき本当の矜持を見る思いがいたしました。

四国支部の世話人をされている川井保宏さんから、以前教えてもらった「シビックプライド」とも軌を一にしたお話しだと思いますが、都市と市民がともに成長していくポジティブ・スパイラルの地域コミュニケーションを持つべき潮時が来たようです。

北国の桜木に咲くのが遅いと叱る者はいません。花は咲いてくれさえすればよい。潮時を感じて咲いてくれて、ありがたいとおもいます。被災地の、そして私たちの復興の花ももうすぐですね。

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