Members Column メンバーズコラム

学生さん達とカンボジアへの旅

豊岡敬 (日本フッソ工業株式会社)  Vol.503

豊岡敬

昨年の12月のことなので、少し前になるのですが、カンボジアのシェムリアップに行ってきました。ロータリークラブは、中学生や高校生の社会奉仕クラブ、インターアクトクラブを提唱していまして、学生さんたちの海外研修として私も参加させて頂きました。

シェムリアップは、カンボジア北西部のリゾート都市で、9世紀から15世紀に栄えたクメール王朝のアンコールワットやアンコールトムといったユネスコの世界文化遺産である、アンコール遺跡群の観光拠点となっており、世界中から観光客が集まっています。トリップアドバイザーの「旅行者が選ぶ観光地ランキング」アジア第一位になったこともあります。

アンコールワットは、12世紀頃、ヒンドゥー教の寺院として建設され、16世紀に仏教寺院として改修されたカンボジアのシンボル的な遺跡で、国旗の中央にも描かれています。アンコールワットの向こうから昇る朝日を見ようと、早朝の暗闇の中アンコールワットに出掛けました。日の出の時刻がきて、周囲が明るくなると、それまで気づかずにいたのですが、大変多くの観光客が同じようにアンコールワットの日の出を見に来ていて、びっくりしました。

アンコールトムは、12世紀頃から建設が始まった、巨大な都市遺跡です。その中でも有名なのが、バイヨン寺院で、ヒンドゥー教と仏教が融合した寺院となっています。

クメール王朝初期の頃は、カンボジアの国家宗教はヒンドゥー教だったのですが、時代の変遷ともに仏教を取り入れたスタイルとなり、現在では敬虔な仏教徒の国となって、シェムリアップ市内でも托鉢する僧侶にお布施をして、敬う様子をあちらこちらで見かけます。ヒンドゥー教の影響は、東南アジア各地で目にします。タイでは、ヒンドゥー教よりも更に古いバラモン教が未だに残っていたりします。

カンボジア観光は、ここまでとして、インターアクトクラブの目的は、「世界に友達を広げながらボランティア精神と国際感覚を身につける」とされていて、その実践をこの海外研修でも行ってきました。

インターアクトの学生さん達とシェムリアップ市内の小学校を訪問しました。我々は、小学生達と一緒にシェムリアップ市内でゴミ拾い、清掃活動を行いました。事前には、「ゴミが少ないかもしれないので、心配」という話も聞いていたのですが、まったくの杞憂で、大量のゴミを子供達と一緒に集めました。お互いに言葉も通じない同士で、小学生と中学・高校生と世代間格差があるにも関わらず、直ぐに打ち解けて、仲良くなり、小さなお友達が沢山できたようです。小学校に戻ってからは、長縄跳びや、綱引き等で一緒に遊びました。綱引きは、日本対カンボジアの国際真剣勝負だったのですが、我々日本チームは、カンボジアチームに見事に敗退してしまいました。

翌日は、シェムリアップ市内の中学・高等学校を訪問しました。実は、カンボジアは、インドシナ戦争から、カンボジア内戦、そして「The Killing Fields」とも言われるクメールルージュ(ポルポト派)に大虐殺という悲しい歴史がありました。1993年のシャヌークによる王制復古以降も、ポルポト派は、シュムリアップあたりを拠点として政府軍と1996年頃まで戦い続けたそうです。この学校の名前は、ポルポト派から解放されて自由を手にした日が校名になっていると、校長先生のご挨拶の中で話されていました。ポルポトの時代は、知識人は弾圧されていて、ただ眼鏡を掛けているだけで「インテリである」として銃殺されたようなひどい時代がつい最近まで続いていたことに驚きました。その後、学校の校庭に出て、日本風の夏祭りで楽しみました。浴衣を着て、写真撮影をしたり、ヨーヨー釣りをやったりで、大変に盛り上がりました。

我々大人は、研修期間中は全てホテルに宿泊したのですが、インターアクトの学生さん達は、1泊だけホームスティを体験しました。シェムリアップ郊外に、メコン川とつながるトレンサップ湖という東南アジア最大の湖があります。トレンサップ湖の近くの村にホームスティをさせて頂きました。村挙げての歓迎で、入村式の際には村長さんから学生さん一人一人にスカーフを掛けてもらいました。電気も余り無いような村ではありましたが、地元警察も全面的に協力して頂き、一晩中警備に当たってくれました。ここの近所のお家では、皆さん防犯用に犬を飼われていまして、泥棒が家に入らないように番犬を務めていました。ところが困ったことに、犬泥棒も横行していて、番犬を食料として盗んでいく輩もいるそうです。ホームスティは、1軒のお宅に複数の学生が宿泊させて頂き、夕食については、差が付かないように、同じ材料を人数分で分けてそれぞれのご家庭で調理したもの頂いたそうです。

今回の海外研修では、地元カンボジアの旅行社に大変お世話になりまして、普通の旅行では経験できない旅をすることができました。中学・高校時代にこのような経験をすることは大変貴重なことだと思います。そして、インターアクトの学生さん達は、心からこの旅を堪能してくれたことを実感しました。日本に帰国する際に、多くの学生さん達がシェムリアップの空港で、「帰りたくない!」と口々に言っていたのが印象的でした。違う世界を見ることによって、より広い世界観持ち、国際感覚を身に着けた大人に成長して欲しいと思いました。

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