Members Column メンバーズコラム
フラットな関係を -障がい者雇用奮闘記-
藤田高弘 (東光機材株式会社) Vol.278
こんにちは、東光機材株式会社の藤田高弘です。
当社の障がい者雇用についての実情を書こうと思います。
手探り状態で彼らと向き合っている日々の奮闘記です。
先ずは簡単な会社紹介ですが、兵庫県三木市で金属プレス加工を軸に、
20名程の仲間とものづくりをしています。障がい者雇用に当てはまるのは、
その内の2名です。(障がい者雇用促進法では全体の2%と義務付け)
と、まぁ数字だけ見れば優秀なのですが、
一筋縄ではいかない場面にも多々遭遇しております。
何せ障がい者雇用に関しては、ど素人の私どもが
個性的な2人の仕事の段取りをするのですから…
しかしながら、その仕事が彼らにハマった時の喜びは、ひとしおです。
次に彼らの紹介です。
1人目は、人とコミュニケーションをとる事が苦手なH君です。
一つの仕事を黙々と坦々とこなしていく事に関しては、もの凄く長けています。
彼なりのルールが多数存在するのですが、
その辺を理解できるようになれば、何ら問題なく接する事ができます。
手探り状態で探り当てたのが、
●あだ名で呼ぶと、反応が良い。
●飴ちゃんをあげるのではなく、ちょうだいと言うと喜んで、くれる。
●休日前は仕事をやり終えた充実感でいっぱい。反応がよく、お喋りになる。
●新入社員に色々と教えてあげて、と言うと意気に感じてくれる。頼られるのが嫌いではない。
そんな些細な遣り取りから、彼との信頼関係を構築していっています。
今では何種類かの仕事を任せても、嫌がる事無くこなしてくれます。
2人目は、計算や文字を書くのが苦手な、おっとり系のM君です。
会話は問題なく出来ますが、彼の最大の特徴は人一倍心配性なところです。
機械の電源をオフにしたか、タイムカードの時刻が正確に印字されているか、
ロッカーの鍵は閉まっているか…などなど、日常のあらゆる場面において、
自分の行った行為に対し、数回、数十回と繰り返し確認をします。
作業中にも過度な確認を行いますので、なかなか仕事が前に進みません。
彼には毎日、確認の要らない業務を探し出して用意するのが日課です。
そして見事にこなしてくれたら、ちょっと大袈裟に褒めて感謝の意を伝えます。
謙遜しながらも笑顔になり、次の業務にも意欲的に取り組んでくれます。
褒めて調子に乗るのではなく、意気に感じてくれるタイプなので私も嬉しくなります。
彼を褒める為に、彼に合った業務を見つけ出す。そんな毎日です。
他の社員は、精神障がいや発達障がいの人と接する機会が
今までほぼ皆無でした。
そんな中に、いきなり2名の個性的なメンバーが加わるのですから、
どう付き合えば良いのか分からなくて当然だと思います。
しかしながら、当初はそんな事すら気が付かず、
「接している内になんとかなるやろ。」
「大人やねんから、うまくやってくれるやろ。」
という勝手な思い込みやエゴのようなものが、私自身どこかにありました。
社員に対して、
●なぜ、会社として障がい者雇用を実践するのか
●彼らとどのように向き合って欲しいのか
それらを説明する必要がありました。
有耶無耶にしてしまった結果、経営者側と社員側とで彼らに対しての
温度差が出てきてしまったのも事実です。
遅まきながら、つい先日、社員各位には思いを伝えました。
障がい者雇用は、経営者の心の寛容さと相手をとことん理解してやろうという思い、
そして何よりも、社員の理解があってこそ旨くいくものだと痛感しています。
その先に漸く、健常者や障がい者の垣根のないフラットな関係が築けるのではないかと思います。
社会貢献の為に!とか、大それた事はよう言いません。
まだまだ道半ば、当社なりのスタンスで歩んでいこうと思います。