Members Column メンバーズコラム

未来100年製作所という会社を設立しました!

矢野貴朗 (未来100年製作所合同会社)  Vol.590

矢野貴朗

 大阪府を卒業する3年くらい前から公務員を辞める辞めるといっては、やめない詐欺をしていました。辞めようと決めた時、自分の関わった事業所さんの商品を売りたいと思って、ビジネスプランを練っていましたが、そう簡単にはうまく事が運ぶわけもなく、収支の試算をした結果、赤字にしかならないとなって断念しました。他にプランがあったわけではなかったので、どうしようかと思案しながら、事業プランを模索していました。
 府庁最後の2年間で、最後の部署である企業の障害者雇用を促進するグループの仕事に従事する中、福祉の現状を知るにつれ、いくつかの視点が全く受け入れられていないことに気づきました。まず利益を出すことが「悪」と見られる、原価計算をしない、商品力で勝負しない(障がい者が作ったことを売りにする)、内職も請負の価格を交渉しないなど工賃のあげられない現状を肌で感じ取りました。これは、卸、小売、ものづくりと自分のキャリアを積み重ねてきたものを活かして、私にできることがあるのではないかと。これらの体質を変える事業所を自らが実践する場を作ろうと考えました。ただ、絶対条件として資格者が必要であることが、踏み切れない理由でもありました。そう思って人に自分の思いを話していると、引き合わせがあり、一昨年の2月から有資格者の方を社員として迎えることで事業が慌ただしくスタートを切ることになりました。まだ、どこに事業所を作るとか物件探しもこれから。

 一緒にやってくる仲間と相談し、豊中と箕面方面に絞ったのですが、さて、どうしようと考えていた時に、豊中の商工会議所に地域や企業をよく知っている方がいたので、相談に行きました。地価が比較的安い地域を教えていただき、そこからは現地で周辺を歩き回りました。周辺にある不動産屋さんをほぼ周り、十数件物件を見回った仲で、商店街の中に自分のイメージできる物件に出会いました。
 ここで今までお付き合いのあったものづくり企業の商品を販売できる!断念した思いをここで福祉サービスと融合することができました。ただの福祉サービス事業所では面白くないので、利用者が稼げておしゃれな事業所をイメージして、大阪府の時もそうだったのですが、行政や福祉らしくないものを作ろうとクリエイターの方にお願いして、店舗や内装のフルリノベーションをしました。
 和式しかない2つあるトイレも洋式にし、天井と床は、工事業社さんにお願いしましたが、2階建ての1階、2階の壁は、社員とともに、夏真っ盛りの中、毎日汗だくになりながら石膏ボードを貼り付け、パテで凹凸をなくし、ローラーや刷毛で壁も塗りました。また、店舗の什器なんかも自分で設計し、資材を購入して切断から組み立て、塗装まで行い、壁面と色を合わせ、商品が目立つように考えました。商品は、大阪のものづくり企業の商品ばかりです。福祉の申請も自ら、消防局との調整、建築確認、申請書の作成となかなか手間と時間がかかりましたが、やり遂げ、豊中市から就労継続支援B型の指定をいただき、いざOPENするものの利用者は集まらず、かつ、社会福祉サービスは、指定を受ける時には、社員が2人、パートが1人の給料も払い続けなければ事業が継続しません。通常のビジネスモデルとはかけ離れたものでした。
 これをいかに成り立つものにしていくかが私の仕事でもあり、目指すべき方向性でもあります。内職をいくらやっても工賃はさほど上がりません。オリジナル商品を作ることが収益を上げる上でも重要な要素となります。簡単にできるものではないことは、今までの経験則から言っても充分理解しています。これまでのクリエイターの方々との繋がりや、デザイン学校の生徒さんとの関係性も徐々に出来つつあります。さらに、レザー加工機や3Dプリンターなども入れて、LABのような機能も持たせることで、人の集まる仕組みを取り入れ、閉鎖的な福祉サービスに健常者と障がい者が普通に交わる場としての機能も果たしてくれます。これは、私が障がい者の雇用施策で得た障がいというものを正しく知る機会を作るということにも通じます。仕事を通じて知った障がいのある生きづらさや、障がい特性を知ってもらうことで、健常者も障がい者ももっと生きやすい社会ができると思っています。健常者は、障がい特性が様々あることを知る機会がなければ知らないままです。理解するきっかけを作ることの重要さを自らが体感したことから、これは皆さんに知ってもらいたいと強い思いを抱いた正直な気持ちです。それを形にしていきます。
 コンセプトは、掛け算です。
   welfare(福祉)× design(デザイン)
   welfare(福祉)× factory(モノづくり・工房)
   welfare(福祉)× art(アート)
を3つの柱とし、障がい者の方への就労支援と、健常者と障がい者の境界をなくすことを目的としています。障がいのある方が生活保護をはずれて自分の収入で、自由にお金を使えるよう支援していくことを目標にした、セレクトショップを併設したカフェのようなB型支援事業所「tsunagu」。
 阪急宝塚線の庄内という駅から5分の商店街の中にあります。訪れていただいた方々が、店の前を素通りして戻ってきてから、ここなんだ!わからなかったとよく言われます。少し洒落た店舗になったので、気づかれないことが多いです。KNSの皆様とは、今後、様々なコラボやプロジェクトを一緒にできればと思っています。もちろん内職のご相談なども承っておりますw。お近くにおよりの際は、ぜひお声がけください。週に3日ほどしかいませんが、ご連絡いただければと思います。他の日は、前回お知らせしていた大阪イノベーションハブから同じ大阪産業局の大阪産業創造館の13階でWワークを続けています。今後ともよろしくお願いいたします。

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