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新年度の決意“縁起のいい踏切板”になる

福田稔 (新宿区立高田馬場創業支援センター)  Vol.109

福田稔

新宿区立高田馬場創業支援センターの福田です。
いつも、ありがとうございます。

昨秋、法政大学の大学院でインターネット調査をしたところ、2,3年以内
に自分の事業を起こそうと考えている人が、震災前の調査の4.6ポイントか
ら約半分の2.6ポイントになっていました。調査時点は大震災から半年で、
まだまだショックが冷めやらず、なんとなく縮んだような社会的雰囲気の中
だったからかもしれません。自発的・積極的起業チャレンジャーが、ぐっと
減っていることを示しています。

しかし、どこのインキュベーターも閑古鳥が鳴いている、という状況は起き
ていません。むしろ活況、行列ができている話をよく聞きます。感覚的には
10年前のインキュベーション業は好況型産業だったのに、今の業界は不況型
に変わったのではないかと思えるほど起業志願者のボリューム層が変わった
ようです。つまり、いろんな形で雇用がなくなった方たちが、自分が自分を
雇用するために、ある意味、非自発な形で起業するケースが増えていると思
われます。この辺はきっちり調べたいところですが、このトレンド、“非自発
起業”の増加が悪いと言っているわけではありません。

善きにつけ悪しきにつけ、社会がより幅広い人々に自立を求め始めている。
そういった中で、きっかけはどうあれ、起業チャレンジャーが増えている。
以前、「起業家は社会の宝だ」というタイトルの薄い本を書きましたが、起業
家が社会を進歩させ、地域に雇用と富を生み出してくれる。だから“宝”な
訳で、起業家が増えれば、それだけ社会が幸せになる!とあえて断言します。

私を含めビジネス・インキュベーションに携わる者は、これまでとはタイプ
の違った “行列”の起業チャレンジャーが見事成功するよう、起業当初の
一番きついところを伴走していく覚悟が求められています。

「知情意」という言葉がありますが、起業志願者には知恵と情熱と決意をも
った取り組みを求め、応援していきます。

平成24年度の初めにあたり、桜花爛漫のもと、社会の宝となる彼ら彼女ら
のリスクが最小限に、チャンスが最大限になる、縁起のいい踏切板になろう
と決意を新たにしたところです。

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