Members Column メンバーズコラム

一期一会

田宮康弘 (KNS東海支部世話人)  Vol.208

田宮康弘

みなさま、こんにちは。東海支部の田宮です。

♪♪・・・
雨上がり澄んだ空、若い緑の朝の風 。どこまでも続く石畳、奏でる鈴の音。
一人旅。いいえ、二人旅、 悩みと不安を超える道。 ひたすらに、ただ、ひたすらに想う。
過去を背負って行き違う、いやしの半袈裟。自問自答を繰り返す。「なぜ 歩くの?」
Go to the winding road, Go to the winding road 迷いの多さは無駄じゃない。
Loving you forever, Love you forever 巡礼の一期一会。

八坂の塔の朝焼け 産寧坂のここちよさ。 今宵の縁日に、想う いにしえ。
涼しげに 心を結ぶ 音羽の滝の清い水。 たゆみなく、ただ、たゆみなく祈る。
理由を背負って行き違う、やさしい一声。谷汲終えても繰り返す。「いつ 終わるの?」
Go to the winding road, Go to the winding road 愚かと未熟を超える道。
Loving you forever, Love you forever 巡礼の一期一会。

あなたの背負ったつぐないは、 僕にはわからないけれど・・・
Go to the winding road, Go to the winding road 迷いの多さは無駄じゃない。
Loving you forever, Love you forever 巡礼の一期一会。
・・・♪♪

これは、私が、最近西国33箇所観音巡礼を実施しましたが、その巡礼の最中に作った歌詞です。ご存知の方も多いと思いますが、西国33箇所観音霊場とは近畿2府4県と岐阜県に点在する33箇所の観音信仰の霊場の総称です。これらの霊場を札所とした巡礼は、日本で最も歴史がある巡礼行です。33とは、「妙法蓮華経観世音菩薩普門品第25」(観音経)に説かれています。観音菩薩が衆生を救うときに33の姿に変化するという信仰に由来していて、西国33箇所の観音菩薩を巡礼参拝すると、現世で犯したあらゆる罪業が消滅し、極楽浄土できるとされているものです。

私たちは、生きていく中で、多くの人と出会いますが、この人との出会いを純粋に1回のみの出来事であると考え、その出会いに最善を尽くし、大切にするということを、「一期一会」であると、西国第18番 紫雲山 頂法寺 貫主 池坊専水さんは説いています。人との出会いは、次に会える保証はありません。たとえ、家族であっても。明日に必ず顔を合わせることができるとは限らないのです。毎日が一期一会の繰り返しなのです。KNSでの出会いを無駄にしてしまうことなく、懐を大きく持ち、お会いした方々と接することが出来ればいいなあと思います。

巡礼のさなかでは、いろんな方と顔を合わせました。「こんにちは」「がんばってください」とすれ違う方々から声をかけていいただいたことが多かったです。巡礼は修行だともいいます。人それぞれ背負っている物が違うため、目的に応じて、巡礼のスタイルも異なります。それでいいのです。次の巡礼地に行くまでの間、観世音菩薩と2人で、考えたり、感じたり、見聞きすることが修行であり、巡業であると感じました。「世間に忙殺されず、一度立ち止まり、落ち着いて、周りを見てみなさい。」と教えられたと思います。

最後に・・・
気負わず、衒わず、心身を静かに浮遊させれば、自然の中から語りかけてくる言葉がある。地形に逆らわず繁る木の姿、ひっそりと咲く花の姿、風雪に耐える樹木の姿。それは、いかなる言葉よりも雄弁に、人に語る。そして人も自然の一部として、その中に身を置き、草木も宇宙のひとつであることを知るべきである。そして、自然は日々変化する。再度この寺々を訪れたとき、また異なる自然の声を訪れる人々をつつむのだろう。その繰り返しの中にこそ、人は自らを発見していくのである。「自らを発見する」何とも簡単そうで難しい。この発見は理屈もなく、説明なく、ただただ無心に巡礼を繰り返し、自然の中に身を置き、自然と合体した時に得られるものである。
(西国第23番 応頂山 勝尾寺 貫主 小嶋秀算 書 「西国巡礼慈悲の道」より抜粋。)

PS
写真は、西国33ヵ所の巡礼を完了し(これを「満願」といいます。)、お礼参りに善光寺に行った時に撮ったものです。お参りした証として朱印帳に朱印をしてもらいます。本当はお参りした際にお経(写経した般若心経)をお供えするのですが、その預かり証としてお寺が朱印を書いて渡してくれるのです。最近では、これが形骸化して私のようにあたかもスタンプラリーに様に楽しんで廻っておられる方も多いです。私は朱印帳以外にも、掛け軸にも朱印をしてもらいました。この掛け軸を表装してもらい、2月末に出来上がりました。かなり立派なものとなりました。皆様も一度、機会があれば、実践されてみてはいかがでしょうか?
ただ、私のように、一人で巡礼をすると、結構お金がかかりますよ。最近は巡礼ツアーを旅行会社で企画していますので、ご興味のある方は、それを利用されてみるのも良いかもしれませんね。
なお、満願打ち納めとなった朱印帳は、冥土の入り口で閻魔大王に会った際に、「生前の罪業をすべて滅罪してきました。」という証明書となるので、死んだときには、棺桶に入れてもらい、一緒に持っていくと良いとのことです。

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