Members Column メンバーズコラム

「みんなのホテル」を奈良につくる!

山本善徳 (ヒューマンヘリテージ株式会社)  Vol.237

山本善徳

奈良市にあるヒューマンヘリテージ株式会社の山本と申します。学生の頃に、障害のある人の自立生活や芸術文化活動の支援をしている“たんぽぽの家”という施設(団体)に出会ったことが、今の私の原点です。ボランティア、スタッフとして13年間お世話になり、その後3年間の高齢者施設でのケアマネジャーを経て、2009年4月に会社を設立、現在6期目となります。


みんなのホテル100人プレゼン行脚 第1回(播磨靖夫氏:一般財団法人たんぽぽの家理事長)

弊社では、「あたりまえの暮らしをすべての人に」をコンセプトに、障害のある人や高齢者の方々の旅行や観光、余暇活動などをサポートしています。具体的には、「介護タクシーを利用した、旅行・観光サポート」「高齢者向けカルチャーセンターの運営」「お出かけをメインプログラムとした放課後等デイサービスの運営」など。福祉サービスながら、かなりニッチな分野で事業展開しています。詳しくは弊社HPをご覧いただければ嬉しいです。http://human-heritage.jp

そんな弊社が今、5年後の2019年4月のオープンに向けて進めているのが「みんなのホテル」プロジェクト。これは、国際観光都市である奈良に、「みんなによる、みんなのための、みんなのホテルを建設しよう!」というもので、今年の8月には、「みんなのホテル」という名称の商標登録も済ませました。

「みんなのホテル」には、以下の3つのコンセプトがあります。

?全国の障害のある人や高齢者を含め、みんな(すべての人)が、安心、快適に宿泊できる。
?地域の人たちがふらっと足を運び、会食したり、団欒したり、旅行者と交流ができる。
?障害のある人が、接客やベッドメイキングなどの仕事に、誇りをもって取り組むことができる。

皆さんはご存知でしょうか? 奈良県が全国で唯一、世界遺産が3ヶ所も登録されている県であるということを。にもかかわらずホテル客室数が全国ワースト2だったり、1年間の延べ宿泊者数が300万人を超えず、全国ワースト2だったりすることを。おまけに、車イスを利用されている方や、体の不自由な方が安心、快適に泊まることのできるホテルや旅館は実際のところ多くありません。

実は福祉の現場で仕事をしてきた経験から、“和洋室がもっとたくさんあったらいいのに”、という思いを抱いてきました。ツインルームでは、マンツーマンのケアにならざるを得ず、大人数が泊まれる和室では、なかなかバリアフリー化が困難です。その点、6人定員の和洋室であればグループケアができて、臨機応変に対応できますし、車イスを使用している人はベッドを使用することもできます。また今後増えていくであろう、介護が必要な高齢者を含む家族での旅行でも和洋室は有効です。おじいちゃんおばあちゃんがベッドを使い、その息子家族は和室を使う。そんな家族みんなが一緒に、安心、快適に宿泊することのできる和洋室って素敵だと思いませんか? 

またホテルの敷居をもっとコミュニティに近づけたいと考えています。地元のホテルに行くことって、各種団体に所属していて会議で訪れたり、結婚式や遠来の友人と会食する時に訪れたりするぐらいではないでしょうか? そこで、ホテルの利用をもっと地域での生活に近づけ、例えば農家のおばあちゃんが朝に採った野菜をロビーで販売したり、市民が講師となって市民が受講するコミュニティカレッジを開いたり、旅行者と地域の人たちが交流できるスペースや仕掛けをつくりたいです。

そして最後のコンセプトである障害者雇用。障害のある人たちは学校を卒業した後、一般就労や福祉的な就労、もしくは障害者施設で活動します。みんなのホテルもその一つの受け皿として、客室のベッドメイキングや清掃、コミュニティレストランのウェイターにウェイトレス、ホテル利用者とのコミュニケーションなど、それぞれのスキルを生かしながら、誇りをもって仕事に取り組むことのできる環境をつくっていきます。

最初にも申し上げましたが、「みんなのホテル」は、2019年4月にオープンします。土地も決まっていませんし、資金もありません。しかしイギリスの哲学者カール・ポパーが「空を飛ぶことを可能にしたのは、空を飛ぶ夢である」と言ったように、私もまずは夢を描くこと、そして夢を語ることが、夢を実現させるためにもっとも必要なことなのだと思います。

もちろん夢の実現に向けては、戦略的に計画を粛々と進めなくてはなりません。先月より、2年半にわたる「みんなのホテル100人プレゼン行脚」もスタートしました。KNSの会員の皆さんの職場にももしかしたらプレゼンにお伺いするかもしれませんし、いつかはKNSの定例会でもプレゼンしたいと思っています。そうして多くの人に「みんなのホテル」を知っていただき、応援してもらいながら、「みんなによる、みんなのための、みんなのホテル」をつくっていきたいです。そして国際観光都市・奈良に完成する「みんなのホテル」が全国のロールモデルとなり、誰もがどこにでもあたりまえに旅行できるような社会になることを願ってやみません。

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